好きなロボットは何ですか?と聞かれた時、
あなたは何と答えるでしょうか。

人によって、世代によって、思い浮かべるロボットは違えども、
あのころ夢中になったロボット達は、私たちにワクワクするような未来を見せてくれました。


あのアニメのロボットを実際に作りたい!


日進月歩、目まぐるしく技術が発展する現代。
自動運転技術など人の生活に目に見えて役に立つ研究が注目されるなか、
あのころ見た純粋な夢は、現実的じゃない幼稚な夢と馬鹿にされるでしょうか。


そんなことして何の意味があるの?
と大人のあなたは問います。

“この世の中に意味のない研究なんてないんです”
中京大学工学部のハルトノ・ピトヨは答えます。


夢に駆り立てられた情熱が、一見無駄なように思える研究が、まだ見ぬ未来への挑戦が、素晴らしい発見の”種”になる。


“できない理由を並べるよりも、どうすればできるか考えよう”


『永遠の挑戦者たち』
連載第一回目は、世界中から実現不可能だと言われたプロジェクトに立ち向かった挑戦者の話

1.横浜に突如現れた巨大ロボット

神奈川を代表する観光地である横浜中華街。
そこから少し離れた山下公園ふ頭の「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」では、 放送開始から今に渡り、多くの人を魅了してきた国民的TVアニメ『機動戦士ガンダム』の放映40周年記念プロジェクトの一環として、実物大"動くガンダム"が公開されています。

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全高はアニメ設定と同じ18m。
2009年に東京都お台場の潮風公園に登場した実物大ガンダム立像と異なり、今度のガンダムは動きます。
作ったのは「Gundam Global Challenge(GGC)」プロジェクト。

プロジェクトの設立は2014年。世界中から実物大ガンダムを動かすアイデアを集めるオープンイノベーションを通じ、さまざまな知恵と技術を取り入れて、2020年に実物大“動くガンダム”を見事に実現させました。

中京大学工学部のハルトノ・ピトヨ教授も、このプロジェクトのリーダーの1人です。

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ハルトノ・ピトヨ教授のプロフィールはこちら

2.「バカバカしいことしよう」

―――
今日はお招きいただきありがとうございます。近くで見るとガンダムの大きさに圧倒されますね。
ハルトノ
そうでしょう。こればっかりは是非現地で見てほしいんです。こんな大きなものが実際に動いているんだってのを肌で感じてほしい。
―――
なんだかアニメの世界が現実になったような不思議な感覚です。フィクションの存在なのに、最初から実在していたような。
...なんというか妙な説得力があります。
ハルトノ
ははは、逆に僕は今でも良い意味での違和感がありますよ。なんでこんなのが動いているんだって(笑)
なんていうのかな、フワフワしてる夢を見ている感覚。
―――
これを"動かす"ということは、それぐらい信じられないプロジェクトだったのですね。
ハルトノ
簡単そうに動いているように見えますけど、単に「動かす」といっても、生半可な事じゃありません。
全高18m、これは身長180cmの人間の10倍のサイズですけど、高さが10倍大きくなると、その分重さ(体積)は10×10×10=1000倍重くなります。
慣性モーメントを考えれば、人の10^5倍動きにくい。これは通常のロボット工学の"外"にあるもの。そんなのが動いているんです。
―――
ハルトノ先生の専門は人工知能のロボットへの応用で、人間と機械の間で知識の転移が可能な人工知能などを研究されてきました。
GGC のプロジェクトリーダーの1人として「実物大のガンダムを動かす」と聞いたときはどう思われましたか。
ハルトノ
ワクワクしましたね!純粋に嬉しかったです。

