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図書館所蔵の河内本『源氏物語』、1年半の補修が完成
表紙は表裏一体の図柄、本文研究が一層進展へ

 

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「夢浮橋」(54巻)の表紙。川と橋が描かれ、表裏の絵が一体となって表現されている。

 

 鎌倉末期と南北朝時代の書写と推定されている本学図書館所蔵の貴重書、『源氏物語』の写本が、一年半にわたる補修作業を終え、五月に図書館に納品された。京都市の墨申堂山内啓左氏に依頼して汚れを取り除くなどした結果、表紙の表裏が一体の図柄であることが新たにわかるなど、学術的な価値の高さが改めて裏付けられた。本文についても、従来は紙が崩れかねなかった部分をめくることが可能になり、本文研究でも一層の成果が期待されている。

 図書館が所蔵する『源氏物語』の写本は、書写された年代ごとに五種類ある。今回補修されたのは、年代が最も古く、本文が「河内本」と呼ばれる系統の写本。

 文学部の原國人教授、森下純昭教授、酒井敏教授のグループが、中京大学特定研究助成を受け、この河内本『源氏物語』の本文の研究を2008年度に始めたところ、汚れや虫食いが目立ち、補修の必要性に気づいた。学内の承認を得て、2009年度から、補修を依頼した。汚れや虫食いの進行を止めるだけでなく、紙を痛めない範囲で汚れを取り去ってもらい、今年5月13日、完成したものが納品された。

 補修の結果、表紙の表裏が一体の絵として描かれており、しかも本文の内容に見合った図柄であることがわかった。表紙には金泥で書かれ巻名の葦(あし)手書きが数多くあることも確認でき、美術工芸品としても高い価値を持つことが判明した。また、学問的には、これまで虫食いや汚れのため読解できなかった部分が固定されたことにより、本文研究を進展させる条件が整ったことが大きい。

 一方、補修前は、「玉鬘」巻と「夕霧」巻に大きな錯簡があったが、これを正し、スムーズに読解できるようにした。

 原教授は「私達の研究の結果、河内本系統で現存する源氏物語の中では、最善の本の一つと確認しているが、そのことが一層はっきりした。これまでの研究が青表紙本系統を中心に進められていたことに一石を投じることになり、源氏物語の本文研究に新しい地平を開くことになる」と話している。

 図書館では、貴重書を専用の書庫で保管しているが、今回補修された写本は、デジタル画像にしており、所定の手続きをすれば、閲覧できる。

 今回の『源氏物語』修復完成を記念した講演会が、6月11日(土)午後1時30分から、中京大学名古屋キャンパス5号館で予定されています。

 詳しくはこちら

(2011/06/04)

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