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研究・産学連携

研究・産学連携 トピックス

良い企画の条件
企画立案の醍醐味を味わうために
坂田隆文 総合政策学部准教授

坂田准教授
坂田准教授

  この秋、私が担当するゼミの学生が提案した企画が2つ、実際に商品として発売されることになった。井村屋(株)から発売された「スイーツセレクト」と山崎製パン(株)から発売された「ランチパック 4種のベリー入りクリームと4種のフルーツ入りクリーム」である。また、商品というわけではないのだが、ブラザー販売(株)が今冬販促用に配布するリーフレットも、私のゼミで制作協力している。

 これら商品や販促物を企画するに際して学生たちを指導していると、どうも学生たちは「良い企画」とはいかなるものかが分かっていないように思える。良い企画にするためには、実際には最低でも以下の三つを考えなければならない。順に説明していくことにしよう。

 良い企画とは第一に、想定顧客が欲しがる、あるいは買いたくなるものを企画しなくてはならない。このとき、そもそもどのような顧客を想定するのかが明確になっていなければ、その企画内容の良否を企画段階で明らかにすることなどできない。もちろん、その想定顧客が他とは違う特徴をもっていた方が企画のフィット感が明確になるだろうし、想定顧客が売り上げや利益面で十分な規模をもっている必要もあるだろう(石井淳蔵他『ゼミナールマーケティング入門』日本経済新聞社)。

 第二に、クライアントの要望にあったものでないといけない。ここでいうクライアントとは、企画を提案する相手と考えると良いだろう。企業内で新商品企画を考える場合であれば、最初の提案先は上司になるかもしれない。また、営業をしているなら取引先ということになる。このクライアントの存在は、企画が様々な制約をクリアしているかどうか、実際に売れそうかどうかをチェックする役割を担っている。しかし、この2つめの条件が、意外に曲者である。というのは、このクライアントの意見や要望が必ずしも最終顧客の想いと合致するとは限らないからである。たとえば女子高生向けの食品を企画するとしよう。担当者が膨大な調査を行い女子高生の好みや行動特性を明らかにできたとしても、上司(その多くは中年男性!)がそれを認めなければ、その企画が商品化されることは難しいだろう。

 第三に、企画者自身が納得・満足できる企画であるということも重要な条件の一つである。ただし、この三番目の条件とは、「自分が欲しいと思えるか否か」が問題なのではない。というのも、自身が想定顧客層に入らない企画を立案することはいくらでもあるからである。ここでいう納得・満足とは、換言するなら「どれだけその企画にこだわれるか」と言っても良いだろう。企画というのは商品のアイデアを考えてそれで終わりというわけではない。どうすればより多くの人に知ってもらえるか、より多くの人に欲しがってもらえるか、より多く売れるのかなど、考えなければいけないことは山積みである。そのとき、その企画にこだわりをもてるかどうかで、考える内容の深さも広さも変わるだろう。

 3つの条件をバランスよく満たす企画を考えるのは、もちろん並大抵のことではない。しかし、そのような企画を生み出せたとき、企画者は商品企画の醍醐味を誰よりも味わうことができるだろう。


【略 歴】
坂田 隆文(さかた たかふみ) 中京大学 総合政策学部准教授
マーケティング論、経営戦略論
神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期課程修了 博士(商学)
1974年9月5日生

(2013/10/30)

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