情報科学研究科修士課程1年の有賀治樹さん
関西学院大学との共同プロジェクトに関する研究で連合大会奨励賞を受賞

 2015年1月20日に大学院情報科学研究科修士課程1年の有賀治樹さん(橋本研究室、指導教員:橋本学教授)と、豊橋創造大学特命講師で2012年度情報科学研究科博士課程修了生の早瀬光浩さん(加納研究室、指導教員:加納政芳准教授)が、連合大会奨励賞をそれぞれ受賞しました。

 同賞は2014年8月8、9日に中京大学の名古屋キャンパスで開催された「平成26年度電気・電子・情報関係学会東海支部連合大会」において、特に優秀な研究発表に対して贈られるものであり、今年度は約560件の研究の中から、専門家による厳正な審査を経て、19人が選ばれました。

20150120-2-1.jpg
有賀さん


■受賞タイトル「Particle Filter
を用いた指先追跡に基づくピアノ運指認識」
 
開発した技術は、ピアノ演奏時の指使いを、画像センシング技術を用いて指先の動きを撮影した動画像から自動で認識するもので、ピアノ初心者のための演奏支援システムの中核技術として提案されました。手の3次元モデルを用いて予測した手の姿勢を再現するなど、最新のCG(コンピュータグラフィックス)技術を駆使したところに大きな特徴があり、ピアノ演奏の際に頻発する指先の密着や重なりに頑健なピアノ運指認識を実現しました。
 また、この成果は、ピアノ演奏の技法を科学的に研究していることで著名な関西学院大学の長田典子教授との共同研究プロジェクトに関するものであり、さらなる発展が期待される点も評価されました。

 先輩から引き継ぎ、学部生のころから取り組んできたテーマであり、2年間、力を入れて取り組んできた成果が認められたことを非常にうれしく思います。思うような結果が出ずに苦労した時期もありましたが、多くの人との議論と試行錯誤によって学会発表できる成果をあげることができました。橋本先生をはじめ、他大学の先生からも適切なご指導をいただけたからこその受賞であると思います。今後も論文投稿や国際学会での発表を目指して頑張りたいと思います。

(情報科学研究科修士課程1年 有賀 治樹)

●指導教員の橋本学教授のコメント
 
世の中には、カラオケの歌声に点数をつけるシステムがありますが、今回、有賀さんが受賞した技術は、まさにピアノ演奏のための自動採点システム(教育支援システム)に相当するものです。手の微妙な運動を確実にとらえる技術を世界で初めて実現したことによって、人間がピアノ演奏の「わざ」をどのようにして獲得しているかという、熟練スキルの科学的分析が加速することが期待されます。関西学院大学との3年間にわたるプロジェクトの最終年度にこのような賞をいただくことができ、研究を通して多くの経験を積んでくれたことと思います。今後はさらに論文化や国際会議での発表など、学術的に高めていってもらいたいと思います。


■受賞タイトル:「動画像からの特徴的な顔表情抽出の一手法」
 
早瀬光浩さん(2012年度情報科学研究科博士課程修了生)
 
試作の赤ちゃんロボット・ベビロイドにはカメラがついており、それを利用して高齢者の「心」を見守るためのシステムに関する提案です。

2015/01/29

  • 記事を共有