心理学部の河原純一郎教授が日本基礎心理学会優秀論文賞を受賞
「急性ストレスが選択的注意に及ぼす影響」(武庫川女子大の竹中一平氏、理化学研究所の熊田孝恒氏との共著)
河原 純一郎教授 |
心理学部の河原純一郎教授が12月7日、日本基礎心理学会第32回大会で優秀論文賞を受賞した。同賞は日本基礎心理学会機関紙「基礎心理学研究」における優れた論文に対して表彰している。
授賞対象論文は武庫川女子大の竹中一平氏、理化学研究所の熊田孝恒氏との共著で、心理学研究2013年第83号に掲載された「急性ストレスが選択的注意に及ぼす影響」。
◆受賞論文「急性ストレスが選択的注意に及ぼす影響」の概要
認知心理学では、選択的注意や作業記憶の操作(接続・更新)のような努力を要する処理において、課題の負荷が増加するとパフォーマンスが低下することが知られている。ストレスは認知資源を消費することが推測されるが、負荷の操作と交互作用し、注意や作業記憶に対して同様の影響を及ぼすのだろうか。本稿では、作業記憶に関する知見を概観し課題の負荷に基づいて結果を整理したところ、ストレスの影響は高負荷時にのみ生じることを明らかにした。一方で、選択的注意に関しては、物理的ストレスでは選択性が向上することもあるが、社会的ストレスに対しては注意の選択性は低下することがレビューから明らかになった。最近のいくつかの研究では、知覚的負荷は社会的ストレス操作と交互作用を生じていることから、これらの操作は共通の認知資源を消費することを示唆している。
このように本論文で示唆されたストレスによって複数の課題で共通の認知資源が消費されるという点を通じて、認知課題成績の低下を基にストレス評価する手法が開発できる可能性がある。今後はこうしたストレス評価の取り組みを進めてゆきたい。
※日本基礎心理学会のホームページでも紹介されています。