歴史文化学科の小川和也教授が「サントリー学芸賞(社会・風俗部門)」
受賞作品は『儒学殺人事件―堀田正俊と徳川綱吉』(講談社)
小川 和也教授 |
文学部歴史文化学科の小川和也教授の著書『儒学殺人事件―堀田正俊と徳川綱吉』(講談社)が、第36回「サントリー学芸賞(社会・風俗部門)」を受賞した。贈呈式は12月9日に行われ、公益財団法人サントリー文化財団から正賞として楯、副賞として200万円が贈呈される。
同賞は政治・経済、芸術・文学、社会・風俗、思想・歴史の4部門に分かれ、毎年、前年1月以降に出版された著作物を対象に選考。広く社会と文化を考える独創的で優れた研究、評論活動をされた方が顕彰される。創設は1979年、これまでに307人が表彰された。
■受賞作品『儒学殺人事件―堀田正俊と徳川綱吉』の要旨
江戸時代前期、貞享元年(1684)8月28日、徳川幕府権力の中枢たる江戸城において、大老・堀田正俊が刺殺されるという事件が起こった。この事件の背景には、5代将軍・徳川綱吉と大老の対立があった。その対立は、いかに儒学によって国家統治を行うか、両者の儒学観の相違に起因している。いったい、それはどのようなものであったのか。儒学思想から大老刺殺事件の核心に迫る。
講談社。2014年4月25日刊。382頁。本体2,800円+税
■選評
今と比べて、自由に物の言いにくい時代であるから、ここに引用されている史料の類にしても、表面は何食わぬ顔で取り繕ってあったりする。その行間を読まなければならないわけで、これだけの錯綜した事件を読み解き、構成し、叙述する著者の手腕は素晴らしいものと言わねばならないし、それを助けた編集者の力量も大いに評価できる。
(奥本大三郎・埼玉大学名誉教授)