教員の本

<著者>の出版史―権利と報酬をめぐる近代

<著者>の出版史―権利と報酬をめぐる近代
浅岡 邦雄(文学部准教授) 著

著作をめぐる著者と出版者の経済的営為は、第三者が窺い知ることのできぬ不明の領域である。
本書は、この厄介なテーマを、出版契約書、印税領収書、日記及び書簡といった一次資料を駆使して、著作の権利や報酬がどのような状況にあったかを考察したもの。『西国立志編』や兆民の『一年有半』、森鴎外、永井荷風などの契約や印税等が解き明かされる。
森話社。2009年12月11日刊。255頁。本体2,835円

A Sea for Encounters

A Sea for Encounters

Essays Towards a Postcolonial Commonwealth

板倉厳一郎 (国際教養学部准教授) 他著

イギリス連邦におけるポストコロニアル文学やいわゆる「ブラック・ブリティッシュ」の文学、およびポストコロニアル文学研究の新しい流れを論じた論文集。 板倉准教授はゼイディ・スミスの『直筆商の哀しみ』(2003)を論じた章を担当し、新進気鋭のカリブ系イギリス作家が自分の出自とは大きく異なる中国系ユダヤ人という主人公を据え、「直筆商」という特殊な業界に焦点を当てることで何を描こうとしたのか探っている。
Rodopi社。2009年12月10日刊。428頁。85ユーロ

教師教育テキストシリーズ3

教師教育テキストシリーズ3

教育史

小峰総一郎(国際教養学部教授)他著

西洋・日本を一冊に収めた「教育史」テキストで、小峰国際教養学部教授は「ドイツの新教育」を担当。従来あまり知られていないベルリンの「生活協同体学校」やシャルフェンベルク島学校農園、ノイケルンの実科ギムナジウムの新教育実践を掘り起こし、それらが、自然や文化に対して能動的に立ち向かう<人格>の育成を目指した点に現代的意義を見る。
学文社。2009年10月15日刊。238頁。本体2,200円。

社債権者保護の法理

社債権者保護の法理
森 まどか(法学部准教授)著

本書は、「社債権者は常に保護されなければならない」などという主張をするものではない。社債権者と株主の利害調整が企業価値最大化につながることを前提として、社債権者保護の必要性を含めそのあり方を考察するものである。こうした大局的視点に立つことで、従来認識されなかった諸制度の意義と問題点が自ずから浮き上がってくるはずである。
中央経済社。2009年9月30日刊。251頁。本体4,600円

絶対うまくなる! バレーボール

絶対うまくなる! バレーボール
青山 繁(男子バレーボール部コーチ)監修

バレーボールをするうえで、最も大切なもの。それが基礎である。サーブ、パス、スパイク、ブロック。誰もが知っているプレーの根本、オーバーパスは目の前におにぎりのような三角形をつくって――。当たり前のことが、この本では丁寧に綴られている。すべての、バレーボールを愛する人たちに伝えたい、最もベーシックな指導教本である。
主婦の友社。2009年9月30日刊。159頁。本体1,500円。

和でエクササイズ

和でエクササイズ
湯浅 景元(体育学部教授)著

日本人が行ってきた健康づくりの運動は、海外から輸入されたものが主流であった。たとえば、ウォーキング、ストレッチング、ピラティスなどである。しかし、日本で古くから伝えられている武道、芸能、作法の動作には、健康づくりに役立つ情報が数多く含まれている。本書では、それらの中から代表的な動作を取り上げて、理論と実践について紹介している。
岩波書店。2009年9月9日刊。106頁。本体1,200円。

授業を変える研究的実践の文化の中で

授業を変える研究的実践の文化の中で

協同教育実践資料11

杉江 修治(国際教養学部教授)他監修

本書は、2001年度から継続的に犬山市で開催されている、学校を越えた教師の実践的研究交流の場で生まれた成果をまとめたものである。協同学習の原理を基盤に据えて、多様な教科・教材について教師たちは仮説―検証の形で実証的に検討し、より良い授業づくりを重ねてきた。
監修者は、犬山市授業研究会に当初から助言を行ってきた。
日本協同教育学会。2009年8月25日刊。175頁。本体2,381円。

近代日本の自画像―作家たちの社会認識―

近代日本の自画像―作家たちの社会認識―

中京大学経営研究双書No.30

寺岡 寛(経営学部教授)著

近代社会としての日本社会を、作家たちはどのように描いてきたのだろうか。20人の作家たちをとり上げ、彼らの社会認識を紹介している。本書では作家の範囲を広くとらえている。小説家や文芸評論家だけでなく、経済評論家や経済学者も含まれる。そうした作家たちの近代日本の自画像を通して、日本社会の今後のあるべき姿を探っている。
経営学部。2009年8月15日刊。293頁。

文化資本としてのエスニシティ

文化資本としてのエスニシティ

シンガポールにおける文化的アイデンティティの模索

奥村 みさ(国際英語学部教授)著

シンガポール多民族都市国家は現在、国家存続の重要課題の一つとして文化的アイデンティティの創出に苦闘している。本書はその取り組みとしての言語・文化政策に焦点を当て、その政策の影響を主観的エスニシティ認知からナショナル・アイデンティティの形成まで、一次資料、若者への意識調査や伝統的文化遺産などの豊富なデータと事例をもとに論じている。
国際書院。2009年8月9日刊。346頁。本体5,400円

フラメンコのすべて

フラメンコのすべて
有本 紀明(国際教養学部教授)著

フラメンコは、スペイン南部のアンダルシアを舞台に、様々な民族と文化の混血、共生、出会いを繰り返した歴史の美しい結実である。このカンテ(歌)とバイレ(踊り)とトケ(ギター)からなる稀有の芸術に決定的な形を与えたのがロマである。本書は著者自らの体験と、昨今進展著しい「フラメンコ学」の成果を踏まえ、フラメンコの全貌を明らかにする。
講談社。2009年8月3日刊。368頁。本体2,600円。