酒井佑梨さん(工学部機械システム工学科卒業) 電気学会全国大会で優秀論文発表賞を受賞
酒井佑梨さん(2024年3月工学機械システム工学科卒業)が、2024年3月14日~16日に開催された「令和6年電気学会全国大会(徳島)」で優秀論文発表賞を受賞しました。発表タイトルは「作業ミスを発見するARマーカを活用した状態確認システムの提案」です。
電気学会は1888年に創設された約18,500人(令和6年3月31日)の会員数を有する会員組織の学術法人です。毎年3月に全国大会を開催し、若手発表者(35歳程度以下)による発表を対象として、その中で特に優れた論文発表に対して授与されるものです。毎年、翌年の全国大会で前年の受賞者の授与式が実施されます。
研究の概要
「作業ミスを発見するARマーカを活用した状態確認システムの提案」
電気設備点検の作業後は、基本的に作業前と同じ状態に復帰させる必要がありますが、長時間にわたる作業からくる疲労や確認対象の多様さなどが原因で復帰ミスが発生し、電気事故につながる場合があります。そのため、作業後の復帰ミスを自動検知する画像処理システムが求められます。しかし、状態確認を行うスイッチやレバーなどは多種多様で、かつ撮像条件によっては必ずしも視認性が高いとは限りません。そこで本研究では、拡張現実感(AR)技術に着目しました。電気設備内にAR マーカを設置し、事前に状態確認の対象物や工具などの置き忘れが発生し得る場所を登録しておくことにより、画像処理領域を限定します。さらに、対象物の種類ごとに状態確認に適切な画像処理とそれに必要なパラメータ情報を登録することで、電気設備の状態確認を行うシステムを提案します。模擬設備を用いた実験では、スイッチの復帰ミスやドライバの置き忘れを検知することができました。
研究の経緯
本研究は中部電気保安協会様と工学部機械システム工学科のCVSLab.(青木研究室)との産学共同研究の成果の一部です。この産学共同研究は2021年度に開始され、5年目を迎えます。これまでに人工知能技術(AI)やモーションキャプチャー技術等を応用した電気設点検のシステムを研究開発してきました。これまでにCVSLab.所属の学生・院生の10名が産学連携研究に参画し、都度、保安協会様・CVSLab.を代表して関連分野の学会で成果を発表しています(電気学会、電気設備学会、精密工学会等)。
酒井さんのコメント
今回受賞しました学会は大学4年生の3月末に開催されたものでした。今までの研究成果を全て出し切った場でこのような素晴らしい賞をいただくことができ、大変嬉しく思います。ご助力賜りました青木先生、同研究グループの方々、そして共同研究先である中部電気保安協会様に厚く感謝申し上げます。
指導教員(青木教授)コメント
この研究は中部電気保安協会様との産学共同研究として実施している、電気設備の画像検査の研究です。酒井さんは課題の本質をよく理解し、AR技術に着目した、大変実用的なシステムを提案してくれました。酒井さんは、受賞した学会発表(2024年3月)の後、大学を卒業され、現在は富士ソフト株式会社にてご活躍中です。発表から1年越しとなりましたが、酒井さん、受賞、おめでとう!!
酒井佑梨さん
賞状とメダル
【関連サイト】電気学会 優秀論文発表受賞者 2024年