現代社会学部シンポジウムを開催 社会学部創立から30周年

 現代社会学部では、1986年の社会学部創立から30年を記念して、学部教員によるシンポジウムと非常勤講師の方々や学部を支えてくださった旧教員、新旧の事務職員をお招きしてささやかな懇親会を1月28日(土)に名古屋キャンパスヤマテホールにて行いました。

 シンポジウムの内容は以下に示す通りですが、シンポジウム、懇親会には60名余りの方々にご出席いただきました。以下、内容について若干ご紹介させていただきます。

DSC_1225a.jpg
報告を聴く参加者

 今回のシンポジウムは、現代社会学部が日頃から取り組んでいるテーマを題材に、これからの社会にとって不可欠な人間と社会のあり様について、率直な情報交換をし、学部の教育・研究の今後について語り合う場としたいということがねらいでした。そのため、学部内に「現代社会学部30周年記念シンポジウム企画委員会」を設け、準備してきました。企画テーマは「生きる場の再構築―分断社会から脱却するつながりとはー」としました。

 第一部では、現場からの提起ということで、「その後の市民学―障害当事者の地域生活支援の傍らからー」(伊藤葉子)、「子ども食堂運動の挑戦―地域の中からのもう一つの居場所/つながりづくり」(成元哲)からの報告をいただき、森田次郎、亀山俊朗両氏からコメントと提言をいただきました。

 第二部では、理論編ということで、新しいつながりへのアプローチとして、「宗教をとおして場所とつながりの創出―タイ北部における都市寺院の調査研究」(岡部真由美)、「保育・教育負担を親から社会へー税で新しいつながりを創る」(大岡頼光)の報告を受け、亀井哲也、松田茂樹両氏からのコメントをいただき、総合討論を行いました。

 現代社会学部は社会学を基礎としながら、心理学、社会福祉学、文化人類学など多彩な学問領域の教員によって構成されています。社会学の中でも、理論社会学あり、教育社会学あり、家族社会学ありということで、まさに学際的であることが今回のシンポジウムで確認されたかとも思います。

 今回のテーマにあるように、いま社会はあちこちであらたな紛争の火種を抱えています。それだけではなく、一番身近な家族や地域社会、職場においても、関係性の摩擦や分断が深刻化してきています。私たちは、こうした分断状況としっかり向き合い、その過程を分析し、それを乗り越える関係性を作り出すことに乗り出していかなくてはならないと考えています。30周年を契機に、今後の学部・大学の教育・研究のあり方について、真摯に向き合っていきたいと考えています。今回のシンポジウム、懇親会がそのきっかけとなったことは確かなことだと思っています。                     

【現代社会学部教授:野口典子】

2017/02/07

  • 記事を共有