中京大学公開講座 文化・芸術・教育シリーズ第61回 「花と世界を、まなざしがつなぐ。―伝統と現代をつなぐ表現の現在地―」
中京大学公開講座 文化・芸術・教育シリーズ第61回(共催/中部経済同友会、後援/中日新聞社)が2月25日、名古屋キャンパス3階「清明ホール」で開催されました。華道家・写真家の池坊専宗氏を講師に迎え、「花と世界を、まなざしがつなぐ。―伝統と現代をつなぐ表現の現在地―」と題して行われ、約400人が来場しました。

池坊氏は壇上で実際に花を生けながら、いけばなの考え方や魅力について語りました。
三寒四温の季節を意識して生けられる春の花々
池坊氏は立花(りっか)、生花(しょうか)、自由花といったいけばなの様式にふれながら、「型があるかないかではなく、目の前の植物の命をどう尊重するかが大切」と語りました。講座内では桜を中心にミモザやフリージアなどの花材を用い、自然の中にあったらどのような姿で生きているかを想像しながら枝を切ることや、花が咲く姿だけでなく、つぼみや衰えていく姿、さらに花を支える葉の存在も含めて向き合うことの大切さを伝えました。


池坊氏が講演中に生けたいけばな。角度によって異なる表情を見せる
いわゆる"フラワーアレンジメント"との違いとしては、いけばなでは、余白を大切にし、植物同士の関係性を意識している点であると説明。苔や葉物など、身近な自然の中にある花を生かしてきた経験を紹介し、植物一つひとつのあり方に向き合う姿勢について述べました。
いけばなの魅力はもちろん、自身の写真家としての活動についても語った池坊氏
また、自身の写真家としての活動については、かつて華道家が生けた花を絵として残してきた歴史にふれつつ、いけばなはやがて枯れ、形として残らないことから、「写真を通して花を残してきた」と語りました。写真家として京七宝の工房を訪ねた際、「色とりどりの釉薬が並ぶ工房で、職人が静かに作品と向き合い、焼成の短い時間の中で色が変化していく様子が素晴らしかった」と振り返りました。
終盤、希望する3名の来場者が壇上で池坊氏とともに花を生けてみる時間が設けられました。

登壇した参加者3名が自由に生けた花に、池坊氏が最後に手を加えた
池坊氏は、経験の有無に関わらず好きな花を選ぶことの大切さを伝えながら、貴重な機会に少し緊張した様子の参加者に声をかけつつ、終始和やかな雰囲気の中で、いけばなが完成しました。
最後に池坊氏は、「一輪でも花を手に取り、花とともに暮らす時間を持ってほしい」と来場者に呼びかけ、公開講座を締めくくりました。