工学部の磯教授が宇宙飛行士との交信プロジェクト実施
小学5、6年生14人が油井亀美也さんに質問

20151208-2.jpg 20151208-1.jpg
会場では大勢の児童と保護者が見守った 磯教授(中央)の仲介で油井さんに質問する小学生

 

 国際宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士、油井亀美也さんと弥富市立弥生小学校の児童たちが12月4日夕、工学部の磯直行教授の仲介で無線交信した。

 宇宙飛行士との交信を通じ、子供たちが科学技術や宇宙への興味・関心を高めるNASA(アメリカ航空宇宙局)のプロジェクト「ARISS(アリス)スクールコンタクト」の一環。国内では85例目。東海地方では、愛・地球博が開催された2005年から愛知県内の小中学校などで開かれ、今回で11回目となる。日本の担当機関である日本アマチュア無線連盟の愛知県支部長を務める磯教授が東海地方のARISSスクールコンタクトを担当している。

 交信は、国際宇宙ステーションが台湾上空に差し掛かる18時半頃から10分にわたり行われた。児童や卒業生、保護者ら約600人が見守る中、5、6年生14人が緊張した面持ちで「宇宙で紙飛行機を飛ばすとどうなりますか」「酸素はなくならないのですか」などと質問した。油井飛行士は「やってみたことがないが、ぜひ実験したい」「水を分解して酸素を作っている」などと丁寧に答え、「みなさんとお話できて光栄でうれしい。勉強して、家族の手伝いをすれば、宇宙飛行士になるチャンスが広がる」とメッセージを送った。

 磯教授は今年7月から、質問者やイベントを盛り上げる係となった子どもたちに対して、英語による交信の練習や無線機のマイクの握り方などを練習してきた。また、宇宙や電波の知識に親しんでもらおうと、電波探しゲームや三菱重工業の飛行機製作担当者による講演会を行っている。質問した児童は「油井さんから返事が返ってきた瞬間が一番緊張したが、とてもうれしかった」と話していた。交信の様子を見守った児童も「あんなに遠く離れていて速く移動しているのに、お互いに声が届いて感動した」と興奮冷めやらぬ様子だった。

 中京大学は2008-2012年にかけて、情報理工学部(当時)がARISSスクールコンタクトの連携機関として、教員が子供たちに宇宙や科学に関する講義をしたほか、学生が無線設備の構築や英語の指導をしてきた。現在も、磯教授のゼミ生らがアンテナ建設や当日のプロジェクタ映写、記録、現場対応などを補助している。今回は、磯ゼミの卒業生が日本アマチュア無線連盟のボランティアとして協力した。

20151208-3.jpg
交信が無事に成功し、喜ぶ磯教授と子どもたち

 磯教授によると、無線交信の仕組みは次の通り。
マッハ23のスピードの国際宇宙ステーションが近づき、日本上空を通過し、遠ざかっていくとき、物理学のドップラー効果が発生して送受信の周波数が時間とともにずれていく。また、電波の偏波面も変わっていく。こうした物理現象に合わせて、無線機器・アンテナの操作やオペレーションを行うことで長時間にわたって宇宙飛行士と交信することが可能になる。

2015/12/08

  • 記事を共有