村上尚生さん(工学部4年)
日本非破壊検査協会「2023年度秋季講演大会」
新進賞を授賞しました

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 工学部4年の村上尚生さん(指導教員:橋本学教授、橋本研究室・秋月研究室連携研究グループ(ASMI)所属)は10月5日、6日に開催された一般社団法人日本非破壊検査協会主催「2023年度秋季講演大会」において、新進賞を授賞しました。講演題目は「固有空間上における情報の合成に基づく高リアリティ不良品画像生成」。
 同協会は、学術活動として、非破壊試験・非破壊検査・非破壊評価全域にわたり、国内外で学術調査・研究活動を展開しています。秋の講演大会では、毎回様々なテーマで発表が行われており、研究・調査の発展や情報交換を目的としています。今回、村上さんが受賞した新進賞とは、秋季講演大会において、講演された優秀な若手の研究者に贈られる賞です。今回は、43件の講演の中から、計9件の講演が授賞しました。

コメント

村上尚生さん

 本研究では、生産現場における外観検査の自動化を目的として、外観検査AIの学習のための、新たな画像生成手法を提案しました。外観検査AIの学習データとして現場の不良品画像が手に入りにくいという問題に対し、従来は、擬似的な欠陥画像を画像として人工的に生成する手法が主流でしたが、生成される画像の質に懸念点がありました。
 私の方法では、現場で得られた少量の不良品画像を利用し、この不良品画像のもつ「欠陥情報」を固有空間という数学的な形で表現し、これを適切に合成することによって、自然な不良品画像を生成することに成功しました。日頃の橋本教授のご指導や研究室の先輩方との議論のおかげで、今回の賞を授賞することができ、たいへんうれしく思っています。
 来年度は大学院の修士課程に進学する予定であり、研究力のさらなる向上に励み、国際学会や学術論文誌への投稿にも積極的にチャレンジしたいと考えています。

橋本学教授

 外観検査AIは、近年のAI技術発展を背景に、急速に注目度が高まっています。村上さんは、「現場では不良品のサンプルを入手できない」という実用上の大問題に対して、彼が得意とする数学的な手法を駆使することによって、高性能を実現しました。今回の受賞は、このような理論的な側面が評価されたのではないかと、喜んでいます。とはいえ、本当に実用になる外観検査AIに要求される性能は桁違いに高いので、今後も持ち前の粘り強さを発揮し、この成果をさらに発展させ、国際的にも通用する技術者に育ってほしいと願っています。

2023/11/06

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