2023年景気シンポジウム「日本経済の現状と展望」開催
中京大学と中部経済同友会が共催する景気シンポジウム「日本経済の現状と展望」が12月5日、名古屋マリオットアソシアホテルで開催されました。このシンポジウムは、中京大学公開講座経済・経営シリーズとして開催されているもので、日本経済の展望について、産官学それぞれの専門家たちによる見解が論じられるものです。
コロナ禍では、感染症対策を徹底し人数制限を設けたうえで、中京大学名古屋キャンパスの清明ホールで開催していました。今回、4年ぶりにコロナ前と同じ名古屋マリオットアソシアホテルで行い、535人が来場しました。
梅村清英学長
シンポジウムの冒頭では、梅村清英学長が挨拶、そして中部経済同友会・教育を考え行動する委員会の九鬼綾子委員長が、今回のパネリストの皆さんを紹介しました。
内田俊宏常任理事
内田俊宏・梅村学園常任理事・中京大学経済学部客員教授がコーディネーターを務め、壇上には寺村英信氏(経済産業省 中部経済産業局長)、黒田昌義氏(国土交通省 国土政策局長 )、そして天野源之氏(中部経済同友会代表幹事、天野エンザイム株式会社代表取締役社長 )と、3人のパネリストが登壇しました。マクロからミクロまで、それぞれの経験や専門知識から、三者三様の多岐にわたる内容が語られました。
寺村局長は「今年はベアが行われたが、実質賃金はまだマイナスである。物価上昇率はピークアウトしたと政府の発表ではなされており、ベアの効果はまだ表れていないものの、賃金と物価が正のサイクルで回り出し、実質賃金はプラスに転じるのではないか。また数年前からアメリカと中国、ウクライナとロシアなど、急速に顕在化してきたグローバルリスクに対して、どう対応していくかが重要」と話しました。
寺村英信局長
黒田局長は「主要な都市でも人口減少はほぼ確実であり人手不足は重要な課題である。リニア中央新幹線の誕生で、名古屋から中津川までは十数分であり、名古屋から品川までも約40分といわれている。東京一極集中の流れは大きく変わり、若い世代だけでなく、アクティブシニアのワークライフバランスにインパクトをもたらすだろう。現在の過疎化地域も、リニアの誕生でベッドタウンになる可能性があるため、それまでにはスマート農業や移動販売、ドローンでの物流などの確立も求められる」と語りました。
黒田昌義局長
天野代表幹事は「日本の企業の99.7%が中堅・中小企業だという数字が出ている。日本経済が活性化するには、中堅・中小企業が元気にならないといけない。ただ、大企業と真っ向勝負しても勝ち目はない。そのため、ニッチスペシャリストになることも生き残る選択肢のひとつであると思う。ドイツにはギデオン・チャンピオンとよばれる企業たちがある。たとえば台車などのキャスターだけを作っている会社。その会社がつくるキャスターは機能性、デザイン、環境への配慮などさまざまな魅力があり、世界シェア7割を占めている」と紹介しました。
天野源之代表幹事
日本経済のこれまで、そしてこれからを知る登壇者から語られる内容は、発見も驚きも多く、参加者は熱心にメモをとる姿が多くみられました。