中日ドラゴンズを支える三木安司さんの素顔に迫る!
学生広報スタッフ「ライト」の実地研修が9月18日、バンテリンドームナゴヤで行われました。昨年度から中日新聞社主催のスキルアップ研修を受講しており、その一環として、今回は本学OBの三木安司さん(中日ドラゴンズ コンディショニンググループ グループ長)を取材しました。
まず初めに、バンテリンドーム内の見学をさせていただきました。ドラゴンズワールドや、普段は立ち入ることのできない報道関係フロア、選手が利用するトレーニングルームなど様々な場所に案内していただきました。ドラゴンズワールドには歴代名選手たちの様々なエピソードを紹介するパネル型展示エリアのドラゴンズミュージアム、スクリュースライダーや幼児専用スライダー、ボールプールなどキッズ向け遊具のあるキッズエリアなどがあり、誰もが楽しめる空間になっていました。
高校時代から親元を離れて陸上競技に力を注いできた三木さんは、ネームバリューや試合に出場できる可能性を考え、中京大学への進学を決めました。高校時代のリレー仲間である先輩の存在も、その選択を後押ししました。当時はまだ土のトラックでコースがなく、昼休みにトンボを使って線を引いたことが苦労の一つだったそうです。3年時には、コーチから400m競技の主任に指名されました。練習のスケジュールやメニューを自ら組み立て、率先して実行していた経験は、のちに球団で後輩へのアプローチにもつながったといいます。また、学業面では教職課程を履修。話を聞いていると、思わず「先生」と呼んでしまいそうになるほど、落ち着いた語り口に魅力があふれていました。
中日ドラゴンズから「地元の大学出身のトレーニング指導者が欲しい」とスカウトを受けたものの、目指していた進路ではなく、やりがいを感じながらも戸惑いの気持ちが強かったといいます。当時を振り返り、「最も支えになったのは母親の存在でした。『男の回り道なんて大したことない。やってこい!』力強いその言葉が背中を押しました。一方で父親は反対しており、迷いの中で母親の言葉が大きな決断の支えとなりました」と語っていました。
答えがないからこそ、膨大な時間をかけて向き合ってきたトレーナー時代。選手の引退時に力になりきれなかった後悔や、行き詰まった経験もあり、辞めたいと思ったこともありました。そんな三木さんのモチベーションを再び高めたのが、55歳の時に任されたフロントの仕事でした。チームの裏方として管理やサポートに取り組む中で、「支えている人をさらに支える人」「チームを支えている人を支えよう」そう感じたことが、新たなやりがいにつながったのです。そして、良かったことはやはり「チームが勝つこと」、43年の在籍期間で優勝(日本一を含む)を7回経験しました。優勝旅行に家族を連れていけたことは、長い時間を要しながらも、家族の唯一の還元でありました。
これから社会に出ていく学生に向けて、三木さんが大切にしている思いを伝えてくれました。「今も大事にしている言葉は"真剣味"です。真剣に物事に取り組もうとしたらおのずと必要な部分が出てくる。何が必要かと言うと志。志を成し遂げようと思ったら覚悟が必要。見通しが無くてもなんとかなると覚悟を決めて動き出せば、その行動が次の道を開きます。ポストと条件があったら何においてもポストを取る。それが覚悟に繋がり、志にも繋がる。条件を選ぶからミスマッチが起きてしまうのです。やってみたいとか、これだったらチャレンジしたいとか見通しが立ってなんとかなるわ、でアクションを取ることが大切。これは全部に繋がります。」
貴重なお話を伺った後、私たちは中日ドラゴンズ対横浜DeNAベイスターズの試合を観戦しました。報道席を探したり、カメラの位置を確認したりと、これまでとは異なる視点で試合を楽しむことができました。観客動員数が過去最多を更新し続けているバンテリンドーム内の応援は熱気に包まれており、改めて中日ドラゴンズの人気の高さを実感しました。シーズンも残りあとわずか。今後の中日ドラゴンズの活躍から目が離せません。
学生広報スタッフ「ライト」
- 取材:桑原一貴(経済学部4年) 吉原采紀(心理学部2年)
- 文:髙橋陽色(文学部3年)
- 写真:村瀬瑞季(国際学部3年) 柿木結衣(経営学部3年) 長部祐依(総合政策学部2年) 中野桃花(総合政策学部2年) 岡島歩香(文学部2年)