長滝祥司教授・国際教養学部がHAI2014のOutstanding Research Award を受賞
「ロボットとの共同注視場面において注視対象の確認手続きが与える主観評価への影響」

 国際教養学部の長滝祥司教授が12月14日、HAI-2013における論文と発表による成果で、Outstanding Research Award を受賞し、記念のクリスタル製の楯と賞状が授与された。  

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長滝 祥司教授

 受賞対象となった研究は、金野武司(北陸先端科学技術大学院大学)と柴田正良(金沢大学)との共同研究の成果で、タイトルは「ロボットとの共同注視場面において注視対象の確認手続きが与える主観評価への影響」である。本研究は、ロボット工学や複雑系科学などを専門とする自然科学者と心の哲学や言語哲学、現象学などを専門とする哲学者とのコラボレーションによる成果である。また、長滝教授が科学研究費等によって7年以上に渡って継続してきた学際的なプロジェクト(認知ロボティクスの研究、身体動作の認知現象学的研究、意図的主体性のロボット的構築の研究等)の成果の一部である。

 

【受賞論文・発表の概要】

タイトル 「ロボットとの共同注視場面において注視対象の確認手続きが与える主観評価への影響」

 子どもはその発達過程で言語を獲得する以前に、他者と意図を共有するようになると考えられている。特に、親の見た方向に注意を向ける「共同注視(注意)」と呼ばれる行動は、その意図理解の過程を解明する上で非常に重要だとされる。本研究は、人とロボットのインタラクションにおいてこの過程を再現する構成的アプローチによって、そこにあるメカニズムを解明しようとしている。

 人とロボットの共同注視場面では、両者が同じ方向をむきつつも異なる対象を見ていることが多々ある。今回の論文および発表では、こうした状況を注視対象の確認手続きによって人(被験者)に自覚させたときに、ロボットに対するその人の主観的な評価がどのように変化するのかを調べた。実験では、確認手続きを追加した方が注視対象の一致率が高かったにも関わらず、被験者のロボットに対する理解度の評価は悪化するという結果が得られた。またその際のロボットに対する印象評価においては、優しさや可愛らしさが低下する一方で、複雑さや人間らしさが増すという傾向となった。われわれはこの結果から、注視対象の不一致は、ロボットとの親和性を失わせる一方で、ロボットの人間らしさ(自律性)を高めることに寄与するのではないかと結論づけた。

(国際教養学部教授 長滝 祥司)

2014/12/18

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