国際学部尾和ゼミ、国際開発に関する映画上映会を実施

 国際学部尾和潤美ゼミが、6月30日、映画『ムクウェゲ「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師』の上映会と、華井和代氏(東京大学未来ビジョン研究センター特任講師)による講演会を実施しました.

20230630_上映会-02.jpg

 上映会は名古屋キャンパスの清明ホールで行われ、学内外から多くの参加者が集まりました。参加者の中には映画の内容に心を揺さぶられ涙を流す姿も見られました。
 映画『ムクウェゲ「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師』は、アフリカ大陸のコンゴで女性たちを救うために奮闘する婦人科医デニ・ムクウェゲの勇敢な姿を描いたドキュメンタリー作品です。
 2018年にノーベル平和賞を受賞したムクウェゲ医師は、「女性にとって世界最悪の場所」と呼ばれるアフリカ大陸コンゴ民主共和国東部で、性暴力によって肉体的、精神的に傷ついた女性たちを20年以上にわたって無償で治療してきました。彼の病院には毎日多くの被害女性たちが運ばれ、治療の日々は終わることがありません。レアメタルなどの豊富な鉱物資源を有するコンゴでは、武装勢力による利権争いが続き、それらが女性たちの悲劇を生んでいます。根本的な問題の解決を目指し、コンゴの地で女性たちの身に起きている悲劇と、その原因を世界に向けて発信するムクウェゲ医師の行動は、参加者の心に深い感銘を与えました。

20230630_上映会-05.jpg

 上映会の後は華井和代氏による講演が行われました。華井和代氏はコンゴの紛争資源問題と日本の消費者市民社会のつながりについて研究されており、映画の内容について補足的な解説を行いました。
 参加者からは「すごく複雑な問題だと思う」「映画の内容(コンゴの実情)は本当に悲惨だが、そんな現状を知って目を背けずに考え、伝えていく事が大事だと思った」という声がありました。 このような意見からも、映画や講演会が取り上げた問題が深刻であり、社会に対して向き合う姿勢が強く求められていることが分かります。
 国際学部尾和ゼミはこれまでに、グローバル・ガバナンスの観点から、先進国・途上国・新興国の関係性や途上国における援助の受益者・途上国政府・先進国政府・先進国における市民との関係性など、様々なアクターの関係性に焦点を当て、国際開発の問題点や課題について研究してきました。 尾和ゼミの取り組みは、社会的な課題に関心を持つ学生たちに対して多様な視点を提供しています。
 映画『ムクウェゲ「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師』の衝撃的な内容と華井和代氏の専門知識による講演が融合したこのイベントは、多くの参加者にとって人道支援や国際関係に対する新たな気づきをもたらしたことと思います。 尾和ゼミの活動は、社会的な問題への理解を深め、より良い未来を築くための一歩を支えています。

20230630_上映会-15.jpg

学生のコメント

<浅野琴美>
 映画上映の運営は思った以上に大変でしたが、貴重な経験でした。スマホの利用による紛争鉱物の問題を知り、無関心な人にも啓発が必要だと感じました。紛争鉱物が原因で起きている悲惨な状況を知り、そこから感じたことを伝えていかなければならないと思います。

<鯉江志歩>
 上映会を通じて社会問題への意識の低さと広報の難しさに気付きました。大学で社会問題を取り上げる必要性を感じました。華井さんのお話から、国を一人が統制する難しさと日本のメディアによる取り上げ方に疑問を抱きました。

<小林夏海>
 この問題を知ってもらうきっかけを提供する目的で上映会を企画しましたが、思った以上に無関心な人が多くいかに関心を持ってもらえるようにするかが難しかったです。コンゴの問題には政府や警察組織の腐敗がとても大きな要因だと思いました。警察組織が厳格なものとなるような法的支援が重要であると感じました。

<松本亜子>
 上映会の広報に関してSNSの効果は限られるので、ビラ配りにも力を入れるべきでした。イベントを計画する際は各担当の役割を明確化し、効率的な準備を心掛けるべきだと学びました。

<山形理峰> 
 華井さんに直接お話を聞けたことで知識が深まり、知らなかったことを沢山知りました。内政不干渉がどれだけ正しいのかを考えさせられました。コンゴにおけるPKOの活動が限界になったということは、先進国ができるのはすべて間接的な影響力を持つもののみになります。それで本当に変化を起こせるのか、実際問題厳しいという現実も知りました。

<山下知映奈>
 この問題は日本で話題になっていないことから、多くの日本人が知らないということも問題だと思います。今回私たちは、知らない人に知ってもらうために映画の上映会を行いました。もっと多くの人に広めるためにはどのような活動をしていけばよいかを考えるきっかけにもなりました。私たちが周りに伝え続けることも重要と感じました。

2023/07/27

  • 記事を共有