教員の本
中国研究論集
中京大学社会科学研究所叢書18
中京大学社会科学研究所中国の文化と社会研究プロジェクト編
編集代表 大沼 正博(教養部教授)
一衣帯水と表現される日中関係。「近くて遠い国」の間に横たわる大海原は近頃波の荒さばかり目立つようである。しかしこういう時にこそ冷静な視線を中国に向ける必要がある。中京大学社会科学研究所に所属する研究者が文学、歴史、言語、民族、民俗などを、また古代から現代までを論じている本書を繙けば、様々な視点から見た総合的な中国像を浮きぼりにすることが可能である。
白帝社。2006年2月28日刊。225頁。
岩波講座「帝国」日本の学知 第1巻―「帝国」編成の系譜
浅野 豊美(教養部教授)共著
アジア共同体等の冷戦後の世界認識のあり方を、かつての帝国日本を支えていた学問とその実践から問い返す。近年一世を風靡した『岩波講座近代日本と植民地』の姉妹編。全8巻の初巻となる本書は政治学・法学・植民政策学が、国内・国際の二分法で理解不能な重層的秩序としての帝国をいかに顕現・機能させたかを8人で問う。巻末文献解題は諸学の財産目録的存在。
岩波書店。2006年2月24日刊。本文318頁。文献解題41頁。本体価格4,800円。
中国の国有企業改革と労働・医療保障
中京大学商学研究叢書第20巻
塚本 隆敏(総合政策学部教授)著
めざましい成長を続ける中国経済は、労働問題と医療保障問題という最大のアキレス腱を抱えている。
本書は、就業・失業・労使関係などの労働関係、国有企業改革にともなう社会保障関係、人民公社解体にともなう農民の医療保障関係など、社会主義市場経済化のもとでの政策的難題をとりあげ、その現状と問題点を解明する。
中京大学商学会。2006年2月20日刊。336頁。
空間・人・移動―文学からの視線
中京大学文化科学叢書第7輯
伊藤 進、郡 伸哉、栂 正行(教養部教授)著
本書は、登山、航海、内部への沈潜といった人間の移動行為のありようを、文学(時空克服の最良の手段である「言葉」を最大限に生かす営み)の中に探る試みである。伊、仏、露、英、印の具体的な場と文学をめぐりながら、約700年の時をさかのぼる。作品内外の多層的な移動を、読む行為、書く行為と共振させ、それらを一体化することをめざしている。
勁草書房。2006年2月10日刊。171頁。本体価格3,300円。
Respect and Disrespect: Cultural and Developmental Origins
杉江 修治(教養部教授)他著
本書はサウスイースタン・ルイジアナ大学のシュワーブ夫妻の編集になる「尊敬」についての比較文化的な論文集である。
「尊敬」「信頼」といった、社会生活上の重要でパワフルな行動に関する議論を実証研究に基づいて展開した緒論が並ぶ。
杉江氏は日本における「尊敬」行動の章を担当している。
Wiley Periodicals,Inc.2006年刊。93頁。
図説 スコットランド
岩田 託子(国際英語学部教授)他編著
英国ブリテン島北部スコットランドは、もとは別の王国で、今また地方議会が発足した複雑な歴史をもつ。住人はケルト民族系で、言葉も違った。
本書は、この地の野性的な自然と、独自の風物、暮らしぶりから音楽や映画までを図版や写真とともに紹介している。「スコットランド英語」「ジェイムズ・ケルマン」の項は板倉厳一郎教養部助教授執筆。
河出書房新社。2005年12月30日刊。143頁。本体価格1,800円。
国際政治事典
浅野 豊美(教養部教授)、佐道 明広(総合政策学部教授)他執筆
これは単なる理論の集積ではない。日本の歩みと世界の変化に対応した実践的課題を念頭に編纂された。理論・歴史・地域・政策・日本外交の5分野を柱に400余の研究者による2412項目。北朝鮮・台湾・靖国等を網羅し、防衛庁・米軍基地問題(佐道)、植民地・アジア歴史資料センター(浅野)等も凝縮して紹介。筆者別と項目別の索引で縦横に読めば時を忘れる。
弘文堂。2005年12月15日刊。1181頁。本体価格20,000円。
サラソトラオダ
生きて帰る―解放空間からの帰還〔韓国語訳〕
浅野 豊美(教養部教授)編、 李 吉鎭訳
日本帝国解体後の東北アジアを舞台とする日本人・朝鮮人の引き揚げは、膨大な在外財産、未払給与、残留孤児、補償他の問題を発生させたが、戦後日本人の記憶からは抜け落ちていた。既に日本で発刊された『故郷へ』が、今回、日韓歴史共同研究委員会の韓国側委員の先生の手で個人的推薦文を付され韓国語に翻訳された。韓国中央日報2005年11月24日で紹介。
ソル出版(韓国)。2005年11月30日刊。169頁。本体価格25,000ウォン。
自ら学ぶ力を育む教育文化の創造
杉江 修治(教養部教授)責任編集、犬山市教育委員会編著
本書は先進的な教育改革で知られる犬山市が発信した第二弾の著書である。犬山の改革の核心はそこで追求される学力観にあり、一人ひとりの子どもに最適の支援を行うための学校の自立という教育文化の創造にある。改革に携わる実践者を中心に、約60人の執筆者が一致した観点に沿う多様な実践を報告している。
責任編集者の杉江教授は改革の効果を解説した第3部も執筆。
黎明書房。2005年11月20日刊。233頁。税込2,940円。
実務労働法
橋詰 洋三(法務研究科長)著
筆者が昨年秋に上梓した『実務労働法Ⅰ』の姉妹編。集団的労使関係法の体系書で、同法領域の全ての問題をカバーし、重要争点判例のリーディングケースや最新のものをほとんど紹介している。『Ⅰ』と併読すれば、労働法の全体像を体系的に捉えることができるため、学部・大学院、ロースクールの教科書、社会保険労務士の研修教材等に広く活用されている。
社団法人全国労働基準関係団体連合会。2005年11月15日刊。354頁。本体価格3,000円。