情報科学研究科修士課程1年生の片山隼多さん 精密工学会サマーセミナー2016優秀発表賞を受賞

 大学院情報科学研究科修士課程1年の片山隼多さん(CVSLab.(青木研究室)、指導教員:青木公也教授)が,8月31日、9月1日に開催された精密工学会・映像情報メディア学会が主催する「サマーセミナー2016-世界を視る・世界を創るビジョン技術」で優秀発表賞を受賞し、表彰カップと表彰状を授与された。

 この賞は、画像処理やメディア関連技術の研究において優秀な研究発表を行った若手研究者に贈られるもの。今年度は日本全国から発表された27件の研究の中から、この分野の専門家による厳正な審査を経て片山さんが選ばれた。

 受賞論文名は、「機械学習を用いた検査における暗黙知抽出手法の検討」。片山さんが所属する青木研究室と、輿水研究室およびYKK(株)工機技術本部との産学共同研究の成果の一部である。

 ものづくりの現場において外観検査は欠くことのできない工程だが、微小なキズの検出や、キズ(不良品)とゴミ・汚れ(拭き取れば出荷できる)を見分けることは困難であり、多くの場合熟練検査員の目視によって実施されている。

 目視検査・官能検査等、人間の感覚に頼った検査が至るところに残っているが、製造ラインの効率化、ものづくりにおける国際競争力の維持・強化から検査の自動化が求められている。

 受賞論文では、AI(人工知能技術)を応用し、キズとゴミを見分けるシステムを開発した。

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表彰カップと表彰状を手にする片山さん

 一般的にAIは高い判断機能を有するが、なぜそのように判断したかの理由はブラックボックスとなる。一方、片山さんの研究では、AIの高い判別機能はそのまま、「輪郭がかすれていて、細長いのでキズと判断します」といったように、人のように画像の印象表現を使って判断理由まで出力することを可能にした。

 この研究が進めば、人とAIが同じ言葉で会話し、検査の現場において検査員とAIが切磋琢磨して技術を向上させることも期待される。例えば、学習が進んだAIは「輪郭がかすれていて、細長く」と言った後に「加えて、ヨゴれにしては薄いのでキズでないでしょうか」といった新たな知識を獲得する。

 受賞研究は、近年脚光を浴びているAI(人工知能技術)の検査装置への応用が単なる応用に留まらず、コンピュータが検査員本人も気付いていない検査における判断基準・理由(暗黙知)を言い当てる機能を獲得する新たな試みである。

2016/09/09

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