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―――
驚きはなかったですか。
ハルトノ
とても驚きましたよ。僕は橋本先生からお誘いを受けたんですけど、また先生が変なことを言い出したと思いました(笑)。僕の専門は人工知能の理論に近く、50cm以上のロボットを作ったことはないんですよ。
それなのに急に連絡がきて「バカバカしいことしよう!一緒に18mのガンダムを動かそう!」でしたので。
―――
橋本周司先生は、ハルトノ先生が学生時代に師事した早稲田大学名誉教授ですね。先生と同じGGCプロジェクトリーダーの1人で、世界的なロボティックスの権威と言われています。
ハルトノ
なんで僕が誘われたんだろうと思いました。橋本先生自身もそうですが、先生の周りには沢山の優秀な弟子がいるんです。その中には"コテコテのロボット屋"達もいて、それなのになんで僕?
さっきも言いましたが僕はロボットエンジニアリングが専門というわけではないんですよ。
―――
橋本先生からすごく信頼されているのですね。
ハルトノ
どうかな、おそらく弟子の中で一番できの悪い弟子を選んだんじゃないかな(笑)
先生は僕の教育課程がまだ終わってないと思ったんじゃないですか。
―――
他にも橋本先生のお弟子さんは今回のプロジェクトに係わっていらっしゃるのですか?例えば先ほど話になった、こういったロボット制作を専門にされているエンジニアの方は。
ハルトノ
係わっていませんね。実際その方々がすごく忙しいというのもありますが、もしかすると橋本先生が"コテコテのロボット屋"よりも、違う分野の違う考えの人が、先入観のない意見を持っていて、そういった考え方がブレイクスルーに繋がると思ったのかもしれませんね。
実際に、実物大のガンダムを自立させて歩かせるという企画は、世界中の多くの専門家から「無理だ」と言われるような企画でしたので、この時点で既にいくつもの発想の転換が必要であることがわかっていました。
―――
かなりチャレンジングな企画だったのですね。誘われた時に不安はなかったですか。
ハルトノ
僕自身は、すごく難しいけどできると思っていました。実際18mを超える動くものは存在します。例えば観覧車やロケット、昭和のころデパートとかホテルの屋上にあった回転レストランだってそう。
なので柔軟な考え方(ロボット工学から少し出る考え方)は必要だと思うけど、できなくはないと思いました。
なにより、あのガンダムを作るんだという喜びの方が勝りましたね。僕は日本のロボットアニメが大好きで、本当に子どもの頃から憧れていましたから。

3.荒唐無稽と言われたプロジェクト

ハルトノ
最初にこのプロジェクトが立ち上がった時に、世界中から実物大ガンダムを動かすアイデアを集めました。国内外からプロアマ問わず沢山の方から実物大ガンダムを動かすアイデアが送られてきました。すぐに使えるアイデアはありませんが、面白いものはたくさんありました。
でも同時に、今のロボット技術では到底不可能に近いという意見も多く寄せられました。
ハルトノ
実際とても苦労しました。最終的に実現するまでに、外装の軽量化や、デザインの調整、制御プログラムの構築など、沢山のブレイクスルーがありましたが、中でも一番大きかったのはこの実物大ガンダムを18mの一つのロボットとして動かすのではなく、7-8mの複数のロボットに分けたことですかね。
これはテクニカルディレクターの石井啓範さんのすごい発想の転換です。
―――
いろんな発想の転換があったからこそ、動くガンダムが完成したのですね。
ハルトノ
もともとフィクションの世界のロボットなので、技術的に無理のある構造が沢山ありました。
でもそれを実際のエンジニアリングに落とし込むことに意味があったんです。 そんな無理を通すために、色々な知恵と技術を様々な分野から結集しました。
―――
ロマンがありますね。最新の技術が沢山使われたのでしょうか?
ハルトノ
実は今回"最先端の技術"というものを使ったわけじゃないんですよ。いわゆる"枯れた技術"を多方面から結集したんです。「枯れた技術」というのは、すでに広く使われていて、信頼性が高くなった技術のことです。つまり、今ある技術の組み合わせで、無理だと言われていたことを実現したんです。
―――
まさに日本のものづくりの集大成だったのですね。皆が一丸になって作り上げたと。
ハルトノ
そうですね。もちろん苦労はありました。大きく分けて9の会社が関わっているんですが、企業文化が違うんです。建築関係、ロボット関係、重機関係。話す言語が違う(笑)。
まずは名称の統一から始めました。

4.僕たちはニュータイプになれる?

