教員の本

ホトトギスの俳人たち

ホトトギスの俳人たち
中村 雅樹(国際教養学部教授)著

ホトトギスの俳人24人について書かれた短い評伝。これまで論じられることの少なかった俳人を取り上げ、資料に基づきながら、それぞれの句業の根底にあるものを浮き彫りにし、詠まれた俳句の特徴を明らかにしようとした。知られていない事実を明るみに出し、場合によっては通説の誤りを正すなど、充実した内容となっている。各俳人と虚子との関わりも興味深い。

本阿弥書店。2017年8月刊。334頁。本体3,200円+税

教師の協同を創る校内研修―チーム学校の核づくり

教師の協同を創る校内研修―チーム学校の核づくり
杉江 修治(中京大学国際教養学部教授・博士(教育心理学))・水谷 茂 編著

教師の資質向上のためのOJTが協調され始めてきている。本書は研修を積み上げて、個々の教師と学校を高めていくという研修文化そのものが貧弱な日本の学校の現状を鑑み、具体的な事例を提供したものである。同時に、学校の研究文化の在り方についても、本質的な提案をした。

ナカニシヤ出版。2017年7月刊。124頁。本体1,800円+税

Postphenomenology and Media: Essays on Human-Media-World Relations (Postphenomenology and the Philosophy of Technology)

Postphenomenology and Media: Essays on Human-Media-World Relations (Postphenomenology and the Philosophy of Technology)
長滝 祥司(国際教養学部教授)他著

現象学がプラグマティズムや技術哲学と融合することで始まったポスト現象学は、今世紀になって、分野横断的な広がりを見せている。本書は、ディジタル技術や人間の身体の技術化が、世界認識や人間関係を形成する際の新たな〈媒介=メディア〉として機能する様を、ポスト現象学とメディア論の観点から論じたアンソロジーである。ポスト現象学運動を牽引する気鋭の論客たちが、学術研究の領域をこえて刺激的な議論を展開している。

Lexington Books。2017年6月刊。294 pages。税込み$105、ISBN-13: 978-1498550147。

先住民族と国際法-剥奪の歴史から権利の承認へ

先住民族と国際法-剥奪の歴史から権利の承認へ
小坂田 裕子(中京大学法学部教授)著

先住民族は、先祖伝来の土地を剥奪される等、抑圧・差別の歴史をもつが、先住民族をそのような惨状に陥れる理論的道具を提供したのは、近代国際法であった。しかし、近年、先住民族は、自らを傷つけた国際法の一分野である国際人権法を自ら参加する形で発展させ、過去の克服を求めている。本書は、国際法の被害者からアクターとなった先住民族に焦点を当て、国際法学において先住民族の視点がもつ意義を明らかにすることを試みている。

信山社。2017年6月30日刊。267頁。本体6,400円+税

生き生きと学ぶ生徒の姿の追求-鳥取県中・西部4中学校の挑戦

生き生きと学ぶ生徒の姿の追求-鳥取県中・西部4中学校の挑戦
鳥取県湯梨浜町立東郷中学校・鳥取県伯耆町立溝口中学校・鳥取県南部町立南部中学校・鳥取県大山町立名和中学校 著 杉江 修治(国際教養学部教授) 監修

本書で実践を提供した鳥取県4つの中学校(湯梨浜町立東郷中学校、伯耆町立溝口中学校、南部町立南部中学校、大山町立名和中学校)は、共同学習の考え方を基盤に置いた7~8年にわたる授業改善により、生徒がわが事として意欲的に学ぶ姿を実現してきている。そこにいたる教師の校内研修の姿も含め、授業事例を多く紹介した内容となっている。

一粒書房。2017年5月20日刊。105頁。本体1,500円+税

学校事故の責任法理Ⅱ

学校事故の責任法理Ⅱ
奥野 久雄(中京大学法科大学院教授)著

教育現場での重大事件や事故・災害の発生にともなう訴訟が増加している。本書において、児童・生徒・学生の学校生活をめぐる事故、いわゆる学校事故の責任の在り方を考える。学校・教諭の安全注意義務が、学校事故のいろいろな態様に応じて、判例により、たとえば生徒の動静把握義務、救急措置義務、AED使用義務、いじめ時代調査義務、被害事態解明義務等々に具体化されたものに若干の検討を加える。2016年度本学出版助成(学術図書)対象図書。

法律文化社。2017年5月30日刊。346頁。本体6,500円+税

民事訴訟法講義 理論と演習 第2版

民事訴訟法講義 理論と演習 第2版
稲葉 一人(法務研究科教授・元判事・民事訴訟法担当)著

民事訴訟法の基礎から応用までをコアカリキュラムを中心に解説し、法学部学生だけではなく、法科大学院を目指す学生、司法試験を目指す法科大学院生に適切である。
第2版では、予備試験論文式と法律実務基礎科目(民事)の答案構成と参考答案を追加したことから、司法試験・予備試験の受験対策にも十分である。

法学書院。2017年5月25日刊。663頁。本体4,800+税

奄美文化の近現代史-生成・発展の地域メディア学-

奄美文化の近現代史-生成・発展の地域メディア学-
加藤 晴明(中京大学現代社会学部教授)・寺岡 伸悟(奈良女子大学文学部教授〉著

奄美群島を対象に、戦前からダイナミックな展開をみせる現在までのすべてのメディア事業の俯瞰図を詳細に描いた書籍である。本書では、〈地域・文化・メディアは連環する〉という視点から、奄美の文化が、誰によって、どう継承・変容し、現在の形に創生されてきたのかが、メディア学の視点から読み解かれている。単なるメディア史やモノグラフではなく、「地域メディアの総過程」理論、「表出の螺施」理論、「文化媒介者」理論など、フィールドとの対話から発見された新しいメディア学の理論的地平が提起されている。著者らの10年余りの奄美フィールドワークのまとめとして刊行された。

南方新社。2017年3月20日刊。365頁。本体2,800円+税

絨毯とトランスプランテーション ―21世紀のV・S・ナイポール―

絨毯とトランスプランテーション ―21世紀のV・S・ナイポール―
栂 正行(国際教養学部教授)著

故地の文化を絨毯のように携え新天地に敷き詰める者。身ひとつで自らを異郷に移植する者。本書はふたつの生の有り様の間の無数のヴァリエーションを、ナイポールの全言語芸術作品に探り、現実架空双方のおよそ人の幸不幸を考察する文明論。絨毯の比喩は、個別作家の世界を越え、いつしか万人の属性を説明しうる。2016年度本学出版助成(学術図書)対象図書。

音羽書房鶴見書店。2017年2月10日刊。160頁。本体2,500円+税

協同学習がつくるアクティブ・ラーニング

協同学習がつくるアクティブ・ラーニング
杉江 修治(国際教養学部教授)編著

大学での初年次教育改善の研究からはじまったアクティブな学びづくりの潮流は、それを文科省が取り上げるに至って義務教育の世界にまで広がりつつある。本書では学習者から出発する学習指導論としてこれをポジティブに評価しつつ、単なる技法に陥ることのないように、学力論を基盤に置いた実践化を提案した。
明治図書出版。2016年11月刊。149頁。本体2,100円+税