工学研究科/加藤海渡さんに学長賞 学会で奨励賞受賞を称え
加藤海渡さん(工学研究科博士後期課程2年)は8月8日、学長賞を受賞しました。加藤さんは2024年電子情報通信学会NOLTAソサイエティ大会で奨励賞を受賞。その成果が称えられ、今回学長賞を受賞しました。
加藤さんが受賞した同学会の奨励賞は、学会内で非線形や複雑系の理論と応用にわたる広範な分野の研究者・学生を対象に、発表件数の4%を上限として35歳以下の優秀な研究者に贈られる賞です。加藤さんの受賞研究は、ニューラルネットワークの一種であるExtreme Learning Machine (ELM) を用いたデータ駆動型の分岐解析手法の提案です。この手法は、実験系の回路において分岐解析を可能にするものであり、数理モデルの構築が困難な実験系に対して定性的な理解を提供します。具体的には、わずか9個の回路パラメータセットにおける電圧波形の時系列データをELMに学習させることで、3次元自律系回路の分岐解析を実現しました。
加藤さんは「今回の研究はAI技術と非線形理論を組み合わせることで、複雑な電子回路の設計に新しいアプローチを提供しました。今後も基礎研究と応用研究の架け橋となるような研究を進めていきたい」と語りました。加藤さんの指導教員である高坂拓司教授は「加藤さんは非常に自立しており、研究に対する情熱と探究心が素晴らしいです。この受賞はその努力の結果です」とコメントしました。
加藤さんの研究は、回路設計だけでなく、通信分野にも応用が期待されており、今後さらなる発展が注目されます。
(写真左から)高坂教授、加藤さん、梅村義久副学長