松阪市との連携第1弾として山中市長が総合政策学部で特別講義
「社会人基礎力講座」でまちづくりへの思い語り、活発に質疑応答も

山中市長(右)の話を聞く学生ら
山中市長(右)の話を聞く学生ら

 

 4月14日に締結した本学と松阪市の「人材育成と地域振興」に関する連携・協力協定により、17日、山中光茂・松阪市長が特別講師として「市民が役割と責任を持つまちづくり-偽善者市長と市民分権-」をテーマに講義を行った。講義は総合政策学部の「社会人基礎力講座 公共編・ビジネス編」(第2回)で、3年生を中心に約80人が熱心にメモを取っていた。

 「社会人基礎力講座」(公共編)は総合政策学部の実践科目で、「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つの力を養いながら、新しい政策を生み出す。今期は、少人数のグループに分かれ、持続や実現の可能性を考慮して「防災」をテーマに政策をまとめる。同講座は公共編とビジネス編があり、山中市長の話をビジネス編の学生にも参考にしてほしいと、2講座合同で実施された。

 山中市長は、「市長だけが行政を決定していくのではなく、市民が役割や責任を持ってまちづくりを行い、地域を守っていくことが大切」と話し、地域住民がお金を集められるふるさと納税の仕組みづくりや、市民にとってプラスになる企業との連携を、実例を挙げながら紹介した。

 山中市長は、慶應義塾大学法学部を卒業後、群馬大学医学部に入学し、政治家や起業家を志す若者を育成する松下政経塾に入塾。三重県議会議員を経て、2009年に全国最年少の33歳で市長となった異色の経歴を持つ。小学生のときにアフリカの飢餓の現実を知り、他者の幸せのために理想やきれいごとを貫く『偽善者』として生きることを決めたという。これまでに保育園の民営化や風車事業、駅西の再開発など、テーマや地域ごとに意見聴取会や住民協議会を設け、市民の目線で政策を行ってきた。

 松阪市出身の澤田有輝さん(3年)は、意見聴取会に参加しづらい若い人たちの意見をどのように集めるか質問した。「PTAや高校に足を運び、意見を出したら行政が応えるというシステムづくりに取り組んでいると聞き、地元にますます愛着を感じている」と話していた。

 ビジネス編を選択している袴田悠矢さん(3年)は「ipadの小学校導入やヤマト運輸が実施している宅配時の見守りサービスなど、企業と行政が協力して結果が出ている点に興味を持った。もっと色んな事例を調べたり考えてみたい」と意気込んでいた。

 地域活性化をテーマにしている宮川プロジェクト研究(ゼミ)の3年生が、蒲郡市や津市で行っている観光プロモーションを市長に紹介し、松阪市でもプレゼンしたい、と売り込む姿も見られた。

 大森達也教授は「革新的と言われる山中市長がやってきたことは、社会人基礎力が基になっている。市長が3つの力をどのようにして身につけてきたか、実践の代表例として学生たちにも響いたのではないか」と話していた。

2014/04/18

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