1990年の創設以来、中京大学大学院社会学研究科は大学教員の養成において、めざましい成果をあげてきました。本研究科(大学院)出身者は、名古屋大学・香川大学・立命館大学・西南学院大学・中部大学・愛知総合看護福祉専門学校・西安交通大学(中国)など海外、国内の高等教育機関で研究者、教育者として活躍しています。また、公立学校教員として、あるいは、マスコミ界の最前線で活躍している修了生もいます。
現代社会におけるさまざまな政治現象をとくに有権者の政治意識に注目して分析・ 考察する。具体的には、ポピュリズム、ナショナリズム、地方政治の変化、若者 の政治意識などを取りあげる。
参考
『再帰的近代の政治社会学』(共著、ミネルヴァ書房)、2008年、
『外国人への
まなざしと政治意識』(共著、勁草書房)、2010年。
少子化・未婚化及びその背景要因―家族の変容、子育て支援、若年雇用、仕事と 生活の両立支援等―に関する分析を行う。わが国の出生率は極めて低く、国の持 続に黄信号がともっている。分析をふまえて、少子化社会の打開策を考える。
参考
『少子化論―なぜまだ結婚・出産しやすい国にならないのか』(勁草書房),2013、
『揺らぐ子育て基盤―少子化社会の現状と困難』(勁草書房),2010、
『何が育児を支えるのか―中庸なネットワークの強さ』(勁草書房),2008
「モノ」にまつわる比較研究。博物館学。南アフリカ、ンデベレ社会の装飾文化 と民族意識。
参考
Ndebele Decorative Cultures and their Ethnic Identity (2008, in Yoshida, Kenji & John Mack (eds.), Preserving the Cultural Heritage of Africa:
Crisis or Renaissance? UK; James Currey & SA; UNISA) 、
「博物館の住まい
展示と民族藝術:南アフリカ ンデベレの事例から」( 2008年, 『民族藝術』24)、
『図説人類の歴史9&10:先住民の現在(上・下)』( 2007年, 大貫良夫監訳・編訳,
第1~10章の翻訳を担当, 朝倉書店)
都市のおけるコミュニティスタディの課題は都市そのものを住民がどのように管理しうるかにある。なぜなら本来コミュニティは地域の共同の管理機能をもっており、都市の大規模化はまさにこの機能を喪失することによって生活問題をもたらすからである。そのような意味において管理機能の担い手として住民組織の研究を焦点にすすめる。
参考
『世界の住民組織』(共著)(自治体研究社)、2000年、『地域共同管理の現在』(共著)(東信堂)、1998年、『地縁関係の現代的意義』(「中京大学社会学部紀要」第12巻第1号)、1997年。
児童期から青年期にかけての自我発達とその逸脱過程。軽度発達障害の地域発達援助システムの構築と運営。
環境問題からみた現代社会の分析と、それに基づいた環境問題に関する実証分析を行っている。主に化学物質や環境汚染による被害の非可視性や不確実性を、因果関係及び責任帰属の観点から考えている。
参考
『「リスク社会」の到来を告げる住民投票運動-新潟県巻町と岐阜県御嵩町の事例を手がかりに-』(『環境社会学研究』第4号)(新曜社)、1998年、『モラル・プロテストとしての環境運動』(長谷川公一編『講座 環境社会学 第4巻 環境運動と政策のダイナミズム』所収)(有斐閣)、2001年。
福祉国家の根拠づけ、および根拠を支える基盤になりうる死生観の研究。
E・ゴフマン等いわゆるミクロ社会学と呼ばれる議論について、N・ルーマンの枠組みを参照にしながら、その理論構成や問題設定を明らかにする作業を行う一方で、その知見をベースにして現代社会につきまとう諸問題(親密性等)について理論的な考察をめぐらし、現象を読みとくツールを提供していくこと。
参考
「他者の体験」(『情状別冊』近刊)、「他者に対する態度を強いるもの」(『社会雑誌』41,2000年)
社会福祉実践の共通基盤の枠組みとその要素について。障害を持つ人の自立に向けた地域生活支援のあり方について。なかでも、当事者参加、運営を中心とする支援体制のあり方と実践能力のある専門家としての自己の形成にむけた養成課程および実践のなかでの教育のあり方について。
労働をめぐる諸問題を、シティズンシップ研究をはじめとした社会理論の知見にもとづき、実証的・歴史的に検討する。
参考
『フリーターとニートの社会学』(太郎丸博編)(世界思想社),2006年、
『葛藤するシティズンシップ』(共編著)(白澤社),2012年、
『教育する大学』(広田照幸他編)(岩波書店),2013年。
「学校」の多様性に関する教育社会学的研究。「オルタナティブ教育」と呼ばれる諸実践、特に現代日本で不登校支援を行うフリースールの活動を対象に、1)そこでは何が「教育」とみなされ、一斉授業や教科書に代表される既存の学校文化(社会化)のあり方がいかに再構成されているか、2)なぜそうした諸実践が社会的に必要とされるかを考察。
参考
東南アジア大陸部のタイをフィールドとして、近代化・グローバル化に伴う社会変化のなかで宗教と世俗の境界の再編過程に関する民族誌的研究をおこなっている。具体的には、上座部仏教の出家者による開発実践に着目し、それに関わる人やモノや言説の連なりを動態的に描き、理解するための方法を探究している。
参考
「開発実践からみた宗教と世俗の境界:現代タイの上座仏教僧によるヘルスケア活動の現場から」石森大知・丹羽典生(編)『宗教と開発の人類学:グローバル化するポスト世俗主義と開発言説』春風社、pp.53-96 、2019年
"Making Sense of the Buddhist Monks' Network As A Community Movement in Contemporary Northern Thailand", in Tanabe, Shigeharu.(ed.) Assemblage of Potentials: Community Movements in Thailand and Cambodia, Chiang Mai, Thailand: Silkworm Books, pp.211-229, 2016
『「開発」を生きる仏教僧:タイにおける開発言説と宗教実践の民族誌的研究』風響社、2014年
高齢者の対人関係について研究をしています。特に、「他者との接触の機会が減少する高齢者は、自己(Self)をどのように維持・再構築するのか?」という命題に対して、活動理論(Activity Theory of Aging)の観点から分析を試みています。著名な社会学者、C. H. CooleyやG. H. Meadの理論を援用しつつ仮説を立て、データを取得して仮説の実証を試みるという研究を行っています。
参考
日本老年行動科学会(編)『高齢者のこころ・からだ事典』中央法規, 2014
L. Jensen(Ed.)『Oxford handbook of human development and culture: An interdisciplinary perspective.』New York: Oxford University Press, 2015
佐藤眞一・権藤恭之(編)『よくわかる高齢者心理学』ミネルヴァ書房, 2016
助け合いや他者理解・相互理解の原点を探るべく、戦後日本のホームヘルプ事業の発祥地である長野県上田市を主なフィールドとし、家庭養護婦派遣事業の推進過程を実証的かつ歴史的に検討する。
参考
『日本における在宅介護福祉職形成史研究』みらい、2013年。
『現代日本の在宅介護福祉職成立過程資料集 第1巻~第6巻』近現代資料刊行会、2014年~2018年。
『初学者のための質的研究26の教え』医学書院、2015年。
『地域福祉・介護福祉の実践知』現代書館、2016年。