教育の質向上 性の多様性に配慮した授業実施を考える

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 中京大学教育推進センターは9月19日、2024年度第1回FDセミナーを名古屋キャンパスで開催し、対面やオンラインで参加した教職員173人が参加しました。今回は「性の多様性に配慮した授業の実施方法および学生との接し方について」と題し、社会学を専門とする風間孝教授(教養教育研究院)が講演。今年度から私立大学においても合理的配慮への対応が義務化されました。本学においても、「中京大学 性の多様性についての基本理念と対応ガイドライン ―LGBT等の学生の修学のために―(仮称)」が今年10月に制定予定。性のありようにかかわらず、すべての学生が等しく尊重されるための学修環境整備の一環として開催しました。

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 性のあり方について解説する風間教授

 風間教授ははじめに、日本における法改正について触れ、地方自治体におけるパートナーシップ制度の広がりを紹介しました。その後、自身の研究に触れながら「戸籍上は同じ性別だとしても、性のあり方は異なります。性の多様性はグラデーションであり、すべての人に関わります」と述べました。さらに、性的マイノリティの学生の状況として、ある大学で行われた調査結果を紹介。「大学で嘲笑的言動や差別的言動を受けたり見聞きした経験」を問うと、性的マイノリティが非性的マイノリティと比べて高い割合を示す結果になりました。同じキャンパス内で行った調査でありながら、大きく差が出たことについて風間教授は「他者が無自覚に行う言動で当事者を深く傷つけている、ということを示しています」と話し、大学における性的マイノリティ支援の重要性を伝えました。そこで、授業の実施方法と学生(教職員)との接し方を6つ紹介。例えば、名簿上の性別や外見の性別で対象者を呼びかけることはせず、苗字だけで「~さん」と統一した呼称を用いること。性別情報は個人情報であることを念頭におく、など具体的に伝えました。

 講演後の質疑応答で、メッセージアプリにおける学生同士の呼び名とそれに対する教員の関わりについて問われると、風間教授は「アプリ上でのコミュニケーションで困っていることはありますか、と授業内で話し、相談しやすい環境を整備することです。そもそも、なぜその話をするのか理由を含めて学生に説明することも重要です」と伝えました。聴講した教職員からは、大きくうなずく様子が見られました。

 中京大学では、FDセミナーを通じて教職員が互いに学び合い、教育内容の改善を図る重要な場と位置づけています。今回のセミナーで得られた知見を活かし、教員一人ひとりがより効果的な授業を展開できるよう支援していくことで、学生に提供する教育の質の継続的な改善を目指しています。

2024/09/23

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