中京大学開学60周年記念講演会、三菱総研の小宮山理事長講演
「行動する人材を育成し、日本再創造」と提唱

60周年記念講演会

 

 中京大学開学60周年を記念してシリーズ開催されてきた第3回の講演会が5月28日、三菱総合研究所理事長で、前東京大学総長の小宮山宏さんを講師に迎え、名古屋キャンパス図書館・学術棟の「清明ホール」で開かれた。

小宮山宏・前東京大学総長
小宮山宏氏

 工学博士で、地球温暖化問題対策技術などを研究している小宮山理事長は、21世紀の重要なキーワードを『有限の地球、高齢化する社会、爆発する知識』としており、この日の講演では、これらの課題を解決し、日本を再創造するために、行動する人材を育てることが肝要と話した。

 小宮山理事長は世界の現状について「人類史の転換期に差しかかっている」とし、「途上国と先進国との差が縮まり、クルマなどの人工物が飽和する時代に入っている。世界の平均寿命は110年前が31歳だったのが、今は70歳になっており、こうした難題に取り組んできた日本こそが課題解決先進国として存在感を発揮できる」と述べた。

 同理事長はまた、温暖化、高齢化などの課題を同時に解決するための「プラチナ社会ネットワーク」を提案しており、「衣食住や情報、長寿などの量が満たされた後、求められるのは質であり、これが産業とどう関わるか。今後はより良い暮らしを実現するプラチナ産業が経済成長の源泉になると考える」と語った。

 今回が最終となる記念講演会のホールは学生80人を含む約480人の聴衆で埋まり、小宮山理事長は「課題を発見し、課題をつくる能力をいかに育てるか。それが日本再創造の源になる」と学生たちに語りかけた。

2014/05/29

  • 記事を共有