教員の本

スポーツとフーコー  ー権力、知、自己の変革ー

スポーツとフーコー  ー権力、知、自己の変革ー
ピルッコ・マルクラ、リチャード・プリングル 著 千葉直樹(スポーツ科学部教授) 翻訳

本書は、ピルッコ・マルクラ=デニソン(カナダ・アルバータ大学)とリチャード・プリングル(オーストラリア・モナッシュ大学)が、2006年にロウトリッジ(テイラー&フランシス)から出版した'Foucault, Sport and Exercise'の全訳である。ピルッコ・マルクラ=デニソン氏とリチャード・プリングル氏は、北米スポーツ社会学会(North America Society for the Sociology of Sport: NASSS)を中心に活動する研究者であり、フランスの哲学者ミシェル・フーコーの理論をスポーツ研究に取り入れた第一人者である。本書は、2007年に北米スポーツ社会学会の傑出した書籍賞(Outstanding Book Award)を受賞している(https://nasss.org/awards/outstanding-book-award/)。

本書は、3部構成になっており、「1部 権力、知識、自己:フーコー理論への導入」では、フーコーの人生や研究全般について解説がなされ、一望監視装置や生権力などのフーコーの理論について紹介している。「2部 スポーツと運動における身体と生きた経験のフーコー信奉者の解釈」では、フーコーの理論をスポーツ研究に応用したジェンダーに関する論文が紹介されている。具体的には、健康・スポーツ活動において女性がどのように抑圧されてきたか等の問題について具体的なインタビュー調査や参与観察などの方法を通して明らかにしている。「3部 倫理的な自己様式化の美学」では、「自己のテクノロジー」という概念をはじめとするフーコー晩年の理論をもとにしたスポーツ研究を掲載している。

晃洋書房。2021年2月20日刊。400頁 

Functional Variations in English: Theoretical Considerations and Practical Challenges

Functional Variations in English: Theoretical Considerations and Practical Challenges
James D'Angelo (国際学部教授)他著

J.ダンジェロ教授と他の2人が編集した本論集は、デリー大学のRavinder Gargesh教授の引退に捧げられている。Gargesh教授は、言語学者であるブラジ・カチュル教授の長年の同僚であり、『World Englishes』ジャーナルの諮問委員会の委員を務めている。本書は序文と『World Englishes』の著名な学者による21章、あとがきで構成されており、各章では今日見られる英語の機能的な側面を、世界中のさまざまな状況から探っている。

Springer. 2020915日刊。371頁。124,79 €

粉飾&黒字倒産を読む 「あぶない決算書」を見抜く技術

粉飾&黒字倒産を読む 「あぶない決算書」を見抜く技術
矢部 謙介(国際学部教授)著

本書では、会計の基礎教養から、決算書から粉飾や黒字倒産を見抜くノウハウ、粉飾や黒字倒産に至る経緯や末路、防止策・対応策、業績を回復させる経営改革を実行するためのヒントまでを豊富な実例を交えて解説している。この数字、何かがおかしい―。きれいな数字にだまされないための、企業の経理担当者、経営幹部、監査役、公認会計士・税理士、コンサルタント、投資家などに向けた実践的なビジネス書。

日本実業出版社。2020年9月1日刊。304頁。1,800円+税

エリアス・カネッティ「群衆と権力」の軌跡 ―群衆論の系譜と戯曲集を手がかりに―

エリアス・カネッティ「群衆と権力」の軌跡 ―群衆論の系譜と戯曲集を手がかりに―
樋口 恵(教養教育研究院助教)著

ユダヤ系のドイツ語作家エリアス・カネッティ。群衆現象の解明に生涯を捧げる決意をしたカネッティの思想は、その主著『群衆と権力』に結実した。群衆とは一体何で、それはいかにして権力と結びつくのか。本書は19世紀後半から20世紀前半にかけての群衆心理学と社会学的大衆理論の系譜を辿ることによって、またカネッティの戯曲群に現れた群衆理論・権力論に焦点を当てることによって、カネッティの思想の変遷を探っている。

晃洋書房。2020年7月30日。246頁。3,900円+税

Modelling World Englishes: A Joint Approach to Postcolonial and Non-Postcolonial Varieties

Modelling World Englishes: A Joint Approach to Postcolonial and Non-Postcolonial Varieties
James D'Angelo (国際学部教授)他著

