スポーツ科学部重松教授が研究論文をInternational Journal of Environmental Research and Public Healthに発表

 スポーツ科学部に今年度着任した重松良祐教授は、スポーツ種目を複数実施する「スポーツの多様化」が小学校で認められるが、中学校以降では多様化にないことを7月9日、 International Journal of Environmental Research and Public Health に発表した。

 発表論文は「Sports Specialization and Sports-Related Injuries in Japanese School-Aged Children and Adolescents: A Retrospective Descriptive Study」。570人の日本の大学生を対象に、小学生から高校生までの間に従事していたスポーツを調査したこの研究では、何らかのスポーツをしていた学生のうち、小学校高学年までは複数のスポーツをしていた学生が多かったのに比べ、中学校、高校では90%以上がそれぞれ一つのスポーツに従事していたことが明らかになった。またスポーツをしていた学生54%に傷害(外傷あるいは障害)が生じていたことが分かり、その内、中学校と高校での傷害の割合が多かったことも報告した。

 今後、スポーツ専門化が傷害発生に関連しているかを検証することで、専門化を遅らせるべきか否かが分かるようになる。

 なお、この研究は重松教授の前任校である三重大学で指導した学生の卒業論文をもとにまとめられた。スポーツ経験者の多い中京大学スポーツ科学部の学生でも同様の結果が得られるかを検証する予定である。

【参考グラフ】

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4つのグラフは上から小学校低学年、小学校高学年、中学校、高校を表している。縦軸は人数、横軸は週あたりのスポーツ時間を示している。校種が上がるにつれてスポーツ時間が長くなっていることが分かる。

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6つのグラフの内、左3つが男性、右3つが女性を表している。上から傷害、外傷、障害の発生割合を示している。傷害は外傷と障害を合わせたもの、外傷は骨折や捻挫など急激に発生するもの、障害は動作の繰り返しなどによって徐々に発生するものである。グラフを見ると、女性よりも男性で受傷し、また障害よりも外傷が多いことが分かる。

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3つのグラフは左から傷害、外傷、障害の発生割合を表している。いずれも校種が上がるにつれて受傷していることが分かる。

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縦軸は校種、横軸は570名の対象者を表している。左側の84名は部活動などで運動をしたことがない。中央の335名は運動したことはあるが、常に1種目だった。左側の149名は2種目以上を同時期に経験したことがある。青色が濃くなるほど種目数が多いことを表している。このグラフから、多くの人が1種目しか実施しておらず、また中学校以降でその傾向が強くなっていることが分かる。

2021/08/05

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