―――
ここからは普段先生がされている研究について伺いたいと思います。今一度先生の研究テーマを教えていただけますか。
ハルトノ
僕はずっと「知能の創発」に興味があるんです。
―――
知能の創発ですか
ハルトノ
幼いころから、世の中のありとあらゆる仕組みに興味があったんです。特に「知能はどうやって生まれるんだろう」って。これは人間やAIに限らず、植物や自然もそう。
例えば、植物の茎が光の方に伸びていく性質や、ミツバチが仲間に花のある場所を教えるための8の字ダンス。こういう知能はどうやって生まれるんだろうってずっと考えていたんです。
そうやって考えているうちに、これを解明することが僕の夢、生涯におけるテーマになりました。

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―――
それを解明する手段として人工知能の研究をされているんですね
ハルトノ
そうですね。でも仮想の世界だけじゃダメなんです。僕は知能が生まれるにはコンピューター(脳)だけじゃなくて身体が必要だと思っているんですよ。つまり環境とのインタラクションが必要なんじゃないかって。
―――
環境とのインタラクション? それはどういうことでしょうか。
ハルトノ
例えば、今僕の研究室では擬似的な痛みを発生させる研究をしています。ロボットが動いて、何かにぶつかったら、操縦者に「痛い」というフィードバックが送られる。そういうインターフェイスを作りました。
これは人間がロボットの痛みを感じることでロボットが体の一部になるような、人間の身体が"拡張"されるような感覚です。身体が拡張したら、それに合う新しい知能がうまれる可能性があります。
―――
痛みがフィードバックされるというのは、なんだか嫌ですね
ハルトノ
そうです、嫌でしょう。だからこそ、痛みっていうものは人や動物の生命を守るための最も重要な信号の一つなんですよ。
痛みは身体的または心理的な危険を知らせる合図で、我々にとって不快な感覚です。
人は生涯にわたって痛みを伴う危険な状況を経験することで、日常生活のあらゆる場面で痛みを環境とのインターフェイスとして用いているんです。

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ハルトノ
少しファンタジーな話に聞こえるかもしれませんが、僕はロボットと人間の間にある境界線を取り払いたいんです。
どこからが人間でどこからがロボットかわからなくなればいいと思ってる。たとえば福祉工学からみると、義手義足がそれです。
今これもすごく技術が進んでいるけど、やはり、まだ「ここから人間」「ここから機械」という境界があります。
ハルトノ
この境界線を取り払うには、やはり学習が必要なんです。
例えば小さい子が歩けるようになるまでには、バランスをとったり転んだり、痛みを学習の信号として使い、沢山経験しますよね。そういった積み重ねの学習の中で知識が生まれて、最終的に歩けるようになる。
ロボットだって、このガンダムだって多分一緒なんです。
ハルトノ
なので僕の研究にとってもこのガンダムを作る事はすごく意義があった。
例えば、今このガンダムは人間が操縦しているんじゃなくて、緻密な制御プログラムで動かしています。普通の人間は、24の自由度(関節)があるロボットは操作が複雑すぎて操縦桿で動かすことはできないんですよ。それこそ「ニュータイプ」じゃないと(笑)
―――
「ニュータイプ」とはガンダムの作中に登場する「超人的な直感力と洞察力を持つ新人類」のことですね。
ハルトノ
そうです。でも僕の理想は「乗ることによって誰もがニュータイプになれるロボット」を作る事なんです。
このガンダムが本当のモビルスーツだったら、つまり"人間の延長"だったら。
外にいるロボットは中にいる人間の意志などを学習する。中の人間もロボットが自分の体の一部であるように学習する。そういった相互学習によることで、新しい知能が生まれ、このガンダムも自由に操縦できるようになる。
―――
それが、先生がおっしゃるロボットと人間の間にある境界線を取り払うということですね。
ハルトノ
そうです、そうすれば色々なことができますよ。例えば、義手ひとつとっても、延長線上にある手がこんなガンダムのような大きな手でもいい。
もっと言うなら、距離や空間の制限を取り払うことができます。例えば火星でロボットが石を触ったらそのゴツゴツ感が伝わる。それって人間の手が火星に伸びるみたいなものですよね。距離も無視できる。僕はいろんな仕切りを取っ払いたいんですよ。

