法学部/山田ゼミ AI時代の刑罰制度について考える
刑事法を研究テーマとする山田峻悠ゼミ(専門演習)は、9月9日、新潟大学法学部助教の根津洸希先生をお招きし、「刑罰がなぜ『正しい』といえるのか?―刑罰論の過去と未来-」というテーマで特別講義を実施しました。
まず講義の前半部分では、「刑罰論の基礎」というテーマの下、死刑制度を題材にして、刑罰をなぜ正当化することができるかという点について講義をしていただきました。その後、講義の後半部分では、「AIと刑罰論」というテーマの下、前半部分の刑罰論に関する議論を基礎として、今後AI技術が発展していった社会の中で、刑罰制度を正当化することができるかという点について根津先生に問題提起をしていただき、それに基づきディスカッションを行いました。
今後考えていかなければならない発展的なテーマについて、専門的に研究している根津先生の下議論を行うことができる貴重な機会となりました。
学生の声
・今までは刑罰があるのが当たり前だと思い込んでいたため刑罰の存在意義について考えたことはありませんでしたが、今回の講義ではこれについて考える機会があり、自分と他者の意見交換をすることで学びを深めることができました。
・AIについては今まで学んでこなかったので、法学への新しい切り口がとても興味深く、楽しく聞くことができました。これまで刑法は人が行う行為を前提にしていましたが、AIが関わると責任を誰に負わせるのかが難しくなると感じました。
・正解のない問題や考えている内にジレンマに陥る問題などにぶつかることによって刑罰論の奥深さに今まで以上に触れられたとも思います。
・AIが犯罪を起こしそうな人を感知し、犯罪をする前に防ぐことが出来るという理想像を聞いて、刑罰がなくても犯罪が起こることが無い理想の世界だと思いました。しかし、その世界ではAIが人間の行動を統制し、常に監視されることになると考えると、私は「自由」を大切にしたいので、刑罰が存在する現代の社会が良いと思いました。AIが人間にとって有益な道具である一方、度を超えると人間の脅威となる可能性があるということを学びました。
・これからの時代は自分で考え続けないと生きていけないということを感じることができ、とても勉強になりました。