工学部の橋本学教授と情報科学研究科・秋月秀一さんによる人工知能(ロボット視覚)の研究成果に対してMIRUインタラクティブ発表賞を受賞
7月27~30日に大阪で開催された、第18回画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2015)において、大学院・情報科学研究科(博士後期課程2年)秋月秀一さんと、工学部の橋本学教授の研究に対して、MIRUインタラクティブ発表賞が授与されました。
MIRUは、画像認識技術に関連する、参加者600名超の国内最大級のシンポジウムです。インタラクティブ発表賞は、ここで発表された論文の中から、特に優れた発表をおこなった研究グループに与えられる権威ある賞であり、参加者による厳正な投票と審査の結果、本年度は以下を含む5件が選ばれました。
発表論文名: 3次元キーポイントマッチングのための点群密度変化と欠落に頑健なLocal Reference Frame
著者: 秋月秀一、橋本学
橋本研究室では、ロボットの人工知能の実現を目指して、特にコンピュータによる視覚機能(Computer Vision)の実現に取り組んでいますが、今回の研究は、この分野の重要課題とされてきた「ロボット視覚座標系の幾何学的安定性の確保」という問題に対して、理論的な分析に基づく効果的な解決方法を提案し、世界レベルでの性能実証をおこなった点が高く評価されました。
■橋本学教授の談話■
我々の研究グループでは,次世代ロボットのための人工知能として、ロボットの視覚システムに関する研究に力を入れていますが、今回表彰された研究成果は,まさにその中心に位置する3次元視覚に関するものです。
近い将来、一般家庭や店舗で,知能ロボットが普及すると予想されています。このとき移動ロボットは、自分の身近なモノから、遠方にある情景まで、さまざまなシーンを的確に理解する必要がありますが、特に遠方の対象物については、センシング情報が疎らであり、しかも不安定であるため、視覚機能の実現が困難とされてきました。
今回、博士課程2年の秋月さんとともに発表した研究成果は、このような状況下でも幾何学的に安定な座標系を作り出し、高性能な視覚を実現する技術に関するものです。知能ロボットの実用化を目指す研究者たちが取り組んできた課題に対して、実用的な解法を提示できたため、多くの方に関心をもっていただけたことが受賞につながったと思います。
なお、秋月さんは、このアイデアの実現を実質的に担当してくれた優れた学生であるというだけでなく、本シンポジウムが主催した若手研究者会合(7/27~31)にも参画して他大学との研究交流や活性化に尽力するなど、研究者個人としても、その活躍が非常に注目されています。今回の受賞を機に、今後は、わが国における知能ロボット研究の牽引役として、さらに幅広く活動してもらいたいと思います。
MIRUインタラクティブ発表賞の受賞式にて(左から、MIRU2015表彰委員長、D2秋月秀一さん、橋本学教授) |