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5.夢を追い続ける限り、このワクワクに終わりはない

―――
先生が今までされてきた研究を拝見すると先ほどの「痛覚錯覚」の他にも「触覚提示」、「音楽認知」など本当に様々なテーマで研究されているように感じます。思い入れのある研究などはありますか?
ハルトノ
思い入れのある研究ですか、、、、
「知能の創発」というテーマを起点に色々な研究をしました。成功したものもあれば、もちろん失敗したものもある。外部資金だってとれる時と、本当に中々とれないときもあった。
ハルトノ
「今まで一番良い論文はどれですか」って質問はよく聞かれるんですよ。僕はいつも「次に書く論文です」って答えます(笑)。次の研究が、またその次の研究が、一番思い入れのある、印象的な研究になればよいと思っています。
なので先ほどの質問は「まだない」が答えですね。いつの日か次の論文を書けなくなった時にそれを考えます(笑)
―――
いまのすごく良かったです(笑)。
一つの目標が叶った時には、すでにその次の目標を見据えているんですね。
ハルトノ
そうですね。そもそも1つでも知りたいことが知れたら、1つ嬉しいじゃないですか。
でも知れば知るほど、世の中はまだまだ知らないことだらけで、自分が何もわかってない事が同時にわかるんです。だからずっと終わらない。夢を追い続ける限り、多分このワクワクに終わりはないです。

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ハルトノ
今のAIの技術進歩はすごい、研究者としては、たまに息苦しく感じる事もあります。何かやろうと思っても、もう誰かが既にやっていることが多い。なにより工学分野は"役に立つ研究"が求められる。
なかなか新しい事ができない。
ハルトノ
なので、なんていうのかな。気にせず自分がやりたいことをやる事が大事だなと思っています。例えば、なかなか論文通らなくても、自分が「これ面白いぞ」と思うことをやる。
痛みの研究もそうだったんです。なかなか世間に分かってもらえなかったけど、自分では「これ面白いな」ってずっと思ってたんです。 痛みは人間にとって非常にプリミティブな信号で、こんなに良い信号をなぜ工学分野で使っていないんだろうってずっと思っていた。
―――
なるほど、突き詰めていき形になったのですね
ハルトノ
かなり苦しんだけどね(笑)

6.大学は人生の夏休み?

―――
今の話は本当にアカデミア研究の本質のようでしたね。企業の利益追求型の研究ももちろん素晴らしいですが、こういった純粋な好奇心が原動力になる大学での研究の魅力とはなんでしょうか。
ハルトノ
そうですね。ひとつ言えるのは「自由である」ことですかね 。
―――
自由ですか。
ハルトノ
ええ、要は何を考えてもいい。自分が好きなこと、面白いと思うこと。あとはその考えに責任をもって実現するだけ。
そういった、それぞれの人間が、それぞれの夢を突き詰めていけることが魅力じゃないでしょうか。もちろん壁にぶち当たる事もあるけど、僕はそれすら魅力的に思います。
ハルトノ
学生にも「せっかくだから大学でしかやれないことをやりなさい」と言うんです。そういえば、よく学生がふざけて「大学は人生の夏休みだ」って言いますよね。
とらえ方はさておき、僕は良い意味での夏休みにしてほしいんです。子どもの頃の夏休みってワクワクして、何でもできる気になりませんでした?
要はその時にしかできないことを、自分が夢中になれることを全力でやる。大学ってそういう所だと思うんです。
―――
それはすごく素敵な考え方だと思います。
ハルトノ
大人になると、そういうことがどんどん難しくなっていくんですよね。経験と知識が蓄積されていくことで、逆にそれが邪魔になってしまう瞬間がある。 夢中になる前に、夢中になれない理由を探してしまうんです。 僕は学生を指導する身として、そういった大人にはなってほしくない。
うちの研究室からは、研究を通じて自由人を輩出したいんです。

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7.夢は大きい方がいい。いっそ道半ばで死んでしまうぐらいが

