SIP次世代農林水産業創造技術「次世代機能性農林水産物・食品の開発」公開シンポジウムで講演 国際教養学部・渡邊准教授

 「内閣府 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)次世代農林水産業創造技術『次世代機能性農林水産物・食品の開発』公開シンポジウム~得られた成果とさらなる発展に向けて」が11月30日、有楽町朝日ホール(東京)で開催され、国際教養学部の渡邊航平准教授が講演した。

 戦略的イノベーション創造プログラムとは、産学官連携により基礎研究から実用化までを見据え、研究開発や制度改革を推進する国家プロジェクト。府省・分野の枠を超えて研究開発に取り組んでおり、今年で4年目を迎える。

 このシンポジウムでは「農林水産物・食品研究の新たな視点」に関して3テーマ、「食品因子と基盤研究とヒトへの橋渡し研究Ⅱ」に関して3テーマ、そして渡邊准教授含む「機器・技術開発」に関して4テーマが発表された。

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講演する渡邊准教授

 渡邊准教授は「機能性食品と運動トレーニングの併用が高齢者の神経筋機能に及ぼす影響」と題してこれまでの研究成果を発表した。(共同研究者:森谷敏夫京都大学名誉教授、京都産業大学教授、中京大学同窓会長)

 渡邊准教授の研究グループは、ヒトを対象として、中枢神経の働きを評価する研究手法を応用することで、機能性食品と運動トレーンングの併用が高齢者の中枢神経を含めた身体機能に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした研究を進めている。 

 これまでには、加齢にともなう筋力低下について、筋肉量の変化のほか中枢神経の働きが影響を及ぼす要因であることを研究し、中枢神経の働きを評価する「多チャンネル表面筋電図法」を用いて、高齢者では運動単位の興奮性が高い者ほど最大筋力が高いことを明らかにした。

 今回は、高齢者の男女50人を対象に、6週間の実験を実施し、運動(筋力トレーニング)と食事(魚肉タンパク)が運動機能や運動神経の働きに及ぼす影響について研究。魚肉タンパク摂取と筋力トレーニングの併用が筋力トレーニングのみに比べて、明らかな変化を生じさせたことなど発表した。

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有楽町朝日ホールで開催された公開シンポジウム

 渡邊准教授は「食品の摂取によって、筋力トレーニング効果を得られるタイミングや、中枢神経の働きを変化させることが可能であることが本研究で示されました。今後はそのメカニズムを検討していきたい。また、今回用いた中枢神経の働きに着目した評価手法は、ヒトの運動機能を評価するうえで新たな切り口になり、新規のみでなく既存の機能性食品や運動トレーニングの効果検証に活用できるのではないか」と今後の展開について話した。

 渡邊研究室のHPはこちら。

2017/12/08

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