教員の本
奄美文化の近現代史-生成・発展の地域メディア学-

加藤 晴明(中京大学現代社会学部教授)・寺岡 伸悟(奈良女子大学文学部教授〉著
奄美群島を対象に、戦前からダイナミックな展開をみせる現在までのすべてのメディア事業の俯瞰図を詳細に描いた書籍である。本書では、〈地域・文化・メディアは連環する〉という視点から、奄美の文化が、誰によって、どう継承・変容し、現在の形に創生されてきたのかが、メディア学の視点から読み解かれている。単なるメディア史やモノグラフではなく、「地域メディアの総過程」理論、「表出の螺施」理論、「文化媒介者」理論など、フィールドとの対話から発見された新しいメディア学の理論的地平が提起されている。著者らの10年余りの奄美フィールドワークのまとめとして刊行された。
南方新社。2017年3月20日刊。365頁。本体2,800円+税
絨毯とトランスプランテーション ―21世紀のV・S・ナイポール―

栂 正行(国際教養学部教授)著
故地の文化を絨毯のように携え新天地に敷き詰める者。身ひとつで自らを異郷に移植する者。本書はふたつの生の有り様の間の無数のヴァリエーションを、ナイポールの全言語芸術作品に探り、現実架空双方のおよそ人の幸不幸を考察する文明論。絨毯の比喩は、個別作家の世界を越え、いつしか万人の属性を説明しうる。2016年度本学出版助成(学術図書)対象図書。
音羽書房鶴見書店。2017年2月10日刊。160頁。本体2,500円+税
協同学習がつくるアクティブ・ラーニング

杉江 修治(国際教養学部教授)編著
大学での初年次教育改善の研究からはじまったアクティブな学びづくりの潮流は、それを文科省が取り上げるに至って義務教育の世界にまで広がりつつある。本書では学習者から出発する学習指導論としてこれをポジティブに評価しつつ、単なる技法に陥ることのないように、学力論を基盤に置いた実践化を提案した。
明治図書出版。2016年11月刊。149頁。本体2,100円+税
The Economics of International Immigration

近藤 健児(経済学部教授)著
本書は日本のような先進国が現在直面する経済の諸問題を考慮に入れた上での、国際労働移動、とりわけ外国人労働受け入れの及ぼす経済効果を理論的に分析した最初のまとまった書籍である。ここでは外国人労働者の受け入れ政策が、自然環境、再生可能資源、失業率、賃金格差などの面も含め、経済厚生を高めることに貢献できる可能性が示唆されている。詳細はこちら
Springer。2016年10月7日刊。243頁。税込17,244円
The Anthem Companion to Pierre Bourdieu

相澤 真一(現代社会学部准教授)他著
英国Anthem社による世界の社会学者についての論文を集めた全15巻のシリーズの1冊にフランスの社会学者ピエール・ブルデューが取り上げられた。本書では、社会学理論の国際的な知的対話を重視し、欧州におけるブルデュー研究の展開が取り上げられているだけでなく、日本を含む欧米外のブルデュー受容と研究の展開が取り上げられている点に大きな特徴がある。
ANTHEM PRESS。2016年8月5日刊。292頁。本体 $115.00
中国音楽史図鑑

明木 茂夫(国際教養学部教授)監修・翻訳
人民音楽出版社『中国音楽史図鑑・修訂版』の邦訳。先史時代から明清時代に至る中国音楽史を豊富な図版を用いて時代順に解説した通史である。翻訳に際しては平易な表現を心がけ、中国古典音楽の専門用語を分かりやすく説明するとともに、日本の読者のために多数の訳注を補った。また楽器の種類別に配列した図版目録を巻末に掲載している。
科学出版社東京。2016年6月23日刊。374頁。本体26,000円+税
年齢とともに伸びていく剣道―心身融合への剣の巧みさを求めて―

林 邦夫(中京大学名誉教授)著
本書は、著者自身の剣道修行と研究および指導実践の方法論を構築したものである。剣道は何歳になっても強くなれる。年齢ごとに質的転換を図ることにより、最高パフォーマンスを発揮する方法論を紐解いたものである。
体育とスポーツ出版社。2016年5日5日刊。222頁。本体2,000円+税
子どもと貧困の戦後史

相澤 真一(現代社会学部准教授)他著
2000年代後半から一気に問題化した子どもの貧困。しかし、歴史的なスパンを広げてみれば、貧困環境にある子どもはこれまで多くいた。私たちは何を看過し、何を忘れてしまっていたのだろうか。本書は、子どもと貧困の戦後を、1950・60年代の社会調査データで当時の実態に実証的に迫り、新聞報道なども織り込んで、立体的に照らし出す。
青弓社。2016年4月25日刊。168頁。本体1,600円+税
Harold Pinter and the Self:Modern Double Awareness and Disguise in the Shadow of Shakespeare

細川 眞(国際英語学部教授)著
本書は、イギリスのノーベル賞劇作家ハロルド・ピンターの7作品における「自己」の表象を、「近代の二重認識」とシェイクスピアを背景とした「ディスガイズ」の視座から論じたものである。ピンター特有の謎めいた登場人物とその世界の実態が、「古い二重認識」時代のシェイクスピアとも関連させながらイギリス文学・文化の伝統の中で解明されている。
渓水社。2016年3月刊。155頁。本体3,000円+税
『コンピュータ・アートの創生 CTGの軌跡と思想 1966−1969』

大泉 和文(工学部教授)著
1960年代後半の日本に登場した国際的に著名な第1世代コンピュータ・アート集団,CTG(Computer Technique Group)の初の包括的な研究書である。一次資料および全メンバーへの取材に基づき、CTGの全作品と活動を詳細に検証した。さらに代表的作品の再現を通じて、初期コンピュータ・アートにおける意義を論考した。
NTT出版。2015年12月15日刊。414頁。本体5,600円+税