―――
今後の研究の展望を聞かせてください。
ハルトノ
アインシュタインやシュレディンガーみたいな有名な科学者の多くは、自身の夢の道半ばで死んでるんです。それは何故かというと、自分の研究を終わらそうとしていないんですよ。次の論文、次の論文と書き続けている。
論文は最後に「今後の展望」というものを書く箇所があるんですが、ここがちゃんと書けるということはその研究は終わっていないんです。まだ続きがある。僕もそういう研究をし続けたいんです。
「どこまでやりたい」と言うと、そこが夢の終着点になっちゃうでしょう。
―――
このコラムは、大人にこそ読んでほしいと思っているのですが、読者の方にメッセージはありますか。
ハルトノ
夢っていうのは、目を覚まして勉強すれば叶うんじゃないかと思ってるんです。
自分の夢について自分で真剣に考える。考えて考えて、考え続けると、論理の道ができるんじゃないか思うんです。
つまり、夢を叶えるにはこうやってやればいいんじゃないかっていう、道筋が見える。
ハルトノ
学生にも言ってるんですけど、最初ってなんでもつまらないんですよ。
わかんないから、知識が無いから。でもそれで辞めたら、ずっとつまらないままで終わっちゃうんです。
面白くなるまでやらないと、いつまでたっても面白くなんてならないんですよ。
最初はつまらないかもしれない、でもやりつづけると、自分の論理が、努力が、後ろから押してくれる。そうやって夢への道ができると思うんです。
ハルトノ
これは子供も大人も関係ないんじゃないかと思います。
でも大人になると、優秀になると、経験と知識が逆に邪魔になってしまうときがある。できない理由ばかりさがしてしまう。
でもこれってガンダムと一緒なんだよね。実物大"動くガンダム"も最初はいろんな人が実現不可能だと言った。でも実際には、多くの人が考えて考えて、論理を推し進めて実現した。
できないというのは簡単だけど、できない理由を並べてもできるようにはならないんです。
僕は「できないと言う側」に回りたくない。

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―――
最後に、この実物大"動くガンダム"は公開期間が延長され2024年の3月まで公開されます。これから見にくる人に対して何を感じて欲しいですか。
ハルトノ
まずは実物をみて驚いて欲しい。アニメの世界のロボットを実際に作って動かした。そんなシンプルでパワフルな夢が一つ実現したことを知ってほしい。今ここまでできるんだって。
そして「次はどうなるんだろう」と考えてくれれば嬉しい。
このプロジェクトは一見役に立たないように見えるかもしれないけど、僕はこれが次の夢のきっかけになると信じてるんです。
ハルトノ
漠然と「夢をみなさい」と言う人がいるけど、これが一番よくないと思っています。まずは例を見せなきゃいけない。例えば会社の会議で「ブレインストーミングしましょう」と言ってもシーンとしますよね。"たたき台"を提示しないと議論は進まない。
このガンダムはある種の「次の夢へのたたき台」なんです。
そうなると批判的にも見れるでしょ。
「なんだ、まだこれだけしか動けないじゃないか」って。そこから議論が生まれる。そして新しい夢が生まれる。
ガンダムが歩く。これってアニメで言えばまだ第一話なんです。まだまだ物語には続きがある。
ハルトノ
さっきの話じゃないけど、僕の夢も僕が生きてるうちに終わらない可能性が高い。でも次の世代がいる。
いつか、この実物大"動くガンダム"を見て心を震わせた未来の挑戦者が、きっと夢の続きを描いてくれる。
人の情熱に火を灯す。この実物大"動くガンダム"はそういうものであってほしい。

取材協力:GUNDAM FACTORY YOKOHAMA (https://gundam-factory.net/

 

研究者プロフィール

1969年インドネシア出身。
幼少期から、植物や生き物など、世の中の自然現象の仕組みに興味があり、それを解明するために物理学を選択。
日本の技術力、文化(特にロボットアニメ)に興味があり、日本の早稲田大学理工学部に進学し、同大学大学院修士課程を卒業後、株式会社日立製作所に就職。学生時代に所属していた早稲田大学橋本周司研究室のOBゼミをきっかけに再度大学へ進学。公立はこだて未来大学システム情報科学部准教授などを経て、2010年より現職。
「知能の創発」をメインテーマに、ニューラルネットワークをはじめ計算知能の理論及びロボットへの応用を主な研究テーマとしている。
※取材時時点

ハルトノ・ピトヨ教授
中京大学 工学部

2023/04/10

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