GAFAに規制は必要か
デジタル時代のプラットフォーム戦略

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太田 真治 教授

 GAFAについての新聞やテレビのニュースを聞かない日はない。GAFAとは、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの4社のことである。GAFAの時価総額は、マイクロソフトと合わせて世界時価総額の1位から5位まで独占しており、1位のアップルは日本の1位のトヨタ自動車の約5倍の規模を誇っている。GAFAのうち、グーグルは検索エンジンやオンライン広告事業を始め、スマホのOSであるAndroidやPixelブランドのスマホ、アップルはスマホiPhoneや、タブレットiPad、パソコンMacなどのハードウェアメーカーであり、クラウドサービスのiCloudを運営し、iPhoneやiPad用のアプリケーションを提供するApp Storeなどの開発、販売を行っている。フェイスブックは世界最大のSNSであるFacebookやInstagramを運営しており、アマゾンは世界最大のインターネット通販サイトAmazonを運営し、電子ブックリーダー端末のKindleやスマートスピーカーAmazon Echoの開発と販売を行っている。またクラウド事業としてAWSがある。

 GAFAはもともとそれぞれ祖業がある。グーグルは企業のミッションとして「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」を掲げ、インターネットの独自の検索エンジンを開発して検索市場の地位を不動のものとした。アップルは故スティーブジョブズ氏らによりパソコンMacからスタートし、ハードディスクドライブ型携帯音楽プレイヤーiPod、スマホiPhone、タブレットiPadと展開し、それらのアプリ市場を立ち上げた。現在では日本のスマホ市場の過半のシェアを握っている。フェイスブックは、創業者のマーク・ザッカーバーグ氏がハーバード大学に在籍しているときに実名と個人情報を登録したSNSが起源であり、現在では世界中の20億人以上が利用している。アマゾンは書籍のインターネット販売からスタートした。その企業姿勢は「顧客最優先」であり、書籍以外にも取扱品目を広げ(物販とデジタルコンテンツ)、当初は持たなかった物流施設を充実させてきた。

 GAFAは、それぞれの祖業からスタートし、リアルでもデジタルでも垣根を超えた事業分野の拡大を続け、彼らすら目的地の分からない暴走過程に入ったといえる。彼らの採用している戦略はプラットフォーム戦略である。プラットフォーム戦略とは、多くの関係するグループを「場」(プラットフォーム)に乗せることによって外部ネットワーク効果を創造し、新しい事業のエコシステム(生態系)を構築する戦略である。プラットフォームは情報の仲介を行い、イノベーションのエンジンでもある。プラットフォーマーは外部ネットワーク効果を促進させることが重要とされ、ウィナーテイクオール(勝者総取り)に陥りやすい。GAFAにおいては、「現代の金や石油」といわれる個人情報をはじめとするさまざまなデータが集中し、世界中で規制を求める声が出始めている。

太田真治(おおた しんじ)中京大学総合政策学部教授

マーケティング、国際マーケティング、ベンチャー企業論。
京都大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。
1966年生まれ。

2019/12/12

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