教員の本

「グアム育ちの日本人」のエスノグラフィー ー新二世のライフコースと日本をめぐる経験ー

「グアム育ちの日本人」のエスノグラフィー  ー新二世のライフコースと日本をめぐる経験ー
芝野 淳一 (現代社会学部准教授)著

近年、日本人の海外移住が多様化・大衆化する中で、新二世と呼ばれる海外育ちの子ども・若者が増加している。本書は、新二世がライフコースの中でいかに日本を経験するのかを、「グアム育ちの日本人」に対する8年にわたるエスノグラフィックな調査に基づき明らかにしたものである。そこで描き出されるのは、グアムに移住した親たちに育てられ、進学や就職を機に日本への帰還を試みる新二世たちが、グアムと日本を行き来する中で多様な居場所(ホーム)を創り出していく姿である。本書に散りばめられた「生の声」一つひとつに、海の向こうで育つ子ども・若者の日本をめぐる複雑な経験や感情を読み取ることができると思う。その先に、多様な「日本」や「日本人」の有り様を想像してもらえれば幸いである。

ナカニシヤ出版。2022年3月31日刊。300頁。2700円+税。

A Forest Environment Tax Scheme in Japan -Toward Water Source Cultivation-

A Forest Environment Tax Scheme in Japan -Toward Water Source Cultivation-
Keiko Nakayama(経済学部) 著

This book is a work that focuses on the forest environmental tax. Forest resources have played a major role in preventing global warming by absorbing carbon dioxide and supplying oxygen. However, global economic growth has adversely affected the global environment and has exacerbated global warming due to excessive consumption of forest resources. The functions or "services" of forests are diverse, but the interest of the citizenry in forest cultivation is scarce since forests are public goods. Concurrently, Japanese forestry, which has played an important role in forest conservation, is steadily declining, and it is no longer possible for private forest operators to maintain the forest environment. Therefore, in order to realize sustainable economic growth, it is necessary to formulate policies for the conservation of appropriate forest environments.

Springer, Singapore, 2022年3月3日刊, 126頁, 15729円 (Hardcover)

メディアと自己語りの社会学 「自己メディアの社会学」改題・改訂版(Kindle版)

メディアと自己語りの社会学 「自己メディアの社会学」改題・改訂版(Kindle版)
加藤 晴明 (現代社会学部教授)著

『メディアと自己語りの社会学』をKindleから出版
以前出版した『自己メディアの社会学』(2012)が絶版になっていたため、このたび、改題・改訂版をKindleから出版した。

人はなぜSNSを通じて自己を語りつづけるのだろう。そうしたメディアの中での人々のおくことなき自己語りを、社会学の自己物語の考え方から読み解いた著作である。長くネット社会を研究してきた著者が、「メディアは自己を仮託する文化装置である」など、著者独自のキーワートや命題を用いて、自己承認を求める欲望を理論的に、しかし分かりやすく解説してある。

22世紀アート。2022年1月11日刊。281頁。Kindle価格 1,100円(税込)

どうする、小学校英語? 狂騒曲のあとさき

どうする、小学校英語? 狂騒曲のあとさき
大津由紀雄(国際学部客員教授)・亘理陽一(国際学部教授)編著

小学校英語をめぐる活発な議論がなされてから約20年。この間に何が変わり何が変わらなかったのか、そして改善に向けて何をすべきか。小学校英語をめぐる議論を再検証し、将来に向けての指針を提言する。

- 編者の視点Ⅰ 小学校英語の本質を掘り下げ、言語教育の未来を拓こう

- 第1部 言語教育と学校英語教育の観点から

- 第2部 国際理解教育と多言語・多文化共生の観点から

- 第3部 公教育としての英語教育という観点から

- 編者の視点Ⅱ あとさきを批判的に考えて研究・実践を

慶應義塾大学出版会。2021年12月17日刊。360頁。2,200円+税

見るだけで「儲かるビジネスモデル」までわかる 決算書の比較図鑑

見るだけで「儲かるビジネスモデル」までわかる 決算書の比較図鑑
矢部 謙介(国際学部教授)著

ビジネスにも投資にも効く、リアルで面白い決算書分析の入門書。

慣れないうちは数字の羅列にしか見えない決算書も、シンプルな「比例縮尺図」にすれば、その構造を視覚的に理解できるようになる。本書は、様々な業種に属する50社以上の会社の決算書を「比例縮尺図」にして図解し、たくさんの決算書を一気に読み込めるように構成されている。

また各セクションでは、同業種または異業種に属する複数の会社の決算書や、 同一会社の年度別の決算書を、ひと目で比較できるように並べて掲載。そこから経営の現実やビジネスモデルを直観的に読み解く方法を解説する。