本論集は、Buschfeld や Kautzsch によって開発された、"EIF" (Internal and External Forces)モデルを、Braj Kachruの3サークルを跨ぐ様々な国々に適用することについて考察したものである。本モデルは、Edgar Schneiderによるダイナミック・モデルの基本的枠組みに基づいており、それを非ポストコロニアルの環境に拡張するものである。ダンジェロ教授と名城大学の池沙弥准教授は本モデルをJapanese Englishの発展に適用している。

Edinburgh University Press. 2020年7月28日刊。440頁。£95.00

抽象と具体:創造行為を描き出すこと

抽象と具体:創造行為を描き出すこと
栂 正行(教養教育研究院教授)著

日々の生活をことばにして伝えるとき、すべてを語っては生活そのものと同じ時間がかかる。そこで抽象化にたよる。自然をいかに愛で具体に生きようと、抽象に至るきざはしのいくつかを登らずしては、横溢する具体に足をとられる。といって抽象の高みに安住すれば、具体が視野から外れ、的外れな日々を過ごすことになる。本書は二元論の崩壊を意識しつつも、なおこのふたつをつなぐ階梯を上下することで、その濃淡を意識し、文学はじめ芸術活動の創造行為のありようを探るジャンル横断的論考。

三月社。2020年5月20日刊。213頁。2,200円+税

地方自治入門

地方自治入門
入江 容子(愛知大学法学部教授)、京 俊介(中京大学法学部准教授)編著、桑原 英明(中京大学総合政策学部教授)、古川 章好(中京大学経済学部教授)他著

地方自治の制度はいかなるものであり、実際の自治体ではどのような活動がなされているのか。本書は、初めて地方自治に触れる大学生が様々な経験をするストーリーとともに、その世界を分かりやすく紹介する。また地方自治の背景にある歴史的・制度的要因も学ぶとともに、将来的な課題としての人口減少について、多様な観点から課題解決的思考が持てる構成を目指す。大学に入学した学生が最初に紐解くべき入門書。

ミネルヴァ書房。2020年5月14日刊。408頁。3,500円+税

保健科教育 改訂第4版

保健科教育 改訂第4版
家田 重晴(スポーツ科学部教授)編著、小磯 透(スポーツ科学部教授)他著

本書の初版は、1993年に「保健科教育法」のテキスト及び学生の自習用等として出版したもので、初学者が無理なく「保健科教育」に関する必要最低限の知識や技術を得られるように内容を構成。その後、2000年に改訂版を、2010年に改訂第3版を発行。そして、今回の改訂第4版では、学習指導要領の大幅な改訂を受けて、関連の内容を刷新し、改訂部分をわかりやすく示すこととした。家田教授は「改訂第3版から加えた保健教育の各論に関する部分に関しても、分担執筆を依頼した先生方に、時代の変化に対応した内容の追加や修正を加えていただきました。本書が、保健体育科の教員を目指す学生諸君ほかの助けとなれば幸いです」とコメントしている。

杏林書院。2020年4月10日刊。210頁。2,200円+税

政治学入門(第2版)

政治学入門(第2版)
木寺 元(明治大学政治経済学部教授)編著、京 俊介(中京大学法学部准教授)他著

「政治現象と政治学を結びつける」というコンセプトのもと、政治現象を考える道具として、政治学のものの見方を届けます。読者に身近な最近の政治現象に関する具体例を用いて、政治の仕組みの説明と、政治学の基本的な分析を融合させることで、政治学を使うと政治現象がどう見えるかをわかりやすく説明し、政治に対して、説得力のある意見をもてるようになるために、政治学を伝えます。政治学の導入に最適のテキストをアップデートしました。

弘文堂。2020年3月12日刊。300頁。2,300円+税

改訂 新しい体育の授業づくり

改訂 新しい体育の授業づくり
杢子 耕一(スポーツ科学部教授)、家田 重晴(スポーツ科学部教授)、勝亦 紘一(中京大学名誉教授)編著

本書は、スポーツ科学部の教員が中心となって執筆した2012年発行の「新しい体育の授業づくり」の改訂版である。学習指導要領の改訂を踏まえ、保健体育科教員を目指す学生向けの体育授業づくりの入門書を、最新のスポーツ科学や健康科学、体育の授業研究の成果を盛り込んでリニューアルした。「アクティブ・ラーニングの考え方を活かした指導法」も紹介している。

大日本図書。2020年3月10日刊。208頁。税込み2,200円