文化庁「芸術選奨」の文部科学大臣新人賞 教養教育研究院の平野恵美子特定任用教授

 文化庁が行う第71回「芸術選奨」受賞者が発表され、本学教養教育研究院の平野恵美子特定任用教授が、著書『帝室劇場とバレエ・リュス』の成果により、評論等部門の文部科学大臣新人賞に選ばれた。3月9日に贈呈式があり、萩生田文部科学大臣から賞状が手渡された。

 芸術選奨は、芸術各分野において、優れた業績を挙げた者、または新しい分野を開いた者に贈られ、演劇、音楽、舞踊、放送など11部門で29人が選出された。大衆芸能部門ではシンガーソングライターの米津玄師さん、メディア芸術部門では吾峠呼世晴さん(漫画家)などが受賞した。

 平野特定任用教授は、「ロシアのバレエの歴史的な背景を、当時の新聞や公演記録、関係者の日記や批評などから読み取っていきました。不慣れな現地で文献を探す際は、ロシアの人たちが快く協力してくださり、とても感謝しています」と文献調査の状況を振り返るとともに、「教養を深める地道な研究分野ですが、このような賞をいただくことができ、驚いています。今後も続けていく励みになります」と喜びを語った。

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【贈賞理由(選考審査員より)】

「バレエ・リュス」とはフランス語で「ロシアのバレエ」のこと。専門家のあいだでは常識でも、一般的にはなぜ「バレエといえばロシア」のはずがフランスを起源とするのか、よくわからずにいるのではないか。平野恵美子氏は、この公然だが未知な歴史の転換と推移をめぐり、「帝室劇場年鑑」をはじめとする詳細な史料を、個々の演目や上演回数に至るまで愚直なまでに数え上げ、丹念に読み解き、バレエ史研究に新たな地平を切り開いた。学術論文であることをこえて、バレエへの人並みならぬ深い愛情に支えられたものであることも伝わってくる。

2021/04/20

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