これからの「地域づくり」を考える
「支える人たち」を支えよう
研究や教育の中で、地域の課題解決(広い意味での「地域づくり」)に関わっている人々にお話を伺うことが多い。たとえば、地方自治体、教育委員会、町内会・自治会、NPO団体、ボランティア団体など、仕事やボランティアとして地域に携わっている方々である。筆者はデータを使用した統計的な研究を進めているが、地域の現場で仕事や活動をしている方々の話を聞くことで、データだけでは分からない実情が見えてくる。
こうした人々は、地域に対して熱意をもって仕事や活動に取り組んでいる。常に頭が下がる思いである。「業務を通して関わっている中で」とか、「定年退職して役職を頼まれたから」など、きっかけは人それぞれである。また、地域とのかかわりも多様である。その地域の住民である場合もあれば、仕事で担当したとか、職場がそこにあるといったこともあるだろう。場合によっては、縁もゆかりもないが、その地域が好きだということもあるかもしれない。
現代に生きる人々は、自分自身の日々の生活における関心事で頭がいっぱいである(かくいう筆者もそうである)。地域の課題解決にまで思いが至る人も多数派とは言えない。しかし、誰に頼まれるでもなく、地域のために働こうという人もいる。仕事であろうとボランティアであろうと、「この地域を良くしたい」という思いを持つ人がいることは、その地域にとっての貴重な財産である。
問題は、そういった人たちを支える仕組みをどのように作るかである。政府や地方自治体が予算を投じることはもちろん重要である。たとえば、名古屋市にはコミュニティサポーターという制度が設けられている。これは、町内会や自治会といった地域団体の困り事に対して、地域コミュニティ活性化相談員・支援員(会計年度任用職員)が、アドバイスや提案をする仕組みである。現場では色々な試行錯誤があるようだが、こうした仕組みが地域団体の活動の助けとなることも少なくないだろう。
ただ、近年では、自発的に生まれた地域づくりに関わる組織やグループも増えてきている。新興の団体と従来からの団体が、それぞれ関わりを持たずに活動を行っていて、地域内で連携が進んでいないという状況は全国的にも少なくないようだ。地域団体でも高齢化が進んでいるから、新しく活動を始めた意欲のある人たちを巻き込み、そのアイデアを生かすことも考えなければならない。
だからこそ、「地域を支える人たち」を支える仕組みを真剣に考える必要がある。筆者がとくに重要だと考えているのは、地域に対する思いを持つ人々が幅広く連携しあって、地域の課題に応じて柔軟に協力しあえるような仕掛けを作ることである。今後それをどのように実現していくのか、筆者も日々の研究や教育を通じて考えていきたい。
【略歴】
木田 勇輔 (きだ ゆうすけ)
中京大学現代社会学部准教授
専門分野:都市・地域社会学
最終学歴:名古屋大学大学院博士後期課程単位等認定。博士(社会学)
西暦生年:1984年生まれ