プラネタリウム特別連携事業 中京大学×プラネタリウム×アートピア 「The Edge of Infinity」 開催
中京大学工学部メディア工学科を中心とするメディアアーティストと、名古屋市科学館学芸員によるアートを活用したプラネタリウム「The Edge of Infinity」が12月8、9日に名古屋市科学館で開催された。
このイベントは中京大学メディア工学科と人工知能高等研究所、名古屋市科学館、名古屋市文化振興事業団(青少年文化センター)の共催。世界最大35mのプラネタリウムドーム「Brother Earth」でメディア工学技術を用いた芸術表現についての研究成果をコンサート形式で発表し、両日合わせて650人以上の観客が来場した。
中京大学からこのプロジェクトに参加したのは、工学部のカール・ストーン教授、上芝智裕准教授、井藤雄一助教、企画・調整を担当した非常勤講師の松崎淑子氏。2016年1月頃から構想をはじめ、2年がかりのビッグイベントとなった。井藤助教は「実際の映像・音楽制作には200~300時間を費やしました」と話す。
各教員は名古屋市科学館の学芸員や、ゲストアーティストとのコラボレーションを展開し、普段のプラネタリウムでは投映されない科学とアートを融合した迫力ある全天投映の映像音響作品と、毛利勝廣学芸員による宇宙と無限に関わる解説が行われた。
映像音響作品は3パートに分かれてプラネタリウムに投映。松崎講師が全体の企画・調整を担当し、パート1は"to the edge of universe"をテーマに映像を井藤助教、毛利学芸員、音楽を井藤助教が担当。パート2は"contact with infinity"を映像・音楽ともに真下武久氏、"discrete infinity"を上芝准教授が担当し、幻想的な世界を作り上げた。パート3"beyond the edge"はプログラマー/アーティストのucnv氏が映像を制作し、ストーン教授が映像に合わせたライブパフォーマンスを行った。ストーン教授は現在のコンピューターミュージックの先駆者の一人と言われており、1972年から電子アコースティック音楽の作曲を行っている。24のサウンドシステムを使った臨場感のある音、プラネタリウム全面に映像が映し出され、来場者は感嘆の声を上げた。
井藤助教と毛利氏とのコラボレーション作品 | ゲストアーティスト真下氏の作品 |
上芝准教授の作品 | カール教授とゲストアーティストucnv氏の作品 |
3教員のコメント
ストーン教授:「名古屋市科学館プラネタリウムは、最新の技術を用い、一見境界がないように思える広大な多元的宇宙の不合理さを熟考する事に想いを巡らせる素晴らしい場所です。プラネタリウムは同時に、恰も我々が胎内にいるかのようにこの広大さをシュミレーションしてくれます。作曲家としてはずっとマルチチャンネルに魅せられ、また他の分野のアーティストとのコラボレーションも楽しんでいます。このプロジェクトは、科学とアートの融合という新鮮な環境が、様々な事を可能にし、大変楽しい試みでした」
上芝准教授:「今回の映像音響作品を制作するにあたって、何度か科学館の日常業務を拝見する機会がありました。世界一の規模を誇るドーム映像において、様々な制約がある過酷な制作環境であるにもかかわらず、学芸員の皆さんが映像品質に徹底的に拘って調整作業をされておりました。そのようなお姿を拝見し、科学の分野の皆様のほうがアーティスト以上に芸術的ではないかと感心した次第です。このような素晴らしい機会を与えてくださった皆様に感謝申し上げます」
井藤助教:「私の研究/制作のなかで作業量も含めて一番大きな作品で、制作にあたりたくさんの困難がありました。しかし、学芸員の毛利さんとのコラボレーションがとても刺激的で制作の後押しとなり、無事作品を完成させることができました。私にとってはこれまでの集大成とも言える作品をたくさんの方にご鑑賞いただき嬉しく思います。この経験を基に、より良い研究や作品制作に邁進してきます」
プラネタリウムでのリハーサルの様子 |