工学研究科/2人が日本学術振興会「特別研究員」内定
工学研究科の加藤海渡さん(指導教員:高坂拓司教授、博士後期課程2年)と、田上鈴奈さん(指導教員:橋本学教授、同1年)の2人が、日本学術振興会の令和7年度採用「特別研究員(DC2)」への内定が決まりました。
日本学術振興会の特別研究員制度は、日本の学術研究を担う次世代の優秀な研究者を育成・支援するために設けられた制度であり、大学院博士課程在学者やなどを対象に、研究に専念できる環境を提供することを目的としています。この制度の採用は非常に競争的であり、例年、応募者全体の15~20%程度のみが選ばれる狭き門となっています。
加藤さんは、「自身の研究が社会的に意義のあるものとして評価されたことを大変光栄に思うと同時に、今後は研究成果を確実に形にしていきたい」と内定の感想を語りました。加藤さんの研究は、AIを活用した時系列データ解析と非線形システムの理論を統合し、通信障害の原因となるパケットの渋滞を未然に防ぐことを目指しています。「理論的枠組みとデータ駆動型のアプローチを統合することによって、従来の理論のみでは対応できなかった通信環境においても、安定した通信が期待される研究です」と述べました。また、「常に多角的な視点を持ち、新たな視点を切り開く独創的な研究者として、専門性を磨きながら成長していきたい」と研究へのさらなる意欲を表明しました。
加藤海渡さん
田上さんは、「AI駆動の調理ロボットの実現に向けて、料理の完成度をロボット自らが正しく判断する技術の開発を目指しています。従来は限られた種類の料理しか認識できませんでしたが、料理人の動作による食材の隠れに強い画像処理AIを開発することによって、さまざまな料理にも対応できるようになりました。これまでの研究成果や、今後の計画を評価していただき、特別研究員に採択されたことをとても嬉しく思います。」と喜びを語りました。また、「画像処理だけでなく、言語処理やロボット技術など異分野の知見を取り入れ、革新的な技術を提案できる研究者を目指して自己研鑽に励み、日本の技術力向上の一翼を担いたいです」と強い意気込みを語りました。
田上鈴奈さん
教員のコメント
高坂拓司教授
加藤さんの研究は、通信環境より得られる時系列データのみを用いた適切なバッファサイズ設計法を提案することです。一昨年度は補欠で不採用、昨年度は体調不良のため申請できなかったこともあり、今回の採用を嬉しく思います。並行して異なる三分野の研究を進めていますが、視座高く分野そのものを切り拓いてくれることを願っております。
研究科長・橋本学教授
田上さんの研究は、VLM(視覚言語モデル)という世界的にも最先端のAI技術に関するものです。指導教員として、日頃から時間を惜しんで研究に没頭している姿を見てきましたので、今回の採用内定はたいへんうれしく、本人のさらなる成長が楽しみです。また、難関の特別研究員制度に、本年度は工学研究科から2人の博士課程学生が内定を受けたことは、研究科全体の研究力の向上にもつながるものと期待しています。