経営学部中村ゼミ/凸版印刷・新広社との共同プロジェクト「新聞販売店の新規事業提案」最終発表会を開催

 経営学部・中村雅章教授ゼミは9月25日、凸版印刷・新広社との共同プロジェクトである「新聞販売店の新規事業提案」の最終発表会を実施した。このプロジェクトは、産学連携による事業化の仕組みをモデル化したいという凸版印刷のお声がけで始まったもので、今回は新聞折込を主業とする広告会社の新広社が提出した新聞販売店の新規事業化に取り組んだ。

 プロジェクトは6月にキックオフを行い、2年生と3年生のゼミ生は7つのチームに分かれてそれぞれの提案をビジネスコンテスト形式で競い合った。最終発表を迎えるまでに2度の中間発表会を行い、凸版印刷、新広社、さらに広域に新聞販売店を経営するhands to hands社の方々のコメントをいただきながら提案をブラッシュアップしてきた。

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最終発表会で学生が新規事業案を提案

 審査の結果、宅配便の再配達を新聞販売店のネットワークを活用して解決する「よるくる」が第1位に選ばれた。ネット通販の拡大に伴い宅配便の取扱個数が急増するなか、再配達率は2割に達する点に注目し、在宅率の高い夜の時間帯に再配達代行する提案である。今後は、ヤマト運輸、佐川急便などの宅配業者に提案を持ち込み、実現可能性を探ることになった。

 また、第2位には、地域の飲食店を対象に広告と配達を請け負う「Local Food Delivery」が選ばれた。

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「よるくる」チームの発表

■アイデア出しの苦労を越えて

 新聞販売店の新事業提案は、ゼミが始まって間もない私たちにとって、とても難しい課題でした。

 まずは大学生らしい、そしてビジネスとしてきちんと利益の出るアイデアを100個出すことから始まりました。一つのアイデアを足したり引いたりしながら、チームのみんなでアイデアを出し合いました。しかし、その中から実際に実現できるものは数少なく、その一つと出会うために、ひたすらアイデア出しを繰り返しました。新事業提案は約4ヵ月間取り組んできましたが、そのうちの3分の2近くの期間はアイデア出しに費やしました。

 2度の中間発表を終えて、利益の計算など内容面や、そもそもの発表の仕方などたくさんのご指摘をいただきました。自分たちが良いと思ったアイデアでも、深掘りしていくと矛盾が生じていたり、利益が全然出なかったり、つまずくことは何度もありました。その度に心が折れそうになり、リーダーとしても不安や焦りを感じました。

 夏休み期間中でも週に1回はチームで必ず集まり、議論を重ねてきました。何度も何度もパワーポイントを作り直し、9月25日の最終発表を迎えました。とても緊張しましたが、どのチームよりも自分たちの案が1番だという気持ちを持って取り組みました。利益率をとるのか、地域への貢献度をとるのかによって提案の評価も異なりますが、自分たちのチームの案が1位と聞いた時はとても嬉しかったです。

 この4ヵ月間を振り返ると、苦しい時の方が多かったですが、ビジネスを起こすためにはこれ以上の苦労がいるんだなということを痛感しました。

 今回のこの経験は、自分自身を成長させることができるとても貴重なものでした。この学びを無駄にすることなく、次へと進みたいと思います。

(経営学部2年 月東瞳)

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「Local Food Delivery」チームの発表

■プロジェクトから学んだこと

 私たちのチームでは、忙しい人や高齢者をターゲットとした、地元のお店の食品を宅配する「Local Food Delivery(LFD)」を提案しました。これは、新聞販売店の強みである、「地域密着」「配達能力がある」という点を活かそうと考えた提案です。500個ほどの案出しを経て、最も実現可能だと思った提案でした。しかし、企業の方には「提案の強みをあと一押しほしかった」「人件費に対して利益率が悪い」と言われました。4ヵ月間という時間があったにも関わらず、提案を最後まで煮詰めきれていなかったことがとても悔しいです。発表後には、もっと時間があればとも思いました。

 私はこのプロジェクトによって、二つのことを学びました。

 一つ目は、ビジネスの視点です。自分たちの提案を、企業の方に直接アドバイスをいただくことで、新たな視点を持つことができました。初めは「自分たちが新聞販売店でやってみたいこと」という視点で考えていました。しかし、ビジネスとなると、採算が取れない事業をすることは難しく、需要と供給のバランスがうまく取れていないと成り立たないことを学びました。

 二つ目は、計画性の大切さです。私たちのチームでは、一つ思い入れのある案がありましたが、様々な問題点が見つかり、今から思えばすぐに切り捨てるべきでした。しかし、どうすれば問題点を解消できるかばかりを考え、新たな提案に踏み切ることができませんでした。その結果、新たな提案に踏み切ったころには時間がなく、最終発表の「LFD」の完成は直前になってしまいました。早く決断していれば、「LFD」の問題点の解決にもっと時間を割くことができたと思います。

 このプロジェクトで経験し学んだことを、これからのゼミ活動や就職活動に役立てていきたいです。

(経営学部3年 松江優奈)

【関連情報】

https://www.chukyo-u.ac.jp/achievement/news/2017/06/011821.html

2017/10/17

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