心理学部の河原純一郎教授が日本心理学会学術大会特別優秀発表賞を2件受賞
「お辞儀は顔の主観的魅力を飛躍的に向上させる」
「大きいモノは強く叩く ―オブジェクトの大きさに関する概念的知識と反応出力強度との適合性―」
河原 純一郎教授 |
心理学部の河原純一郎教授が9月9日、日本心理学会第78回大会会員集会で特別優秀発表賞を受賞した。同賞は2013年度の日本心理学会第77回大会のポ スター発表のうち、選考対象となることを希望した発表605件の中から代議員及び名誉会員の会場審査と論文集審査により10件が選ばれた。
授賞対象となった発表は東京大学の大杉尚之氏との共著で、「お辞儀は顔の主観的魅力を飛躍的に向上させる」、および産業技術総合研究所の永井聖 剛氏、奈良教育大学の山田陽氏との共著で、「大きいモノは強く叩く ―オブジェクトの大きさに関する概念的知識と反応出力強度との適合性―」の2つ。
◆受賞発表「お辞儀は顔の主観的魅力を飛躍的に向上させる」の概要
顔の魅力評価は、対称性や平均性など顔の構造的特徴に加えて社会的文脈情報の影響も受けることが知られている。従来は接近行動や視線が一致する ことが高い魅力を生む要因であるといわれてきた。本研究では、これら2つの社会的文脈情報の効果では説明できない新しい魅力規定因として、「お辞儀」が魅 力に及ぼす影響について検討した。顔画像をちょうど会釈あるいはお辞儀を模して前に25度前傾させて戻すと、直立したままや、後ろに25度倒して元に戻し た場合と比較して、観察者による顔の魅力度評価は約20%上昇した。幾何学図形ではこのようなことは起こらず、顔に特有な効果であることがわかった。
◆受賞発表「大きいモノは強く叩く ―オブジェクトの大きさに関する概念的知識と反応出力強度との適合性―」の概要
自分の左側に見えるものは左側の反応ボタンで、右側に見えるものは右側の反応ボタンで回答した方がその逆よりも反応しやすい。こうした物理特性 (空間位置、刺激強度) と反応特性(反応ボタンの位置、反応強度)との一致効果を刺激反応適合性効果と呼ぶ。本研究では、こうした効果は物理特性を越えて、概念レベルにおける事 物の大小(「船」、「蟻」等の単語呈示)に対しても生じるのかを調べた。実験の結果、呈示された単語が表す物体の大小に関する概念的知識が、指で行われる 運動反応の強弱と密接に関連していることが示された。この結果は、より抽象化されたレベルでの刺激情報が反応出力システムと共有されていることが示唆して いる。
これらの研究が600件の研究発表の中から選ばれた10件のうちの2件に含まれたということは、われわれの研究室で取り組んでいるテーマが現在 の心理学の動向の中で注目を集めていると感じるとともに、選んでもらえたことに対して責任を感じる。今後も両テーマについて多方向に積極的に展開してゆきたい。
※日本心理学会のホームページでも紹介されています。