日本実業出版社。2021年11月1日刊。200頁。1,600円+税

工学博士が教える高校数学の「使い方」教室

工学博士が教える高校数学の「使い方」教室
木野 仁 (機械システム工学科)著

「数学って社会で何か役に立っているの?」そんな疑問を抱いたことのある人のために、高校レベルの数学がどれほど最新技術のベースとなっているかを解説し、その重要性を理解してもらうことを目指した本。スマホやカーナビといった日常生活でよく利用するものからミサイル防衛技術までその根本となっているのは数学です。ヒューマノイドロボット、AI、ドローン、自動運転、お掃除ロボット、スペースコロニー、宇宙エレベータなど、最新テクノロジーと微分・積分、三角関数、連立方程式、ベクトル・行列、級数など高校数学で習った事がどのように関係しているのかを紹介します。高校数学とは言え、数式がバンバン出てくる少し攻めた本です。

ダイヤモンド社。 2020年9月9日刊。 280頁。 2,240円(税込)

English in East and South Asia: Policy, Features and Language in Use

English in East and South Asia: Policy, Features and Language in Use
James D'Angelo (国際学部教授)他著

In this book, edited by Singaporean Scholars Ee Ling Low and Anne Pakir, Professor D'Angelo wrote chapter 9, with co-authors Yamaguchi Toshiko and Fujiwara Yasuhiro.
The chapter is titled 'Features of Japanese English', and covers syntactic, lexical, phonological and pragmatic features of Japanese English.
It is hoped that the chapter will be useful to scholars who would like to learn more about English in Japan, and pursue their own research into features of Japanese English.

Routledge. 2021年10月31日刊。336頁。£96.00 (Hardcover)

英語教育のエビデンス: これからの英語教育研究のために

英語教育のエビデンス: これからの英語教育研究のために
亘理 陽一 (国際学部教授)他著

1990年初頭に広がった「エビデンスに基づく医療」の議論を受け、英語教育の世界においても、「エビデンス」に基づいた英語教育研究の必要性が盛んに言われるようになった。本書では、英語教育研究におけるエビデンス利用の可能性、意義だけでなく、その問題点についても厳しく問い直し、英語教育研究のパラダイムシフトを提案する。2016年出版『はじめての英語教育研究』の続編。英語教育研究者、とりわけ論文査読者必携。

研究社。 2021年9月24日刊。 220頁。 2,500円+税

継承と共有:所有と交換のかたわらで

継承と共有:所有と交換のかたわらで
栂 正行(教養教育研究院教授)著

世の中には入学試験、資格試験、そして就職試験の四択問題の英語など、作成者が答えをひとつに決めないと公平な採点の成り立たない問いがある。他方、当初は答えと見えたものが、時代や状況の変化とともに変容する問い、そもそも問いの存在そのものが最初はおぼろげにしか見えないか、多くの人の気づかない問いもある。どちらにもバランスよく対応できることが生きるためには必要だが、本書は後者にいっそう深く関わる。人は疲労困憊の末、たったA4一枚の文書を書き上げるだけでも、またたとえば真実は死に瀕しているといった表現などに接するとなおさらのことに、ことばにも人の生涯に似て、誕生、成長、活動、衰弱、死という表現で語りうる側面があるとの思いに至る。そうした諸段階を彫琢して一定量に仕上げたのが言語芸術としての文学作品。これを継続的に鑑賞し続けると、ウィリアム・シェイクスピアの芝居、チャールズ・ディケンズの社会小説、夏目漱石の日本近代小説、カズオ・イシグロのどこの国を舞台としても成り立つ無国籍的現代小説、同時代の複数の映画監督の数多の映画作品と、いずれにも根底には多様にして複層的な愛(そしてひとつの死)があり、反復的テーマをなしていると気づく。しかしジャンル横断的に通底するこれらのテーマを捕捉し説明する手立ても、またことばなので、そこに到達できぬこともしばし。本書は、時に楽観的響きすらある継承と共有、さらには微温的な解釈を寄せ付けぬ飢餓と略奪、そして資本主義世界の環境にまでなっている所有と交換といった補助線をもって小説、絵画、写真、ブローシャ、映画などの文化的産物の本質の意味を問い、表現の発信者と受信者、創造者と受容者の間に成立する、眼に見える文字やモノなどを媒介とする共有の具体例について考察し、さらにその奥に見え隠れする認識一般の眼には見えざる共有についての考察に向かう多角的論考。

三月社。 2021年9月10日刊。 224頁。 2,000円+税

Language Teacher Education for Global Englishes: A Practical Resource Book

Language Teacher Education for Global Englishes:  A Practical Resource Book
James D'Angelo (国際学部教授)他著

本論集は、Selvi氏 や Yazan氏 によって編集された。この本には、世界中の教育者による実践的な英語教育アイデアの46章が含まれており、さまざまな教育者がグローバルイングリッシュパラダイムのさまざまな側面へのアクセスを可能にする方法として、World Englishes、EIL、および Lingua Franca としての英語の概念を紹介している。ダンジェロ教授は、本の要点をまとめた結論の章を執筆した。

Routledge. 2021年5月31日刊。316頁。£34.99 (paperback)