教員の本

魚類学の百科事典

魚類学の百科事典
桑村 哲生(中京大学国際教養学部教授)編集委員長

この百科事典は桑村教授が同学会長を務めていた2016年に、学会設立50周年記念出版とすることが企画され、10月5日~8日に東京で開催された2018年度日本魚類学会年会(50周年記念大会)で完成本が披露された。

魚類の分類、系統、形態、分布、生態、行動、生理、発生、遺伝、保護、社会との関わりの11章に章立てした291項目について、国内外で活躍する研究者など221名が執筆している。「読む百科事典」として、各項目は見開き2頁(一部は4頁、コラムは1頁)の読み物になっており、一般の人々にもわかりやすく解説している。

丸善出版。2018年10月5日刊。718頁。本体21,600円(税込)

English-Medium Instruction from an English as a Lingua Franca Perspective

English-Medium Instruction from an English as a Lingua Franca Perspective
James D'Angelo(国際英語学部教授)他著

本書(Routledge社刊)は早稲田大学村田久美子教授編集による論集であり、ダンジェロ教授はExpanding ELF-Informed EMI in Japanese Higher Educationと題した論文を寄稿している。国際英語学部における英語による専門の講義についてその意義を論じ、2006年から2014年まで実施した国際英語学部卒業生に対する定性調査から得られた結果を提示した。その上で、日本人学生が英語を使用言語とする専門の授業において海外の学生と対等に競い合うために必要な英語教育上の様々なアプローチについて提案した。

Routledge社。2018年9月1日刊。

教師の協同を創るスクールリーダーシップ

教師の協同を創るスクールリーダーシップ
杉江 修治(中京大学国際教養学部教授)・石田 裕久(南山大学名誉教授)著

編者はこれまで多くの小、中、高校の授業改善にかかわってきた。児童生徒の意欲の高まりと生き生きと機能する教師集団によって大きく変わった学校では、必ず有能なスクールリーダーが存在していた。本書では、校長を核とした5つの改善事例を紹介し、最後にそれらの底にある組織づくりの原理を明らかにすることができた。

ナカニシヤ出版。2018年9月刊。148頁。本体2,200円+税

教養小説、海を渡る

教養小説、海を渡る
杉浦 清文(国際英語学部准教授)・武井 暁子(国際教養学部教授)・林 久博(国際教養学部准教授)著

本書は19世紀初めにドイツで主流となった教養小説が文学ジャンルとして定着し、ヨーロッパ他国へ、そして海を渡り、世界に広がるダイナミクスを伝える。著者3名による6つの論考は教養小説の起源から始まり、近代日本、カリブ海地域、2000年代のイギリス児童小説までを網羅し、教養小説の一般性と多様性を明らかにする。中京大学文化科学叢書19。

音羽書房鶴見書店。2018年3月1日刊。252頁。本体3,000円+税

ひとりで学ぶ会社法

ひとりで学ぶ会社法
久保 大作(大阪大学大学院高等司法研究科教授)・森 まどか(中京大学法学部教授)・榊 素寛(神戸大学大学院法学研究科教授)・松中 学(名古屋大学大学院法学研究科准教授)著

「会社法の山」を登り切るために必要な技術と体力を手に入れるための問題集。初級=Hiking、中級=Trekking、上級=Climbingの問題で構成される。主に初級では、教科書を読むだけでは身に付かない条文検索・操作能力を高めるように意図されている。解説も、いわゆる「行間を読め」ではなく、学生の理解が困難なところを砕けた表現で明快に説明する。

有斐閣。2018年4月20日刊。321頁。本体2,700円+税

司法権の国際化と憲法解釈-「参照」を支える理論とその限界

司法権の国際化と憲法解釈-「参照」を支える理論とその限界
手塚 崇聡(国際教養学部准教授)著

本書は、国内裁判所が憲法解釈の際に国際法規範を「参照」することについて、それがどのような方法でなされ、どこまでそれが可能であるかを検討したものである。この「参照」を長年行ってきたカナダ最高裁判所は、国際法規範そのものを「適用」するのではなく、政府が締結していない国際法規範をも「参照」してきた。こうした海外の実践とそれに対する学説を踏まえつつ、憲法解釈における国際法規範の「参照」手法とその正当性、さらには限界を探る。

法律文化社。2018年4月30日刊。262頁。本体5,600円+税

引用と借景-文学・美術・映像・音楽と旅の想到

引用と借景-文学・美術・映像・音楽と旅の想到
栂 正行(国際教養学部教授)著

レポートや卒論を書くにあたり先行研究に注を付けながら引用を行うのは学生ばかりではない。文学、美術、映像、音楽、建築、そして屋外のパブリックアートには、引用と借景という語彙で語れる多様な創造行為が潜んでいる。本書は東海道を移動しつつ、屋内外それぞれの時空間でのオブジェのあり様を凝視し、ただのモノやことばがいかなる文脈で創造行為につながり、人の心へと至るかを考える。

三月社。2018年3月9日刊。222頁。本体2,200円+税

社会関係資本の地域分析

社会関係資本の地域分析
埴淵 知哉(国際教養学部教授)編

本書は、地域の視点から社会関係資本(social capital)を考える試みである。社会関係資本は、信頼やネットワークなど人々のつながりを総称する概念として、社会科学の大きな潮流を生み出してきた。この社会関係資本をどのように測り、分析するのか。社会関係資本が豊かな場所はどこなのか。そして社会関係資本はなぜ地域の特性とみなしうるのか。こういった疑問に対して、本書は地理学の視点と方法を用いて答えを探っていく。

ナカニシヤ出版。2018年2月28日刊 。176頁。 本体3,000円+税

ナースの"困った!"にこたえる こちら臨床倫理相談室-患者さんが納得できる最善とは-

ナースの
稲葉 一人(中京大学法科大学院教授)・板井 孝壱郎(宮崎大学医学部教授)・濱口 恵子(がん研有明病院緩和ケアセンター) 編

臨床で看護師が悩ましく思う看護場面をあげ、看護師からの疑問・相談にこたえるかたちで臨床倫理の専門家が考え方を解説。法的、倫理的のそれぞれの観点から読者に直接語りかけるような語調で展開しているため、レクチャーを受けているような感覚で読み進められる。日々の業務でジレンマを抱えている看護師、患者・家族や多職種との対話を担う看護師必携の一冊。

南江堂。2017年12月25日刊。 233頁。 本体3,000円+税

カズオ・イシグロの世界

カズオ・イシグロの世界
岩田 託子(国際英語学部教授)他著

2017年度ノーベル文学賞受賞を機に高まる関心に応えるべく、かつてカズオ・イシグロを特集した『水声通信』2008年9・10月号が単行本となった。愛読者も多く、研究者も育つなかで、いっそうの受容・理解が日本においても進むことが期待される。所収の「映像にイシグロはなにを見るか」では、脚本執筆・制作者としての一面・映画化自作とのスタンスなど、作家活動初期からの映像界での営みを追い、イシグロの奥行きを示している。

水声社。2017年12月刊。216頁。本体2,000円+税