スポーツ科学研究科の西川太智さん、スポーツ科学部の廣野哲也さん(日本学術振興会特別研究員PD)が日本トレーニング科学会で若手研究奨励賞を受賞
スポーツ科学研究科の西川太智さん(博士後期課程1年)と、スポーツ科学部渡邊航平研究室所属の廣野哲也さん(日本学術振興会特別研究員PD)は12月4日、第35回日本トレーニング科学会において、それぞれ、若手研究奨励賞大賞、若手研究奨励賞(ポスター発表)を受賞しました。
日本トレーニング科学会で研究発表をしたスポーツ科学部渡邊航平研究室のメンバー
渡邊航平教授(左から2人目)、廣野さん(左から3人目)、西川さん(右から3人目)
西川さんは「高齢者は筋力トレーニング中に賦活される運動単位のタイプが若齢者と異なる」を発表し、若手研究奨励賞大賞を受賞しました。超高齢社会を迎える国内外で重要な課題となっている高齢者の運動機能維持に対して、若齢者と同じトレーニングを行っていても、同じような効果を得られない可能性があることを、筋肉を制御する中枢神経の面から明らかにしました。高齢者におけるトレーニング指導の現場では、無理をさせずに強度の低い運動を行わせることが一般的です。一方で、生理学的な観点からは、加齢に伴う運動機能の低下には、強度の高い運動が必要とされています。西川さんの研究は、このようなトレーニング現場でのジレンマに対して、安全面への配慮を最優先にしつつも何らかの工夫によって、高齢者にも強度の高い運動を実施してもらう必要が強くあることを示す科学的エビデンスとなっています。
廣野さんは「プレサルコペニア高齢者における運動単位の発火特性」を発表し、若手研究奨励賞(ポスター発表)を受賞しました。目に見える形で筋肉の萎縮が進んでいるサルコペニア高齢者に対して、その予備軍であるプレサルコペニア高齢者では、筋肉を制御する中枢神経が筋肉に先んじて老化の影響を受けていることを発見しました。見た目では分かりづらい老化の影響を、より早く検出することでサルコペニアの早期発見に繋がるとともに、運動トレーニングの効果を見るバイオマーカーにもなりうることを示唆しています。
受賞した西川さん(左)と廣野さん
若手研究奨励賞は今大会77件の発表の中から、今後のトレーニング科学分野の発展に貢献することが期待される若手研究者に与えられる賞です。西川さんが受賞した「若手研究奨励賞大賞」は、若手研究奨励賞(6件)の中で最も優れた発表として表彰されました。
2つの研究はいずれも、スポーツ科学部渡邊航平研究室が主宰するシニア向けコミュニティ「八事いきいきアカデミー」や豊田市内の医療機関において、地域の高齢者の方々の協力の下で実施された研究です。
渡邊航平教授のコメント
運動トレーニングの研究を含むスポーツ科学はアスリートだけでなく、高齢者や様々な対象者に応用できる学問であり、今回の2名の受賞はスポーツ科学の可能性を広く示すことができたと考えています。
受賞対象研究発表
日本トレーニング科学会・若手研究奨励賞大賞
『高齢者は筋力トレーニング中に賦活される運動単位のタイプが若齢者と異なる』
西川 太智 1), 廣野 哲也 2)3), 竹田 良祐 2), 奥平 柾道 2), 大家利之 2), 渡邊航平 2)
1) 中京大学大学院スポーツ科学研究科, 2) 中京大学スポーツ科学部, 3) 日本学術振興会特別研究員 PD
日本トレーニング科学会・若手研究奨励賞(ポスター発表)
『プレサルコペニア高齢者における運動単位の発火特性』
廣野 哲也 1)2), 功刀 峻 3), 奥平 柾道 1), 上田 彩笑子 4), 吉村 茜 5), 吉子 彰人 6),
竹田 良祐 1), 西川 太智 7), 渡邊 航平 1 )
1) 中京大学スポーツ科学部, 2) 日本学術振興会特別研究員, 3)愛知工業大学基礎教育センター, 4) 椙山女学園大学大学院生活科学研究科, 5) 早稲田大学教育・総合科学学術院,
6) 中京大学教養教育研究院, 7) 中京大学大学院スポーツ科学研究科
関連サイト
渡邊航平研究室HP