全日本フィギュア チーム中京が躍動!トップ選手を生み出し続ける中京スケート部の環境に迫る

 大阪府の東和薬品RACTABドームにて、12月20日から『第93回 全日本フィギュアスケート選手権大会』が開催されました。本大会には中京大学の卒業生や現役学生、附属高校を含む12名が出場し、それぞれが優美な滑りと熱い戦いを繰り広げました。

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鍵山優真選手(スポーツ科学部3年)、中田璃士選手(附属高校1年)

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 山本草太選手(2023年度スポーツ科学部卒)、誉田知己選手(スポーツ科学部2年)

 男子シングルは、鍵山優真選手(スポーツ科学部3年)が見事初優勝を飾りました。鍵山選手は全日本フィギュアでの初優勝により、国内トップスケーターとしての存在感をさらに高めました。また、中田璃士選手(附属高校1年)が2位に輝き、高校1年生ながら堂々たる演技を披露しました。一方、昨年の全日本で3位入賞を果たした山本草太選手(2023年度スポーツ科学部卒)は、全日本の魔物に憚れ10位に終わり悔しい結果となりました。また、全日本フィギュア初出場となった誉田知己選手(スポーツ科学部2年)は惜しくもフリー進出を逃しましたが大舞台で堂々の演技を披露し大観衆から大きな拍手を受けました。

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 島田麻央選手(附属高校1年)、松生理乃選手(スポーツ科学部2年)

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 山下真瑚選手(スポーツ科学部4年)、 河辺愛菜選手(スポーツ科学部2年)

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 櫛田育良選手(附属高校2年)、大庭雅選手(2017年度スポーツ科学部卒)

 女子シングルは、激戦の中、島田麻央選手(附属高校1年)が2位に輝き、高校1年生ながら圧巻の演技で観客を魅了しました。松生理乃選手(スポーツ科学部2年)は5位、山下真瑚選手(スポーツ科学部4年)が6位とそれぞれ上位入賞を果たしました。20日の公式練習でアクシデントに見舞われた河辺愛菜選手(スポーツ科学部2年)。ショートプログラムで苦戦したものの、フリーでは今シーズンのベストスコアを叩き出し13位で大会を終えました。また、櫛田育良選手(附属高校2年)が14位、大庭雅選手(2017年度スポーツ科学部卒)が21位と、今大会も中京女子シングル勢が大活躍の大会となりました。

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 りくりゅうペア(左から三浦璃来選手、木原龍一選手)

 ペアの『りくりゅう』こと、三浦璃来選手(スポーツ科学部4年)と木原龍一選手(2014年度スポーツ科学部卒)は他を寄せつけない圧倒的な強さと美しさで5年ぶり2度目の優勝に輝きました。

 中京大学は、日本を代表するトップスケーターを次々と輩出していることで知られています。本大会の会場には、2008年以降のメダリスト・オン・アイス(通称:全日本エキシビション)の歴代ポスターが展示されていました。その中には浅田真央さん、安藤美姫さん、宇野昌磨さんといった中京大学に在籍していた名だたる選手たちの姿が見られました。このエキシビションは全日本フィギュアでメダルを獲得した選手や推薦選手といった限られた選手のみが出演できます。つまり、中京大学の選手が毎年途切れることなく日本のトップ選手を輩出し、日本フィギュア界を牽引していることを象徴しているといえるでしょう。

トップ選手が次々と誕生する理由

 中京大学から日本のトップスケーターが次々と誕生する要因は、『選手同士が高め合える関係性』と『恵まれた施設・戦略的なサポート体制のある環境』といった2つの要因が挙げられます。

 選手同士の関係性について、中京大学スケート部には、選手同士が切磋琢磨できる環境が整っています。全日本フィギュア初出場を果たした誉田選手は、「すごい先輩方の滑りを間近で見られる環境があり、常に学ぶことがある」と述べています。また、全日本フィギュアの本番前にも、大舞台を幾度と経験した山本選手や鍵山選手といった先輩から「とにかく楽しんでこい」「会場の雰囲気にのまれないように」といったアドバイスを受け、大いに励まされたそうです。また、女子シングルに出場した松生選手も「鍵山選手をはじめトップ選手から刺激をもらえることはもちろん、コーチが違ってもみんな仲が良くて、お互いに高めあえる環境があるのはすごく恵まれている」と話してくれました。河辺選手は、「精神的に支えになることもあれば、もっと頑張らなきゃという刺激にもなる」と述べ、ライバルでもあり、同じスケート部の部員でもあるという身近な存在がお互いの成長を促しているということを示しました。さらに、日本のエースとして注目される鍵山選手自身も、先輩からの影響を受けて成長した一人です。鍵山選手は、宇野昌磨さんと同じ練習環境で過ごした経験が刺激になったそうです。宇野昌磨さんの引退後は、今度は鍵山選手が後輩たちにとって学ぶ存在となり、「見られる立場になったことで、より一層頑張ろうと思える」と述べています。このように、選手同士が互いに刺激を与え合い、高みを目指す環境が整っていることが中京大学スケート部の大きな特徴です。

 施設環境やスケート部の体制について、中京大学のキャンパス内にはスケートリンクが設置されています。国内でスケートリンクを保有している大学は2校しかなく、全国でも珍しい施設です。また、中京大学のスケートリンクは、中京大学の選手やジュニア世代のスケーターが充実した練習が可能になるよう工夫を凝らしています。小中学生から高校生、大学生に至るまでの幅広い世代が同じリンクで練習を積むことで、ジュニア世代の選手が世界で戦うトップ選手の滑りを間近で見て学ぶ環境があるため、次世代のトップスケーターが着実に育成されています。このような次世代を育成しトップ選手を生み出すサイクルを支えているのがスケート部のスタッフ陣です。部長や監督が戦略的に練習環境を整え、選手一人ひとりが最大限の力を発揮できるよう配慮しています。フィギュアスケートは個人競技ですが、選手を支える多くの人々の存在があってこそ、輝かしい結果が生まれます。中京大学はその象徴と言えるでしょう。

 2026年2月に開催されるミラノ・コルティナダンペッツォオリンピックでの戦いは始まっています。今回の大会で優勝を飾った鍵山選手をはじめ、これからも中京大学から新たな日本のエース、オリンピアンが誕生することが期待されます。スケート部の今後の活躍から目が離せません。

取材:学生広報スタッフ「ライト」

文:酒井梨奈(総合政策学部3年)・岡田美虹(スポーツ科学部2年)

写真:中京大学スケート部 提供

2025/01/15

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