工学研究科/田上鈴奈さん・村上尚生さん 第30回 知能メカトロニクスワークショップで優秀講演賞

田上鈴奈さん(工学研究科博士後期課程2年、指導教員:橋本学教授)と村上尚生さん(工学研究科博士後期課程1年、指導教員:橋本学教授)は12月1日、「電気学会知覚情報技術委員会主催『第30回 知能メカトロニクスワークショップ』(開催日:9月15日~17日)」で、優秀講演賞を受賞しました。田上さんの講演題目は、「調理タスクモニタリングに向けたCLIPモデル学習性能向上のための学習データの高品質化」、村上さんの題目は「画像検査システムの誤判定傾向の学習に基づく出力補正モデルの生成」です。
知能メカトロニクスワークショップは、1996年より開催されており、本年で第30回記念大会という大きな節目を迎えました。このワークショップでは、メカトロニク分野の活性化を目的とし、ロボットやコンピュータビジョン、人工知能など幅広い分野に関して、合計51件もの研究が発表されました。今回、2名が受賞した優秀講演賞は、全講演の中から特に優れていると認められた発表者に贈られるものです。今回は、51件の講演の中から、計3件の講演が受賞しました。
田上鈴奈さんのコメント
本研究では、大規模視覚言語モデルCLIPを用いて「焼く」や「混ぜる」などの調理タスクを、高精度にモニタリングすることを目的として、学習に利用するデータの品質を高める手法を提案しました。私が提案した手法では、CLIPモデルが時系列的な学習ができるよう改良し、モデルが理解しやすいレシピ文を使って学習することを特徴としています。従来よりも高精度に調理タスクをモニタリングできるようになりました。
このような賞をいただけて、とてもうれしく思っています。これをさらに発展させ、学術論文誌や難関国際会議への投稿を目指します。
村上尚生さんのコメント
本研究では、生産現場における外観検査の高精度化を目的として、さまざまなアルゴリズムの誤判定結果を適切にリファイン(改良)する手法を提案しました。従来の検査アルゴリズムは、それ自体が誤判定の傾向をもっており、手法ごとに改善が必要でした。私が提案した手法は、この誤判定の傾向を深層学習モデルに教えることによって、傾向を自動補正するものです。さまざまな検査手法に適用可能な補正モデルを生成することができました。
日頃の橋本教授のご指導のおかげで、今年は講演件数が過去最多であったにもかかわらず、優秀講演賞に選定いただき、たいへんうれしく思っております。この研究をさらに発展させ、国際会議での発表や論文誌への掲載を目指します。
橋本学教授のコメント
全国規模の学会で、当研究室の博士課程学生2名が同時に受賞し、うれしく思っています。今回は、2つの研究ともに当該学生自身が新たに開発した技術です。いずれも、未来の家庭や店舗におけるロボット技術や生産技術を、大きく革新する可能性がある先進的研究なので、本学大学院の研究力の高さを示す結果にもなったと捉えています。