スポーツ科学部学生が海外短期研修を報告 タイ・バンコクで現地視察~海外ツアーの企画から視察、修正まで~

 スポーツ科学部2年の前田優林さんが2月25日~3月2日の6日間、タイ・バンコクで海外短期研修に参加した。この研修は文化や流行を生かして自分たちでテーマごとにバンコクでの観光ツアーを企画し、実際にうまくいくか現地視察するもの。現地では、「積極的に現地の人とコミュニケーションをとり、日本語の力を借りずに視察をする」という目的の元、現地視察や企業への提案発表を行った。

 以下、前田さんからの報告です。

 私は、小さい頃から海外旅行や外国人の先生と関わってきたことで海外を身近に感じる機会が多くありました。海外の文化に興味があったこともあり、研修内容はもちろん、私は器械体操部に所属しているため、競技に支障をきたさないよう短い期間で留学できることも魅力で参加を決めました。

 研修1日目、7時間弱のフライトで現地到着後、夕食をとりながらタイの古典舞踊を鑑賞し、ナイトマーケットに行きました。古典舞踊にはたくさんの種類があり、女性の優雅な踊りは器械体操の表現にも生かせると思いました。男性は鬼のお面をかぶってゆっくり踊るものと、棒を以て激しく戦う踊りが印象に残りました。

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 ナイトマーケットは日本に無いものの一つです。真っ暗な空の下、数えきれないほどの店や屋台がありました。タイの物価は日本の約3分の1で、タイならではの雑貨や食べ物が多く見られました。

 2日目は、出発前に準備したツアー企画をバンコクSMI社でプレゼンテーションしました。SMI社は、日本をはじめ12か国に展開している、ツアーの企画や旅行者をサポートする会社です。企画についてアドバイスをもらい、特に移動手段では電車が時間通りに来る、タクシーに必ずメーターがついている日本の当たり前が海外では通用しないことを学びました。トゥクトゥク(3輪のタクシー)は目的地とは異なる場所に連れて行かれることもあるようで、日本の治安の良さをあらためて感じました。アドバイスを参考に、3日目からの視察ルートを考えなおし、ツアー内容を変更しました。

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 午後はタイの三大寺院(宮殿、ワット・アルン、ワット・ポー)を回りました。国王のために参拝する地元の人を優先するため、観光客を乗せたバスは寺院近くには停車できません。国王が亡くなってから2年近く経った今も国民は喪に服しており、国王がとても好かれていたことが伝わってきました。

 3日目の朝はSMIが運営する、Siam@Siamホテルを視察しました。建物は中も外もデザイナーによってデザインされ、ロビー付近はタイに伝承する鬼の話をもとに作られていました。馴染みがないためかこのようなデザインは日本人にあまり人気がないそうですが、面白いので私は泊まってみたいと思いました。車いすの人でも泊まれるよう部屋の入口は広く設定してあり、階段の隣にはスロープがあって全てバリアフリーになっているところも魅力でした。

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 3日目午後~4日目は、グループに分かれてツアーを視察しました。インスタグラムで幻想的な天井画が話題になっているワット・パクナム寺院、立体駐車場から撮る写真が壁画のように美しいタラート・ロット・ファイ・ラチャダー、「世界で最もおいしい料理50」で1位を獲得したマッサマン・カレー、流行の先端を走る大型ショッピングセンターのサイアム・パラゴンなど人気の観光地を回りました。BTS(モノレール)、MRT(地下鉄)、タクシー、トゥクトゥクを乗り継いでも時間がかかりすぎて省かなければならない場所、立地は良いけれど行ってみると退屈してしまうところなどがあることに気がつき、最終提案するツアーの内容を夜遅くまで練り直しました。安全面を考慮してトゥクトゥクやタクシーを使わないとなるとツアー会社の車を手配するしか手段がなく、金銭面でもかなりの工夫が必要になりました。

 5日目にはSMIで2回目の発表を行い、練り直したツアーを発表しました。普段からたくさんのツアーに携わっている社員の皆さんから見るとまだまだ足りない点はありますが、私たちが提案したツアーでおすすめの場所や選んだ店など、褒めていただける点があったのはすごく嬉しかったです。今後のSMI社のツアー商品の中に私たちの提案が少しでも取り入れてもらえたら光栄だと思っています。

 発表の後はSMIの社員の方と懇親会をしました。夕食を食べながらタイのイベントや魅力、旅行関連の仕事に就いた理由、海外での暮らしについて等、たくさん話しました。タイについてはもちろん、大学卒業後の進路についても参考になる話ばかりで勉強になりました。

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 ツアーを提案するための視察中にバンコクの町中を歩いていて、新鮮に感じることが二つありました。

 まず人々が優しくて明るいことです。タイは仏教国です。お釈迦様の教えの中に、「生前に良い行いをしていれば、次は良い環境に生まれ、悪い行いをしていれば、悪い環境に生まれる」という内容があります。道端に座ってお金を待っている人がいれば、何の躊躇もなく小銭をあげる人がたくさんいました。また、コンビニに入ると必ずと言っていいほど店員さんから話しかけられました。日本人と伝えると、「ありがとう」「こんばんは」など知っている日本語で挨拶してくれました。日本人は知らない人に話しかけることが少ないので新鮮でした。

 もう一つは服装です。有名なルーフトップバーや高級なレストランなどではドレスコードがあり、そこでは露出の多い服装やスポーティな服装は禁止されています。一方、敬虔な仏教国であるタイでは、寺院に入る時にも、タンクトップや短パン、ミニスカートやタイツ等、露出が多かったり体の線が見える服装は禁止されています。もちろん日本でもTPOに応じた服装は求められますが、服装を制限される経験がこれまであまりなかったので、新鮮に感じました。

 この研修に参加して、さらに海外が好きになりました。言葉が通じない場所で自力で目的地まで辿り着く「行動力」が少し身についた気がします。今後の学生生活、部活に生かしていきたいです。

(スポーツ科学部 競技スポーツ科学科2年 前田 優林)

2018/05/29

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