名古屋市科学館との連携講座 においを消す不思議なタマゴづくり

 中京大学人工知能高等研究所と名古屋市科学館の小学生向けの連携講座「においを消す不思議な『タマゴ』をつくろう」が、8月29日と9月5日の2週に渡って名古屋市科学館の第一実験室で開催された。

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 2013年から実施されている連携講座だが、今回は新型コロナウイルスの流行という例年とは違う状況下での開催。過密を避けるために、例年は実験机に2組ずつ親子が座るが今年は1組ずつの配置とし、昨年の半分の8組の親子が参加した。

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 当日は参加者には体温の提出と手指の消毒を実施、会場は換気を十分にしたうえで講座の前後には実験机の消毒を行うなど、徹底した感染予防対策をしたうえでの開講となった。

 今回の指導者は工学部の野浪亨教授。1週目は親子で作った粘土のタマゴを、本学で野浪ゼミの学生が高温で焼き上げ、2週目は焼き上げたタマゴを学生が各親子に配るところから再開した。野浪教授の指導のもと、ノギスとはかりを用いて外観の変化を測定。測定結果を各親子が発表していくと、平均でタマゴは大きさ約0.5mm、重さ-10gもの減少をしていることが判明。小学生からは驚きの声が上がった。

 減少理由をクイズ形式で親子と考える時間では、講座のサポートに入っていた学生も回答に参加するなど和やかなムードで講座は進行していった。

 焼き上げたタマゴには、小学生たちが思い思いの色付けを施した。

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自分の手で作り上げたタマゴに言葉や絵を描いていく。児童たちは、みな真剣なまなざし

 絵付けされたタマゴを酸化チタン溶液に浸し、消臭加工を施す工程では学生が各テーブルを回り、実験をサポート。タマゴを慎重に溶液に漬ける小学生を見守った。すべての参加者がタマゴを割ることなく、無事に実験は終了した。

 参加した児童は「1週目のタマゴを磨くところが難しくて、少し傷がついてしまった。でも、絵を描くところがとても楽しくて、綺麗なタマゴが出来上がってよかったです」と笑顔で感想を語った。児童の保護者は「サポートの学生さんがきびきびと動いていて感心しました。学生さんも先生の方も子どもたちの目線に立って優しくわかりやすく接してくれていました」と話した。

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 講座のサポートにあたった野浪ゼミの古田愛音さん(工学研究科修士2年)は「新型コロナウイルスの影響で、ゼミ室への入室が制限されており、準備に大変苦労しました。開催前には、科学館の担当者の方から予防対策をご指導いただきました。動線や進行にも工夫を重ねたので、十分な対策ができたと思います。何より予定通り開催できたこと、参加者の嬉しそうな顔を見ることができたことに一番ほっとしています」と講座を振り返った。

 野浪教授は「普段教えているのは大学生ですが、こうして小学生を教えてみると、思いもよらない質問などが飛んでくるのでハッとさせられたり、気づかされたりすることも多かったです。進行や準備、企画といったところは学生に任せましたが、今回は特に新型コロナウイルスの流行というなかでの開催となり特に難しかったと思います。しかし、そんな状況下だからこそ、例年以上に創意工夫をしてくれました。幅広い意味で"考える"力を養うという面では、この状況下だからこそ得るものもあり、有意義な経験となったのではないでしょうか」と振り返った。

2020/09/11

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