馳浩文部科学大臣、中京大学での発達障害理解促進シンポジウムに出席 運営ボランティアの中京大生とも懇談

 学校教育における発達障害の理解促進を進めるシンポジウムが3月12日、中京大学名古屋キャンパスのヤマテホールで、馳浩文部科学大臣を迎えて開かれた。今年初めて英国自閉症協会が今月14日から18日までを、School Autism Awareness Weekとして学校での自閉症理解啓発の呼びかけをするのに歩調を合わせた形で、中京大学現代社会学部の辻井正次教授の研究室などでつくるLIUB2016名古屋実行委員会が主催した。LIUBは、Light it up Blueの頭文字で、4月2日の世界自閉症啓発デーに向けて、世界各地で象徴的な建造物を青色にライトアップしてアピールする試み。名古屋ではテレビ塔で実施される。

 プログラムは、基調講演とシンポジウムなどで、発達障害議員連盟副会長も務める馳文科相がまず、「一人ひとり個人に合った支援が大切なこと、切れ目ない支援が必要なことを多くの人にわかってほしい」とあいさつ。辻井教授が「学校において知っておきたい発達障害についての基本的なこと。発達障害をどう理解し、どう伝えるか」をテーマに基調講演した。その中で「発達障害がある人には、その人の苦手なことを克服するコツなどをきちっと教える努力をし、発達していってもらうこと大切」などと述べた。

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      シンポジウムの冒頭で挨拶する馳大臣

 続いて、中京大学大学院社会学研究科院生の堀兼大朗さんが、発達障害の子供たち1002人から集めた声をもとに報告し、「聞くことが苦手なのでゆっくり話してください」と友だちへの声や、話をしてもらうときに、「何々だから、こうして」とか「何々だから、こうしよう」などと理由をつけてから指示してほしい」など先生や職場の同僚などへの要望の声が紹介された。
 この後、発達障害議連副会長の中根康浩・衆院議員、田中裕一・文科省特別支援教育課調査官、作家の堀田あけみさんが登壇。中根議員は、現在の発達障害者支援法は施行後10年が経過し、見直し作業を進めていることを報告。一番大事なのは発達障害者の定義の改正だとし、発達障害及び「社会的障壁」があることによって日常生活、社会生活に制限を受ける者と規定したいとしている。その他全般的に見直し、議員立法という形で改正を進めると述べた。田中調査官は、障害のある児童生徒などの自立・社会参加のための特別支援教育の充実などについて話した。
 また、堀田さんは、障害を持つ子の親の立場からスピーチした。障害のある子でも学習能力は備わっている。「あきらめないで教えてください。人間は教えてもらって変わるんです」と力説。いわゆる常識や先入観にとらわれることなく、「あきらめないで教えてください。教えるのは我慢ではなく勇気です」と呼びかけた。会場には発達障害の子を持つ親たち、学生ら200人余りが詰めかけ、メモを取ったりしながら熱心に耳を傾けていた。

ボランティアを務めた中京大生と懇談する馳大臣.jpgのサムネール画像
 シンポジウムの運営ボランティアをした中京大生と懇談する馳大臣

 シンポ終了後、馳文科相は、シンポジウムの運営ボランティアをした中京大生と懇談した。ボランティアの学生は辻井ゼミ、工学部の曽我部哲也講師のゼミ、心理学部の明翫光宜講師のゼミ生の計41人。学生たちからは発達障害の理解促進のための今後の取り組みについての質問があったほか、馳文科相の飾らない話しぶりに誘われ、アルバイトや部活のことなどを笑顔で応じていた。最後は、一緒に記念写真に納まっていた。

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               馳大臣(中央)と記念写真に納まる中京大生たち




















2016/03/12

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