情報理工学部4年の久野雅人さんと加藤健太さんが医用画像処理コンテストで優勝
「3次元腹部CT像への肝腫瘍の埋め込み」技術競う
(後列左から)道満講師、目加田教授、 (前列左から)加藤さん、久野さん |
7月30日から8月1日にかけて金沢で開催された第34回日本医用画像工学会大会に行われたCAD(Computer-aided Diagnosis)コンテストにおいて、情報理工学部情報システム工学科4年生の久野雅人さんと加藤健太さんのチームが優勝した。2人はそれぞれ工学部情報工学科の目加田慶人教授と道満恵介講師の研究室学生。
CADコンテストは、計算機による診断支援技術、特に画像の認識・理解などを伴う高度な支援技術の交流と向上を目的として2002年から毎年開催されているもので、今回で14回目の開催となる。今年のテーマは「3次元腹部CT像への肝腫瘍の埋め込み」。これは、機械学習のために必要となる大量の学習用画像を人工的生成する高度なData Augmentationに関する課題で、参加者は肝臓がんを含むCT画像から肝臓がん部分を抜き出して、健常者の腹部CT画像にそれを埋め込む。各チームは10例の疑似病変画像を作成して提出し、実際の肝臓がん患者の画像と合わせて、「肝臓がんらしさ」の評価を14名の医師と技師から受けた。
本学の学生は昨年に引き続きの参加となり、今年は昨年の方法の改良と新たな方法を組み合わせて挑戦した。結果、実際のがん患者の画像の平均得点が55点であったのに対し、両名の得点は60点を超えており、参加6大学中最も高く優勝となった。
■目加田慶人教授の談話
私たちの研究室では、医療やスポーツを支援する画像処理・パターン認識技術の開発に取り組んでいます。今回優勝できたことは、本人たちだけなく研究室としても大変喜ばしいことです。1年前に当時の4年生と3人で参加した時には、先輩の指示をこなすことで精いっぱいの様子でしたが、今回は教員と議論をしながら自身で開発を進めていて、非常に頼もしかったです。医用画像のパターン認識については、十分な数の学習サンプルを得ることが難しい場合が多いです。今回のコンテストはこの問題を解決し、コンピュータが病気を検出する能力を向上させる基礎技術です。ますます進む高齢化社会において、健康寿命を延ばすための病気の早期発見につながるように、一層研究に力が入りますね。両名はこのまま実験と改良を続けて、卒業研究として良いものにまとめてもらいたいです。