教員の本
魔術師の遍歴 ジョン・ファウルズを読む
板倉 厳一郎(教養部助教授)著
昨年度本学学術図書出版助成を受けて出版された本書は、映画『コレクター』『フランス軍中尉の女』の原作者として知られる現代英国作家ジョン・ファウルズについて日本語で書かれた初の研究書である。博士論文(英文)の日本語訳が基盤になっているが、広範な読者を想定し、作品梗概、コラムなどを加え、初学者や文学愛読者にも読みやすくなっている。
松柏社。2005年3月31日刊。394頁。本体価格2,800円。
東シベリアの歴史と文化
中京大学社会科学研究叢書16
安村 仁志(教養部教授、社会科学研究所長)編著
社会科学研究所ロシア研究部会の共同研究をまとめたもので、前作『西シベリアの歴史と社会』に続くものである。
東シベリア・極東へのロシアの進出をめぐる全体像の概観(緒論)に続き、歴史・先住民・文化・宗教にかかわる問題について各々二論文という構成になっている。また、資料として詳細な年表、関連文献が添えられている。
成文堂。2005年3月31日刊。278頁。
金融機関の経営と株式市場
中京大学経済学研究叢書第13輯
小林 毅(経済学部助教授)著
本書の狙いは、金融機関と株式市場が相互に及ぼす影響を明らかにすることにある。銀行や保険会社は多額の株式を保有し、株価低迷で苦しんでいる。合併・買収等を意識して金融機関経営も株式市場の評価を無視できなくなっている。生命保険会社の株式会社化、銀行合併に対する株式市場の反応など興味深いテーマを取り上げ、実証分析による解明を試みている。
経済学部。2005年3月30日刊。106頁。
イスラーム地域研究叢書6 イスラームの性と文化
奥村 みさ(国際英語学部助教授)共著
本書はイスラーム研究叢書全8巻の第6巻であり、12編の論文を収録し、現代イスラーム世界の女性達の多様な生き方を論じている。そのうち、奥村論文「女性誌にみる『よそおい』とマレー文化の新伝統主義」は、女性誌を事例に、近代化によるマレー・イスラーム文化の変容、特にマレー人女性のジェンダー意識の変化を、華人女性のそれと比較し分析している。
加藤博編。東京大学出版会。2005年3月28日刊。320頁。本体価格4,800円。
これならできる 簡単エクササイズ
湯浅 景元(体育学部教授)著
生きている限り、自分の体は自分の力で動かしたい。そのためには、ある程度の体力がいる。その体力をつけるには、テレビを見ながらというように、何かをしながら体を動かすだけで十分である。この本では、簡単にできる運動の方法と理論を紹介している。なお、本書は「朝日新聞土曜版be」に連載してきた記事を単行本化したものである。
岩波書店。2005年3月24日刊。147頁。本体価格1,500円。
スポーツ六法
守能 信次(体育学部教授)他編著
スポーツに関連する基本の法令、国際条約や憲章、国内条例など、約320件を収録した総合スポーツ法令集。これまで目にする機会の少なかったプロ野球協約、Jリーグ規約、大相撲規則等に加え、スポーツ仲裁機構の裁定例や重要スポーツ事故判例も収録。これ一冊であらゆるスポーツ場面に対応できる、スポーツ選手やスポーツ研究者に必携の書である。各章解説つき。
信山社。2005年3月22日刊。925頁。本体価格3,200円。
世界最強名古屋経済の衝撃
水谷 研治(ビジネス・イノベーション研究科教授)著
好調な名古屋経済の秘密に迫りたいとの要請を背景にして、昨年に発行した本を改めて文庫本にしたものである。
経済は人に始まり人に終わる。働くことに幸せを見出すことができる人は幸福である。それらの人々が次々に良いものを作り出し、企業を支え社会を発展させ、国の経済を繁栄させる。それを実現しているのが名古屋の企業であり人々である。
講談社。2005年3月20日刊。249頁。本体価格648円。
新しい時代の金融システム
中京大学経済学部付属経済研究所研究叢書 第11輯
千田 純一(経済学部教授)他編著
本書は、グローバル化、市場化、情報化の流れの中でシステム・シフトを迫られている日本の金融の動向、問題点および課題を、中央銀行、企業統治、銀行自己資本比率規制、金融行政、金融グループ形成、外資参入などの観点から分析している。各執筆者は問題意識を共有しつつ各人の専門分野について詳しく分析しており、バランスのとれた研究書となっている。
経済研究所。2005年3月10日刊。165頁。
楽は楽なり―中国音楽論集
中京大学文化科学叢書6
明木 茂夫(教養部教授)主編
古くは甲骨文字の時代から新しいところでは現代の少数民族音楽まで、中国の音楽に関する論考を集めた論集である。内容も西洋音楽流入史や伝統戯曲音楽、古典文人歌曲、さらに失われた古楽器の構造、江戸時代に日本に伝わった明清楽など多岐にわたっており、他に類書のない中国音楽研究の専著だと言える。なお題名の「楽は楽なり」は『礼記』の中のことば。
文化科学研究所。2005年3月9日刊。203頁。
犬山の少人数授業 協同原理を生かした実践の事例
杉江 修治(教養部教授)編著
犬山市では、自治体独自の判断で少人数クラス授業が可能となったことを受けて、授業改革に取り組み、子どもの「学び」を促すという、学力形成のための基本を重視した手法を追求して実践を推し進めてきた。本書は、学びの授業を作りあげてきた犬山の教師たちの研究的実践の成果を集めたものである。
編著者は犬山市教委客員指導主幹もつとめる。
一粒社。2005年3月3日刊。185頁。税込1,400円。