国際教養学部が「海外課題研究報告会」
仏、独など5か国に留学した学生が発表

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 国際教養学部が秋学期に行った留学プログラム(1セメスター)に参加した学生たちの「海外課題研究報告会」が2月4日、名古屋キャンパスの231教室で開かれ、フランス、スペイン、ドイツ、ロシア、中国の5言語圏の各教室から2人の代表者が、自らが設定した課題についての調査研究結果を発表した。

 このうち、フランスに留学した阿部万里安さんは、「フランスの時間の流れかた」についての研究発表をした。日本と違って、日曜日には一部のレストランや交通機関、病院、ホテルなどを除いて、大半が休日になることを知った阿部さんは、根底に「安息日(日曜日)には労働をしない」というキリスト教の伝統があることを理解した。また、労働時間についても、40時間でサービス残業がある日本に比べて、フランスは35時間であり、残業した場合は有給休暇にカウントされること、その有給休暇も日本の3週間に対して、フランスは5週間もあることが分かったという。

 「フランス人は年間で日本人よりも約1か月半多く休んでいる。カフェでも、日本人は仕事の打ち合わせをし、携帯電話やパソコンでせかせか仕事をしている人が多いが、フランス人は新聞や雑誌を読んだり、友人と会話を楽しんだりして、社交の場としている」と阿部さん。自分や家族の時間を大切にし、精神的に豊かな暮らし方をしているフランス社会の分析を通して、日本人の労働観や生活の在り方に対して疑問を投げかけた。

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 一方、ドイツに留学した戸本芽生子さんは「マイスター」についての研究を発表。日本語でいうと「親方」「職人」に相当するマイスターが、ドイツでは公的な試験に合格しないとなることができず、ドイツ経済の発展に大きな影響を与えてきたことなど、マイスターの歴史に言及した。

 そのうえで、ドイツの料理人や先生、生徒、知人ら7人に「マイスターは今もなお重要か」「マイスターは今後も重要か」とインタビューした結果を公表。「ドイツがヨーロッパの中で豊かでいられるのは、伝統的な工業に支えられているためで、今後もマイスターはドイツ経済に影響を与えていくだろう」と答える人がいる反面、「マイスターはすべての人に認知されているわけではないので、必ずしも影響があるわけではない。マイスターとして働ける可能性が低くなるため、重要性が減少する」と、先行きに対する意見が分かれた。

 研究発表ではこのほか「美人像からみるロシアの多民族性」「「中国人の恋愛観」「スペインの妊娠中絶について」などユニークな内容がズラリ。審査した教員たちも「学生ならではの視点からの自発的な研究が多く、鋭い考察も見られた」「事前の研究と現実が違うこともあり、学生たちも現地調査の大切さが分かったのではないか」などと話していた。

2013/02/06

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