法実践プログラム(LPP)

法実践講義Ⅰ-1(IR実践論)

この授業では、はじめに、国際関係論(International Relations:IR)の主要課題である開発援助政策、地球環境政策及び国際平和協力に関する基礎知識を学んだ後に、国際公務員・国家公務員・地方公務員・弁護士などとして、実際に開発援助政策、地球環境政策及び国際平和協力を実践してきた講師がそれぞれの関係する分野の現状と課題に関する講義を行い、履修者の理解を深めさせました。(なお、講師のご所属は授業当時のものです。)

「開発協力政策とその実施~多様な力を結集して国際貢献する~日本のODA」

10月1日(14:55~16:25)

日本政府の政府開発援助(ODA)に関する理解を深めるために、外務省国際協力局開発協力総括課の藁谷栄さんに、ODAの全体像(途上国の抱える課題と開発協力・日本のODAを取り巻く状況)、具体的な国際貢献のしかた(途上国との政策的調整と課題の解決方法・官民連携という新しい方法・途上国の人との対話と協働・日本の経験と技術力を生かす方法)についてお話しいただきました。
(講座の様子は、こちら(外務省ホームページ)でも閲覧できます。)


「地域資源を活かした内発的地域開発」

10月8日(14:55~16:25・16:40~18:10)

実務の観点からの地域開発に関する理解を深めるために、元・国連地域開発センター(現・一般財団法人日本国際協力センター)の高井克明さんに、開発途上国の地域開発のあり方について、「内発的地域開発」をキーワードに、日本の成功事例(大分県大山町・愛知県豊田市足助町)やインドネシアのスラウェシや中央アジアの農村部の事例に基づく練習問題を交えながらお話しいただきました。

「ODAを活用した中小企業海外展開支援」

10月22日(14:55~16:25)

ODAを活用した中小企業海外展開支援に対する理解を深めるために、独立行政法人国際協力機構(JICA)中部国際センター市民参加協力課の三輪田貴さんに、JICAの概要、中小企業海外展開支援の背景、JICAの中小企業海外展開支援事業、各支援事業の概要、具体事例、事業実施の課題についてお話しいただきました。


「生物多様性・気候変動・グリーン経済」

10月29日(14:55~16:25・16:40~18:10)

地球環境問題に対する理解を深めるために、元・国連地域開発センター(現・一般財団法人日本国際協力センター)の高井克明さんに、「生物多様性の保全と持続可能な利用」「温暖化対策(緩和策)」「温暖化対策(適応策)」「グリーンエコノミー」をキーワードに、インド・オディシャ州やコスタリカのエコ・ツーリズムの事例の紹介やミャンマー・インレー湖とその周辺地域の事例に基づく練習問題を交えながらお話しいただきました。


「愛知県の環境政策」

11月12日(14:55~16:25)

愛知県の環境政策に対する理解を深めるために、愛知県環境部環境政策課の横井歩さんに、愛知県の環境アセスメント制度をはじめとする環境政策ついて、「中部国際空港」「2005年日本国際博覧会(愛知万博)」の事業実施に向けたリスクマネジメントやCOP10誘致に向けた取り組みに関するご自身の勤務経験を交えながらお話しいただきました。


「生物多様性・自然環境保全と環境省の(現場での)施策」

11月19日(14:55~16:25)

生物多様性・自然環境保全に対する理解を深めるために、環境省中部地方環境事務所の常冨豊さんに、環境省の紹介、地球環境問題(生物多様性の保全を中心に)、生物多様性条約と国内対応(締約国会議とその成果・条約に基づく日本の国内対応)、「生物多様性の保全」と現場業務とのつながり、「生物多様性の保全」と「個人」についてお話しいただきました。


「国際平和協力活動への我が国の協力の現状と法制」

11月26日(14:55~16:25)

日本政府による国連平和維持活動(PKO)や海賊対処への協力に対する理解を深めるために、防衛省南関東防衛局の土本英樹さんに、国連PKOの動向、我が国の法制(これまでの法制)、平和安全法制(PKO法の改正)、武器使用権限、自衛隊による海賊対処行動についてお話しいただきました。


「防衛省・自衛隊による国際貢献活動概論」

12月3日(14:55~16:25)

日本の国際平和協力活動に対する理解を深めるために、自衛隊愛知地方協力本部の山本義継さんに、自衛隊の活動根拠・任務、国際平和協力活動の概要、国連ハイチ安定化ミッション(Mission des Nations unies pour la stabilisation en Haiti:MINUSTAH)に派遣された第6次ハイチ派遣国際救援隊の活動について、ご自身の体験談を交えながらお話しいただきました。


「イラク戦争から今を考える」

12月10日(14:55~16:25)

戦争被害の観点から日本の安全保障政策を再考するために、「国民安保法制懇」事務局長で弁護士の川口創さんに、(平和安全法制整備・国際平和支援)法案成立までの振り返り、今後の闘いのために深め主権者としてなすべきことなどについて、イラクで米兵による被害を受けた人たちを取り上げたDVD(「イラク戦場からの告発」)の映像の一部を交えながら、お話しいただきました。


「海上保安庁による海賊対策について」

12月17日(14:55~16:25)

日本政府の海賊対策に対する理解を深めるために、海上保安庁警備救難部国際刑事課海賊対策室の山下岳志さんに、海賊の定義、世界の海賊事案発生の状況、東南アジアにおける海賊対策、ソマリア沖・アデン湾における海賊対策について、ご自身のご経験を交えながらお話しいただきました。



履修者の感想(一部抜粋)

  • 安保関連法制定に直接関わった方や海賊対策に従事している海上保安庁の方など、普段の生活では絶対に聴けることのない話が聴け、非常に贅沢な講義であった。また、メディアで報道されていることが全て正しい事実ではないということが、この講義で実感することができた。
  • この授業の良かった点は外部の講師の方が講義をする前に授業担当者が事前にその分野について講義をして下さった点です。事前に行われた講義の際にわからなかった点や詳しく聞きたかった点について外部の講師の方の講義を通して理解を深めることができました。このことから、いきなり外部の講師の方が講義を行うよりも深い内容の知識を得ることができた点が良かったです。
  • 実際の体験や「実はこうだった」という深い話が多く聞けたことで、それぞれの分野にも深い知識と興味が持てるようになった。特によかったと感じたのは安保法案の話をはじめ賛成の意見や反対の意見の人それぞれの分野の専門家の授業が受けることができたことである。このおかげで偏った知識ではなくその物事に対する深い知識を養うことができた。

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