工学研究科/研究生の飯塚正樹さん、橋本学教授
ビジョン技術の実利用ワークショップで小田原賞を受賞

 第30回ビジョン技術の実利用ワークショップ(ViEW2024)が12月6日、横浜で開催され、工学研究科研究生の飯塚正樹さん(2018年度同研究科修了、浜松ホトニクス(株)所属)と橋本学教授が小田原賞を受賞しました。同ワークショップは、精密工学会・画像応用技術が母体となっている、国内で最大規模の学会です。画像処理分野の中でも、特に産業界への実利用性を重視した学会であり、今年は100件の一般発表がおこなわれました。今回、飯塚さんらが受賞した小田原賞は、一般発表のうち、参加者の投票と審査委員会による厳正な審査に基づき優れた論文1件のみに与えられる、きわめて格式の高い賞です。

研究の詳細

表彰名称:画像応用技術専門委員会 小田原賞

発表論文名:λ-Captureカメラと重心波長トラジェクトリに基づくウェーハ検査のためのnmオーダ膜厚計測法

受賞者(論文著者):飯塚正樹(浜松ホトニクス、中京大)、辻健太、藤森公、森島康太(浜松ホトニクス)、橋本学(中京大)

論文概要  

 半導体製造では、その半導体に使われるウェーハの膜の厚さをnm単位で計測する技術が求められています。受賞した研究では、その膜の厚さとλ-Captureカメラ(浜松ホトニクス製)がもつ特性との関係が、独自空間上で演算しやすい形式で表現できることを発見しました。その表現を用いることによって、計測速度を従来手法より大幅に高速化できるようになりました。

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 (左から)飯塚正樹さん、橋本学教授

飯塚さんの談話  

 この研究は、一口に画像処理の研究といってもその画像が生成される過、言い換えれば光がデータに置き換わる過程までを考慮した、非常に広範な領域を対象としています。その領域を私一人で研究するのは難しく、この成果に達するまでに非常に多くの方々にご支援いただきました。特に、橋本先生には画像処理に関するご指導はもちろんのこと、企業で活躍されていたときのご経験から、専門分野にとらわれない非常に広い視点でのご助言をいただきました。今回の受賞も、そのようなご指導、ご助言のおかげです。

 今回の研究成果には一定の実用性が認められていますが、取り組むべき課題も多く残っています。今後も継続して、それらの課題解決に取り組み、社会の発展に少しでも貢献できるよう精進していきたいと考えています。

橋本学教授(工学研究科長)の談話  

 筆頭著者の飯塚さんは、2013年度に誕生した工学部1期生、また2017年度に設置された工学研究科修士課程の1期生でもあり、当研究室の卒業生です。浜松ホトニクス様に入社されたあとも画像処理の研究を続けられ、本年度からは大学院研究生として当研究室に在籍されています。今回の受賞研究は、同社の最先端センサ技術と画像処理技術を巧みに融合させたものであり、飯塚さんならではの緻密な数理的考察と独創的な発想、さらには企業レベルの高い実用性が評価されたものです。工学研究科では、社会貢献として、産学連携研究や企業技術者の方へのリカレント教育を重要視しており、今回の成果はその好例でもあることから、とりわけうれしく思っています。

2024/12/16

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